業務改善はどこから手をつける?DXやシステムの活用方法を解説
公開日:2023/7/19
業務改善には時間短縮が必要ですが「具体的な解決策がわからない」といった理由から、未だ取り組めていない企業も多いのではないでしょうか。実際に、業務改善を行う場合は現状把握以外にも現場の理解を進める必要もあります。
DXやシステムの導入は時間短縮と直結するため、早急に取り入れる必要があります。今回はDXとシステムの活用方法について詳しくみていきましょう。
目次
業務改善とは
業務改善とは、売上向上や経営を安定させるための業務の効率化を意味する言葉です。業務をスムーズに行えない状態では、製品の品質が低下するだけでなく、本来の利益獲得も難しくなります。
事業の問題点を改善するため、分析による課題の抽出、目的や業務フロー全体の見直しは重要です。出てきた課題を解決しつつ、業務フローの改善、売上アップを目指すことは経営の安定につながります。
さらに品質向上はもちろん、コスト削減や時間短縮といった3つの観点での見直しは重要です。また業務を可視化することにより、企業計画目的達成への業務プロセス最適化ができるため、健全な経営にも結びつくでしょう。
業務改善と効率化の違い
業務改善は事業においての課題を発見し、解決に向けて業務を効率的に行える仕事環境を作っていくことです。企業全体の生産性の向上を目指し売上を増やすのが目的となります。
対して効率化は、無駄なコストや時間を削減し、少ない作業量で改善の最大化を図るための取り組みです。業務改善に効率化は必要不可欠となるものの、コスト削減や時間短縮のみにとらわれると目的を見失う可能性があります。
たとえ業務時間の短縮に成功しても、成果が伴わない場合は改善されたとは言い難いです。あくまで業務改善の目的は生産性の向上にあり、売上を上げるための効率化は目標達成の手段と言えるでしょう。
DXもシステムも手段の1つ
業務改善においてDX(デジタルトランスフォーメーション)もシステムも目的ではなく手段の1つです。DXやシステムを目的としてプロジェクトを遂行した場合、失敗する可能性が高くなります。
DXやシステムを活用して何を成し遂げたいのかを明確にし、必ず当事者全員で目的の認識合わせをすることが重要です。現場と経営のトップに認識のズレが生じていると、DXを遂行しても達成できません。
現場は、経営者目線に立ち成し遂げたい目標への理解が大切です。経営トップは現場の状況を把握し、しっかり巻き込んで行く必要があります。
DXについて詳しく知りたい方はこちらから。
DXとは何か?経済産業省の定義から活用事例まで徹底解説
なぜ企業に業務改善が求められるのか
ここでは、日本企業に業務改善が求められている理由について解説していきます。生産性を向上させるためには、多様な働き方を受け入れる、評価制度を変化させるといった取り組みも必要となるでしょう。
多様的な働き方に合わせて生産性を向上させたい
政府は2019年「経済財政白書」を公表し「企業が生産性を高めるには働く人の多様性を高め、柔軟な働き方を取り入れる必要がある」と強調しています。
白書によると、女性高齢者や外国人などの人材が多様な企業はそうではない企業と比べ、多様性の高い方が年で1.3ポイント生産性が高いという結果が出ています。さらに柔軟な働き方を取り入れている企業では、2.1〜2.4ポイント生産性が高かったとのことです。
そのため、多様な働き方の取り入れと合わせた生産性の向上を求める企業は増えています。
無駄なコスト・時間をかけられる余裕がなくなってきている
現在企業には、無駄なコストや業務に時間を割く余裕がなくなってきました。原因として企業のデジタル化推進の遅れが挙げられます。
近年、様々な産業より新しいデジタル技術を用いたビジネスモデルが登場し始めました。
競争力の維持や強化のため、スムーズなDX遂行を求められているのが実情です。
日本でも多くの企業がデジタル化の重要性を認識し投資を行っているものの、未だビジネスの変革にはつながっていません。
すでに日本は、世界的に見てデジタル競争に乗り遅れていると言われており、早急な企業のDX推進への対策が求められています。
2025年の崖を超えられない可能性がある
2025年の崖は、2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」にある課題です。「DXが進まない場合は2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」として、企業にDX推進を促しています。
