サスティナブルとは? 実践企業にはメリットがあり世界的なトレンドに

サスティナブルな社会の実現は、地球上の人々が幸せな暮らしを継続するために必要不可欠です。そのため、企業もまた、サスティナブルを実現するための取り組みを始めなくてはなりません。この記事では、サスティナブルの概要や歴史について紹介した上で、サスティナブルの実践にあたり知っておくべきポイントやメリットを解説します。

サスティナブルとは

サスティナブルとは

昨今では「サスティナブル」というキーワードが、さまざまなシーンで語られるようになってきました。しかし、この言葉の意味や、この言葉が語られるようになった背景は知らない方も多いのではないでしょうか。

サスティナブルや、それに関連する「SDGs」は私たちが今の暮らしを続けていくためにも、知っておくべきキーワードです。この項では、サスティナブルの概要や歴史について解説します。

言葉の意味と歴史

サスティナブル(sustainable)は、「持続する(sustain)」と「できる(able)」を意味する2つの単語を組み合わせて作られた言葉です。よく耳にする「サスティナブルな社会」とは私たちが暮らす地球の環境を守り、末永く幸せな生活を続けていける社会のことを指します。

現在、地球環境を取り巻く問題は多くあります。地球温暖化や資源の枯渇、爆発的な人口増加など、地球規模で解決すべき課題が山積みです。

そうした中で、以前からこれらの問題について世界的に議論が続けられてきました。古くは、人類初の月面着陸成功をもたらしたアポロ計画が終了する1972年にさかのぼります。この年、有識者が集まるシンクタンク「ローマ・クラブ」により、衝撃的なレポートが提出され、世界を驚かせました。そのレポートでは、人口増加や環境汚染などがこのまま続けば、100年以内に地球の成長は限界に達すると警告したのです。

地球環境に関わる議論は、この後も世界規模で続けられます。2015年にはニューヨーク国連本部に各国首脳が集まり、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が全会一致で採択されました。この中で掲げられているのが、国連加盟国が2030年までに達成すべきとされる17の目標=「SDGs(持続可能な開発目標)」です。

SDGsでは、気候変動や地球資源の他、貧困や飢餓などの問題にも触れています。地球環境を守っていくためには、貧困・飢餓といった環境面以外の問題解決も不可欠だからです。

SDGsという概念が世界的に浸透していく中で、サスティナビリティについても広まっていきます。SDGsを達成するには、国だけではなく企業・個人がサスティナブルにもとづく行動が求められているのです。

エコとの違い

サスティナブルと間違われやすい言葉として、「エコ」があげられます。エコは自然環境を表す「エコロジー(ecology)」を略した言葉です。

エコと略して使われるときは、「環境によい」という意味で使われます。そのため、たとえばエコにもとづいた行動とは、環境を保全するための行動であり、エコにもとづいた商品とは環境に優しい商品ということです。

一方でサスティナブルとは、環境を保全することだけを意味する概念ではありません。貧困や飢餓、人・国家の不平等をなくすなど、地球に暮らすすべての人々が幸せに暮らせることも目的としています。環境問題だけに着目した取り組みでは、サスティナブルな社会や暮らしを実現できないと考えるためです。

サスティナブルとSDGsの関係

サスティナブルについて考えるときに、欠かすことができないのがSDGsです。サスティナブルとSDGsは、互いに深い関係性があります。

これまで見てきた通り、サスティナブルとは地球環境を守ることも含め、世界の人々が幸せに暮らし続けられる状態を意味する言葉です。しかし環境破壊をはじめ多くの問題を抱える状態では、何の取り組みもなしにサスティナブルな実現できません。

そこで登場するのがSDGsです。SDGsでは、サスティナブルな社会をつくるため、2030年を期限としてクリアすべき17の目標を掲げています。簡単に言いかえると、SDGsとはサスティナビリティ(サスティナブルの名詞形)を実現するための方法論なのです。

サスティナブルは教育にも盛り込まれている

SDGsでは「すべての人に公正かつ質の高い教育を確保すること」が、17ある目標の4番目として設定されています。サスティナブルを実現するためには、SDGsを達成するのに必要な人材の育成が欠かせません。

その上でSDGsの4番目の目標「教育」には、日本が提唱した「ESD」が含まれています。ESDとは「Education for Sustainable Development」を略した言葉です。日本語では「持続可能な開発のための教育」と訳されます。ESDは温暖化や資源枯渇といったSDGsにあげられている問題を自分の問題と捉え、主体的に行動できる人材を育成するのが目的です。

実際に日本の教育現場でもESDに関する取り組みが始まっています。2017~2018年に公示された小学校・中学校・高校の学習指導要領には、「持続可能な社会の創り手」の育成が方針として掲載されました。日本の学校教育にとって、SDGsやサスティナブルな社会に関する学習が今後ますます重要視されることになると考えられます。
(参照:https://www.mext.go.jp/unesco/002/006/002/001/shiryo/attach/1388906.htm

