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請求書業務DX化による業務効率化を促進
刻一刻と変化していく社会情勢の中、電子化の進むバックオフィス業務が今後どうなっていくのか、特に経理業務のDX化について詳しく見ていきましょう。
目次
求められる業務のデジタル化
IT技術の進歩や働き方改革の推進により、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化は近年ますます加速しています。最近では2022年の改正電子帳簿保存法やインボイス制度導入の影響もあり、企業の大小を問わず、経理業務を中心とした既存業務のデジタル化を迫られているのが現状です。
DXの効果を実感しやすいバックオフィス業務
経理や人事、総務、法務といったいわゆるバックオフィス業務は、それ自体が利益を生み出すものではないため、DX化の優先順位は低く見られる傾向があります。しかし、企業管理の中枢を担い、小さなミスが全体の信用問題に関わる部門だからこそ、効率よく正確な業務遂行が常に要求されることは間違いありません。
これからの社会では、労働人口の減少に伴い、更なる人手不足が想定されます。経済産業省による「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」では、今後IT人材が不足したまま現行システムの老朽化が進んでいくと、2025年以降には年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるという予測も出されています。
現在アナログでのやり取りが中心となっているバックオフィス業務では、手作業で行っているデータ入力を自動化したり、紙媒体メインの業務をペーパーレス化したりするだけでも、コスト削減や生産性の向上につながります。
最終的に企業全体のDXを実現するためにも、まずは効果を実感しやすく、正確さが重要視されるバックオフィス業務からDX化を進めていくとよいでしょう。
自動化・ペーパーレス化される業務とは
では、今後DXにより自動化・ペーパーレス化される業務を具体的に見ていきましょう。
まず、自動化される可能性が高いものとして「定型的な作業」が挙げられます。経理業務であれば、日常的な帳簿付けや会計処理、請求業務が該当するでしょう。
人の手で1件ずつ入力する伝票起票などの業務は、工数が多い分ミスも起こりやすく、コストもリスクも高いものです。DX化によってAIやRPAを導入し業務を自動化することで、人が関わる工程を抑えることができ、ミスを減らすことが可能となります。
これまで紙ベースでアナログにやり取りされてきた請求書や領収書、納品書、稟議書といった書類も、DXによってすべて電子化(ペーパーレス化)することが可能です。コロナ禍以降、印鑑の電子化も一気に加速しています。書類自体のペーパーレス化が進めば経理部門だけでなく会社全体でDXの恩恵を受けられます。テレワークの推進や働き方改革の面でも大きな効果が期待できるでしょう。
このように業務の自動化・ペーパーレス化が進むと、社内全体の効率化が促進され、社員の柔軟な働き方にも対応できるようになることが分かります。
しかし一方で、すべての部門で一気にDXを進めることは社内に大きな混乱を招く危険も伴います。
そこでDX化の最初の一歩としておすすめしたいのが、昨今の制度改革によって業務が複雑化している経理業務です。
電子化の進む経理業務
改正電子帳簿保存法とインボイス制度の導入を契機に、これからの経理業務は負担が大きくなっていくことが想定されます。
すでに導入されているインボイス制度では、これまで行われてきた消費税率ごとの分類に加え、社内の様々な部署から集まる適格請求書とそれ以外の請求書を仕分け、管理していかなければなりません。
また、2022年の改正電子帳簿保存法で「電子取引に関する書類」を紙保存することが禁止されたことにより、紙ベースの資料と電子データそれぞれを適切に管理する必要も生じています。今後、電子インボイスの導入が見込まれていることを鑑みても、経理業務、特に他社とのやり取りの中心となる「請求書」に関しては出来る限り早く電子対応することが望ましいといえるのです。
請求書電子化のメリット・デメリット
ここからは、2022年の改正電子帳簿保存法でも注目が集まった「電子請求書」を中心に、電子化のメリットやデメリットを見ていきましょう。
電子請求書とは
「電子請求書」とは、これまで一般的であった紙に印刷された請求書ではなく、インターネットを介してやり取りする電子データとして作成された請求書を指します。
この「電子請求書」は、大きく3種類に分類できます。
① メール型
メール型は、WordやExcel形式で作成した請求書をPDFデータとしてメールに添付するものを指します。発送コストもなく、手軽に導入できますが、セキュリティ面での不安や誤送信などのリスクも伴います。
② ダウンロード型
ダウンロード型は、電子請求書を社外のシステム上で取引先に共有し、取引先にダウンロードしてもらう形式のものです。共有方法はファイル転送サービスやオンラインストレージが使われることが多く、共有範囲の設定やダウンロード期間の確認、必要に応じた相手方へのリマインドなどが必要になります。
③ システム型
システム型は、請求書の作成から発行、取引先への交付までを一貫して1つのシステム上で行えるものを指します。取引先はクラウド上での閲覧や他のシステムとの連携が可能となり、システムによっては過去データの参照も簡単にできるものもあります。
電子請求書のメリット
電子請求書を導入するメリットはいくつかあります。
まず大きなものとして「手間とコストの削減」が挙げられます。
紙の請求書の場合、月末月初などの繁忙期に「郵送作業」に人手を割く必要が生じます。また、データを印刷し、封筒に入れて送ることから、用紙代・インク代・封筒代・郵送料といった経費も発生します。これらのコストは取引先の件数にひれいすることから、大きな企業であるほど電子化による大幅なコストダウンが見込めると言えます。