2025年の崖を防ぐには業務においてDXを遂行し、業務全体を効率化して改善することが必要です。しかし、企業の半数以上はDXに取り組めていない状況です。DX遂行が進まない主な要因は「対応できる人材がいない」「知識やスキル不足」と言われています。
現在のままでは2025年の崖を超えられない可能性が高いため、企業への業務改善が求められているのが現状です。
業務改善で時間短縮を行う5つのポイント
業務改善で時間短縮を行う上での注目すべきポイントは生産性の向上です。例えば新しいシステムの導入により、1日1人30分ほどかかっていた業務時間を半分に短縮できた場合、1人あたり約15分の時間を削減できる計算となります。
従業員が30名いると想定して計算すると、約450分(7時間半程度)もの時間短縮を実現することが可能です。
経費精算などの自動化が可能な業務を洗い出す
時間短縮により効率化を図るには、自動化可能な業務を洗い出すことが大切です。近年では、経費精算や勤怠管理のシステムの他にも、簡単で便利な新サービスが次々と登場しています。
経費精算システムは入力や申請の手間が省けるだけでなく、交通ICカードとの連携により不正申請の防止にもつながります。さらに、会計ソフトや勤怠管理システムといった他のサービスとの連携により、自動的に反映させることも可能です。
業務マニュアルを最新のものに変更する
新しく業務マニュアルを作成し更新することも、時間短縮を図るためのポイントです。現在の業務工程を正確に把握するためにも、最新のマニュアルへの変更は欠かせません。
従業員の気づきから新たな改善点、業務において変更すべき点を追記すると、最新情報の共有が可能となり、社内の情報格差の解消にもつながります。常に最新の状態にしておくと万が一トラブルが起きた場合、対応に追われる時間を削減することが可能です。
また、業務マニュアルは人材育成にかかる工数削減も図れます。新人研修において、仕事の流れからツールの使い方まで教える場合、工数に伴い時間もかかります。業務マニュアルを見てもらうだけで完結できる状態にしておくと、結果的に時間短縮にもつながるでしょう。
DXやシステムの導入を検討する
業務改善で時間短縮を行うために、DXやシステム導入の検討を推奨します。DXを推進することで業務の効率化だけでなく生産性の向上が可能です。従来の手作業をシステムへ移行し従業員の負担を軽減させると、他の業務に取り組む時間確保につながります。
オンライン会議やクラウドツールを活用すれば、場所にとらわれず業務を遂行できるため、リモートワークを行うことも可能です。システムの導入は人的ミスの防止につながり正確性も高まるため、業務効率化の改善が期待できるでしょう。
また、AIによる分析結果を業務に活かす、電話応対が多い場合はチャットボットを導入するといった方法でも業務効率化を図ることが可能です。加えて、RPAを活用した場合、システムによってPCの操作を自動化できるため、定型業務などであればすぐに改善できる可能性があるといえるでしょう。
フレームワークを採用する
業務改善に取り組む場合、フレームワークを採用することで効果を発揮するケースも少なくありません。例えば、ECRCの場合は、不要な業務の検討から統合、手段の交換、簡略化などといった順番が決まっているため、業務を遂行する際の基準の1つにすることが可能です。
現在の業務を分析、見直す
現在の業務の分析・見直しも大切です。例えば、紙が多ければペーパーレスにする、コア業務以外にどこに時間を割いているのかはっきりさせ、自動化を進めるといった方法が検討できます。
また、コミュニケーションが足りない場合は、ツールの導入だけでなく、目的や使い方まで説明することで形骸化を防ぐことが可能です。
業務改善でDXやシステムを活用する際に考えたいこと
ここでは、業務改善で時間短縮させるためのDXやシステムの活用ポイントについて解説します。例えば、業務改善を行う場合であってもいきなり全てのシステムを変えることはできません。従業員の理解を進め、考え方を変えるところからスタートしましょう。
手順と必要な体制を理解する
DXやシステムの導入を行う場合は、必要な手順・体制を把握しましょう。例えば、次のような手順であれば、現場の混乱は少ないといえます。
・DXやシステムの概要・目的を伝える
・現場に合わせてどのように変化させるのか話し合う
・社内・外部で計画を立て使用できるように人材育成する
・社内の理解を進めるために過程・結果・改善を繰り返す
・現場に最小単位で実装し、広げていく