サスティナブルなビジネスは世界的な流れ

サスティナブルなビジネスは世界的な流れ

サスティナブルを実現しようとする世界的な傾向は、当然ながらビジネスの世界にも無関係ではありません。企業はビジネスを続けていく上で、サスティナブルへの対応が求められているのです。

実際、さまざまな企業やビジネスシーンで、サスティナブルな取り組みが見受けられます。企業は他企業に遅れないためにも、「サスティナブルなビジネス」について把握しておくことが必要です。ここではサスティナブルなビジネスを考える上でのポイントや事例を紹介します。

サスティナブル経営

サスティナビリティやSDGsに世界が注目する中、企業経営の現場でもそのための取り組みが求められています。サスティナブル経営とは簡単に言うと、サスティナブルな社会実現のための取り組みを戦略とする経営のことです。

たとえば環境に配慮した商品やサービスを消費者に提供することも、サスティナブル経営の1つと言えます。これら商品やサービスは、サスティナブルを推進するためのものです。

その一方で、サスティナブル経営とは商品・サービスの開発・提供にとどまりません。SDGsでは、ジェンダー平等や働き甲斐のある雇用促進なども目標としています。つまり企業内部の変革にも取り組み、これらの改善を行うこともサスティナブル経営といえるのです。

その他、サスティナブル経営には企業によってより深刻な意味も含まれています。そもそもサスティナブルな社会を実現する際の問題となっていた資源枯渇や人口急増は、企業にとっても大いに影響するものです。これら急激な外部環境への対応も、サスティナブル経営に含まれます。

なおサスティナブル経営は、企業の社会的責任を意味するCSRとは異なる概念です。CSRは企業が主体となり取り組むべき課題であるのに対し、サスティナビリティは企業が国や個人と一緒に取り組む必要があります。

サスティナブルデザイン

サスティナブルな社会の実現に関心が高まる中、「サスティナブルデザイン」というキーワードも注目されています。サスティナブルデザインとは、サスティナブルな社会の実現に貢献するデザイン全般のことです。サスティナブルデザインはプロダクトデザインにとどまらず、その他の分野に関するデザインにも波及しています。

産業革命以降、人類は環境に大きな負荷をかける製品・サービスを数多く開発・運用してきました。これによって環境破壊がすすみ、SDGsやサスティナビリティの重要性が叫ばれる現在の状況に至っていることは言うまでもありません。

サスティナブルデザインの具体的な例としては、まず環境に優しい素材を使った製品の開発があげられます。具体的には海洋汚染の原因となっているプラスチックの代わりに、生分解性のある素材を使用した商品などです。その他、リサイクル可能な素材を使った製品も、サスティナブルデザインにもとづいた商品と言うことができます。

なお、環境に配慮した製品やサービスのことを、「エコデザイン」と呼びますが、サスティナブルデザインと同じものではありません。サスティナブルは環境保護を含め持続可能な社会を実現するための考え方であり、エコデザインよりも広い範囲を指す言葉です。そのためエコデザインは、より広い意味を示すサスティナブルデザインに含まれると言えます。

サスティナブル建築

サスティナブル建築とは、端的に言うとサスティナブルな社会の実現に貢献する建築全般を指します。前項でサスティナブルデザインについて紹介しましたが、サスティナブル建築もまた、より広い意味を表すサスティナブルデザインの1つと言えるでしょう。

サスティナブル建築は、設計や施行の段階から利用・運用に至るまで、以下の実現が求められます。

  • 地球環境に配慮しているか
    CO2排出の抑制や節電(化石燃料の消費削減を目指すため)の実現、再生可能エネルギー・リサイクル素材の活用など
  • 地域の環境に配慮し調和できているか
    地域のヒートアイランド抑制(グリーンカーテンなど)、地域に暮らす生物への配慮、景観や地域コミュニティーへの配慮など
  • 日常生活に配慮できているか(住みやすいか)
    安全性を高め快適な空間づくりが実現できているか、CO2濃度や化学汚染物質などに配慮され健康面でも問題ないかなど

ご覧のように、環境によいかだけでなく、「快適に暮らせるか」「地域の景観へ配慮できているか」といった基準も設けられている点が特徴的です。単に「環境によい」だけでは、サスティナブル建築とは言えません。

サスティナブル建築に関しては、「サスティナブル建築物等先導事業」という国の補助制度を利用することも可能です。この制度では、省エネ・CO2排出削減を高い水準で実現し、先進技術により住居などを建築した際に補助金が受けられます。

また優れたサスティナブル建築事例については、2年に1度「サスティナブル建築賞」として公開されているのも注目したいところです。国ではこのような賞の運用を通して、サスティナブル建築を推進しています。

サスティナブルファッション

サスティナブルは、ファッション業界でも注目されています。ファッション業界では、低価格な商品を過剰に生産し膨大な量の売れ残りを廃棄し続けていることが問題視されているからです。大量廃棄の結果、想像できないくらいの資源が浪費されています。

さらに生産コストをカットするため、発展途上国において不当な低賃金で現地の人を働かせていることも大きな問題でした。染色により生じた廃水によって、水質汚染も引き起っています。