次にあげられるのが、「保管や検索のしやすさ」です。
請求書は法律によって保存期間が定められており、法人の場合7~10年の保存が必要となります。10年分の請求書を紙で保存する場合かなりのスペースが必要となりますが、電子請求書であれば物理的なスペースの確保は必要ありません。空いたスペースを別の用途に使用したり、保管にかかっていたコストを削減したりすることが可能となるのです。
また、紙で保存された10年分のファイルの中から必要な1枚を探しだすのは、至難の業といえます。同じ10年分の資料でも電子データとして管理していれば、検索機能を使って手間を省くことができ、紛失などのリスクも軽減することが可能です。業務の効率化という視点からも、大きなメリットと言えるでしょう。
その他、誤送信や改ざんのリスクを下げる、差し戻しや再発行に即対応できるなど、請求書の電子化は幅広いメリットを享受することができます。
電子請求書のデメリット
では、電子請求書導入によるデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
デメリットとして筆頭にあげられるのが、「導入コストが高くかかる場合がある」ということです。
紙の請求書を送付する場合、取引先が少なければ発送時の人的コストも経費もさほど大きくはなりません。取引の規模によっては、現在の発送コストを導入コストが上回ってしまう可能性もあります。請求書の電子化を進める際には事業の規模感や今後の展望も踏まえて検討するとよいでしょう。
また請求書を扱う部署が多岐にわたる場合、関係する社員の理解や教育にも気を配る必要があります。これまで紙の請求書が当たり前だったところにいきなり電子請求書を導入してしまうと、社内で思わぬ混乱を招きかねません。事前のリサーチや正確な情報共有、必要に応じた研修を徹底するなど、経理担当以外の社員のサポートも忘れずに行いましょう。
受取側のメリット・デメリットとは
電子請求書の場合、自社で導入するだけでなく、取引先から送付されてくることも想定されます。相手方の急な変更で慌てないように、電子請求書の受取側から見たメリット・デメリットも押さえておきましょう。
受取側のメリットとしては、発行側と同じく業務の効率化が実現する点が挙げられます。紙の請求書の場合、開封や保存にも手間がかかりますが、電子請求書であればそのコストは大幅に削減することができます。郵送によるタイムラグもないため、繁忙期や決算期でも迅速に業務を遂行することが可能です。
一方、2022年の改正電子帳簿保存法には電子請求書を受け取った場合の保存要件が定められており、中にはタイムスタンプの付与など、受領からの期限が設定されている要件も存在します。データ改ざんや廃棄などに対する罰則もさらに厳しく規定されているため、経理担当者だけが制度を理解していても十分とは言えません。電子請求書に関わる個々の従業員すべてに、電子データの保存要件や罰則規定、それらを踏まえた新しいワークフローをしっかり落とし込まなければならないのは、受け取り側の手間やコストが増加するという点でデメリットと言えます。後手に回らないよう、取引先の状況も見ながら早めに対応しておくとよいでしょう。
電子請求書に切替える際の注意点
最後に、実際に自社で電子請求書を発行する場合、受領する場合に分け、切り替えのタイミングで注意しておきたいポイントについて見ていきます。
発行側の注意ポイント
自社で電子請求書を発行する場合、最も気を配りたいのが取引先企業への対応です。請求書は取引の受注側・発注側双方が関わるものですので、一方的に変更してしまうとその後の取引にまで影響する可能性があります。まずは事前の確認や案内を丁寧に行い、スムーズに電子請求書の運用ができるように適宜フォローしていきましょう。
受領側の注意ポイント
次に受領側の注意するポイントを見ていきます。
電子取引データは、2022年1月より電子保存が義務付けられています。しかし、2022年の「改正電子帳簿保存法」や「令和5年度税制改正大綱」など、度々要件の緩和や猶予措置が行われており、その措置もいつまで続くのかわかりません。最新の情報を常にチェックし、その時の法令を遵守したデータ処理ができるように備えておきましょう。
また、通常の取引以外にもECサイトなどを経由した請求書のやり取りも想定されます。電子請求書も一定期間の保存が義務付けられていますので、関係する社員が適切に対応できるよう、社内教育を徹底しておきましょう。
デジタルトレードの紹介
しかし、インボイス制度や改正電子帳簿保存法など、経理業務を取り巻く法制度は目まぐるしく変化しています。全社員への教育を徹底しつつ、取引先への説明やフォローまで行うと考えると、電子化への一歩がとてもハードルの高いものに感じられるかもしれません。
そこでぜひおすすめしたいのが、請求書電子化支援サービスの導入です。
NTTコミュニケーションズの提供するクラウド型請求書電子化支援サービスBConnectionデジタルトレードは、請求書の受取/発行の両業務を一元管理できるのはもちろん、取引先へのサポートも充実しています。基本機能が無料から使えるため、取引先が電子請求書を導入する際の負担を抑えることができ、無料アプリによるサポートも受けることが可能です。
また、JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)がシステムやサービスをチェックし、電子帳簿保存法の要件を満たしていると判断したことを証明する「JIIMA認証」も取得しているため、法的要件を個々にチェックしなくても安心して業務を遂行できることも特徴です。
社内DX化のはじめの一歩としてぜひご検討ください。
まとめ
経理をはじめとしたバックオフィス業務は、今後さらにDXが進んでいくことが想定されます。変化のスピードに取り残されることなく、迅速に社内DXを進めることは、これから働き方が多様化する社会で生き残るために必要不可欠です。
まずは電子請求書の導入からDXの第一歩を踏み出してみましょう。