また、体制作りについても見直す必要があります。権限があるとしても丸投げになっていないか、現状では何に取り組んでいるのか部内やプロジェクトメンバーしかわからないといった場合は教育不足といっても過言ではありません。
人材活用、育成
人材活用や育成についても見直しを図りましょう。例えば、DXで必要とされるデータ活用を行う場合、社内だけではノウハウが足りないケースも多いといえます。その場合は、研修や外部の支援会社に依頼し、考え方から実際にどのような活用方法ができるのかを知識として社内で根付かせる必要があるといえるでしょう。
加えて、DXを進める場合は社内でデータを活用できる流れを構築し、事業に活かすといった経営指針の在り方も変化する可能性があります。環境と体制を作るまでは大変ではあるものの、継続して人材活用・育成ができれば企業の将来的な活動の幅を広げられる可能性が高めることが可能です。
導入したい業務を決めて最小単位からスタートする
自社の現状を把握しシステムを導入したい業務を明確にした後、最小単位からスタートさせることを推奨します。DX推進に向けて取り組み始めても、即座に大きな改革を起こすのは難しいのが実情です。
DXの推進には既存の仕組みを変革する必要があるため、技術以外の様々な障壁が立ち塞がります。そのため、最小単位からスタートさせて課題に取り組みつつ、手早い業務改善に結びつけることが大切です。
社内の課題に合わせて必要なものを選定する
自社の現状を分析し把握することにより、社内の課題が見えてきます。課題に合わせて解決に必要なシステムを選定し、体制を整えていくことが大切です。DXを遂行させるためには組織だけでなく、所属する社員も含めて全員が積極的に取り組んでいく必要があります。
必要に応じてDX人材を雇用し、時間短縮のためDXやシステムを導入することにより、変革スピードが向上するでしょう。
長期的な目線で取り組み、改善する
DX遂行は長期的な目線で取り組みつつ、改善を目指していくことが大切です。業務改善としてDXやシステムを導入しても、即座に課題を完了させられる訳ではありません。
PDCA「Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)」を上手く回しつつトライアンドエラーを繰り返し、洗練させていきましょう。継続的に実施していくことにより、業務改善のみならず企業の競争力向上にもつながります。
DXやシステムによって業務改善で時間短縮ができた事例
最後に、DXやシステムによる業務改善で時間短縮に成功した事例について解説します。DX推進の参考にしましょう。
顧客を巻き込んだ業務効率化・改善
ニューヨーク生まれのモダンなハンバーガースタンド「Shake Shack」の事例です。Shake Shackは、注文からカウンターに行くまでの顧客体験により、ストレスを感じる瞬間を分析しました。
分析結果から待ち時間を短縮させる業務の流れを作り、注文時に起こりがちな混乱を排除することに成功しています。実際に、Shake Shackをモデルケースに導入した店舗では顧客単価15%増加を実現し、人件費削減にも成功しています。
目標設定と情報共有
業務用エアコン事業者の「日美装建」による事例です。クラウド技術による情報共有を導入し、エアコン清掃業務において約10%赤字化していた課題に取り組みました。スマホで収集した現場情報をリアルタイムで可視化し、作業効率の大幅アップに成功しています。
また、スタッフ一同での現場情報共有が可能となり、分析の意識が高まっただけでなく明確で根拠のある数字を持ち業務を進めることができています。
グループウェアの利用
回転寿司チェーンの有名店「株式会社あきんどスシロー」によるグループウェア導入事例です。コミュニケーションの分離により起こりがちな重要事項の伝達遅延や通知漏れがあったものの、グループウェアの導入により改善させました。
さらにアプリを活用した予約システムやタブレット注文、セルフレジなどを取り入れており、時間短縮を実現させています。メンテナンス不要のクラウド型サービス導入により、コミュニケーションの円滑化や維持管理といった利便性の向上も注目すべきポイントです。
まとめ
業務改善には時間短縮のためにDXやシステムを導入し、効率化を図ることが大切です。業務改善は、従業員の働きやすい仕事環境作りにもなり、離職率の減少にもつながります。ただし、DXやシステムを導入する際には、現場の声を拾い、把握するところからスタートしましょう。
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