「サスティナブルファッション」とは、これらファッション業界の問題を包括的に解決するコンセプトです。サスティナブルファッションの具体的な取り組みとして、以下があげられます。

  • 長く着ていられる、耐用年数の長い服作りを目指す
  • 環境に優しい素材や再生可能な素材を積極的に採用する
  • トレーサビリティを確保し、「どのような素材で」「どのような環境で」作られた服か明示する(消費者も、その服の素材・生産ルートに関心を持つ)

昨今ではファッション業界が抱える課題に対応し、環境に配慮した服作りや健康的な労働環境での商品生産を実現するブランドが増えています。サスティナブルな社会を実現するために、服を購入する側の消費者も、ファッション業界のこうした動向に注目することが必要です。

サスティナブルツーリズム

サスティナブルツーリズム

サスティナブルツーリズムとは、「持続可能な観光」と訳されます。観光地の環境や現地の暮らし、文化を大切に保護しながら、観光業を発展させるのがサスティナブルツーリズムの目的です。

従来、環境業界では「マスツーリズム」の弊害が大きな問題とされていました。マスツーリズムとは経済発展により、これまで富裕層だけのものだった観光旅行が多くの人に広がった現象のことです。

マスツーリズムは観光地に多くの利益をもたらす一方で、数々の問題も引き起こします。ツーリストを受け入れるための商業化により、自然環境が破壊され、環境汚染が広がりました。さらに犯罪や売春が数多く発生したり、現地の文化が変容したりしているのです。

サスティナブルツーリズムは、これらマスツーリズムの引き起こした弊害の解決を目指します。サスティナブルツーリズムが行うのは、観光地本来の環境や文化、人々の生活に配慮した観光の確立です。

具体的には、これまでのようなマスツーリズム向けの観光地開発を見直すことが求められます。また観光地の環境・文化を保護しながらそれらを活かした観光体験を増やすことも必要です。観光客は訪れた観光地やそこに暮らす人々に配慮し、ゴミを持ち帰る、民家付近は静かに観光するといった行動が求められます。

企業がサスティナブルを実践するメリット

企業がサスティナブルを実践するメリット

SDGsの目標を達成したりサスティナブルな社会を実現したりするためには、企業の貢献が欠かせません。一方でサスティナブルの実践は、企業にとってもメリットがあります。決してコストや時間を浪費するだけの取り組みではありません。

それでは実際にどんなメリットが考えられるでしょうか。以下、1つずつ解説します。

事業の成長につながる

SDGsやサスティナビリティへの人々の関心が高まっています。そのためサスティナブルにもとづく取り組みを積極的に実践することで、消費者やステークホルダーの信頼が高まりブランド力の向上が目指せるのです。地球環境に合わせ、製造や流通のラインを見直すことによって、気候変動・資源の価格変動などのリスクに適応することもできます。

また、環境問題やSDGsに配慮した商品やサービスを選ぶ消費者も少なくありません。これらの消費者のニーズを満たすマーケティングを行う「グリーンマーケティング」も有効です。

さらにSDGsの実現に高い関心を持つ若い世代を人材として取り込みやすくなるのもメリットといえます。こうした点から、サスティナブルの実践は事業の成長にもつながるのです。

コストを削減できる

資源やエネルギーの浪費を見直すことは、サスティナブルやSDGsの実現に必要となります。資源・エネルギーを効率的に使えるようになれば、コスト削減にもつながるのです。

会議の度などに消費される紙資料を撤廃しデジタル化を進めれば、効率的な企業運営やコスト削減も実現されます。さらに、SDGsに従い職場におけるジェンダー平等を達成し働き甲斐のある雇用を促進すれば、離職率を下げることも可能です。結果、新しい人材を採用したり教育したりするためのコストも削減されます。

私たちが暮らす地球は環境破壊や温暖化、人口急増など数々の問題を抱えている状態です。そうした中で地球の環境を維持し、幸せな暮らしを継続するためにはサスティナブルの実践が必要となります。サスティナブルな社会を実現するためにできることはないか、一人ひとりが考え実践していかなくてはなりません。

IT分野におけるサスティナブルでは、持続可能なシステム構築が目標です。しかし、日本では、レガシーシステムの刷新遅れやブラックボックス化など、さまざまな問題が発生しています。

NTT Comでは、この問題に対応するために「SDPF クラウド/サーバー」を提供しています。このサービスは、オンプレミス・クラウドなど、各企業が構築する独自のシステムをセキュアなクラウドサーバー上で運用することが可能です。システムの都合上オンプレミスでの管理・運用を手放せない場合でも、セキュアなハイブリッドクラウドの活用で柔軟に環境構築ができます。さらに別々で管理されている各部門のシステムを統合・可視化するサービスとして、CMPというサービスも展開しています。複雑なシステムでも簡単に統合ができ、部門ごとの状況把握やコスト管理の効率化が実現します。また、SDPF クラウド/サーバー利用時のCO2排出量や、既存のオンプレミス環境からの移行におけるCO2排出量の削減効果をシミュレーションできますので、社会全体のカーボンニュートラルの実現に貢献します。

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