ICTとは?総務省の定義から教育・建設などの活用事例まで徹底解説
公開日:2022/05/25
目次
そもそもICTとは
ICTを導入する前に、ICTの基礎知識について再度確認しましょう。ここではICTの定義、IT・IoT・DXとの違いについて解説します。
総務省の定義するICT
ICTとは、情報通信技術を指すInformation & Communications Technologyの略称です。企業によって解釈が異なるものの、総務省による定義では、汎用ICTとして携帯電話やインターネットが挙げられています。どちらも先進国か途上国かを問わず普及しており、社会に大きな変革をもたらしたツールです。
IT・IoT・DXとの違い
ICTとIT、IoT、DXは言葉や意味が似ているため、混同されやすい用語です。しかし以下のように、それぞれ指し示すものが少しずつ異なります。
- IT…情報通信の基盤となる技術、それらの活用方法。
- IoT…ICTの中でも、物同士をつなぐ技術や手法。(例:家電の遠隔操作)
- DX…ICTやIoTの取り組みによって実現するデジタル変革。
20年ほど前から使われている「IT」は、情報技術そのものを指すため、比較的狭い範囲を表します。一方、ICTは活用方法も含むため、その技術を導入するだけで実現できるものではありません。
ICTが必要となる理由
近年はビジネス改革が激しく、これまで以上にICTが重要視されている状況です。ここでは、ICTが必要とされている理由をみていきます。
業務・データのデジタル化が加速
社内での情報伝達やデータ保管などの効率を上げるため、業務・データのデジタル化が加速しているのが理由の一つです。最近の業務においてはパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット端末も積極的に活用されています。
また、ICTは社内だけでなく、重要な取引先とのやり取りのような社外業務でも活用されています。これは、無料の音声通話サービスやチャットツール、フリー電子メールなどのコミュニケーションサービスが増加したためです。
業務スタイルの多様化
テレワークのように、職場から離れた場所で働くには、ICTが必要不可欠です。柔軟な働き方を実現するため、副業や兼業などといった業務スタイルの多様化は、厚労省によっても推進されています。
ビジネスシーンでは、ChatWorkやSlackのようなチャットサービス、ZOOMのようなビデオ会議サービスがよく用いられています。現在はICTの発展により、出勤を伴わないテレワークでも、従業員間での連携が可能になりました。
人材不足に伴う業務効率化が必須
企業における人材不足を補おうとする際の対処法として、人材を増やす以外に業務効率化が挙げられます。人材不足によって、従業員一人ひとりが背負う業務負担をICTの導入・活用によって軽減することが可能です。
例えば、従業員の勤怠や顧客情報の管理、売上計算などは、機械に任せられる単純作業といえます。ICTの積極的な活用によって、ヒューマンエラーの防止にもなります。
ICTを導入するために必要なもの
ICT導入を成功させるためには、会社全体でどのように取り組むかが重要です。ここでは、ICTを導入するために必要なものを解説します。
全社員一丸となった目標・体制づくり
ICTの導入には、企業経営者だけではなく、全社員が一丸となっての取り組みが求められます。導入後は全員がICTユーザーとなるため、周知のみならず導入計画にも参加させ、自分事という意識を持たせることが必要です。
社員の中でIT系に明るい人材がいる場合、中心となるチームを結成して、ICTの技術や知識を共に学びながら進行するとよいでしょう。リーダーを立てれば、経営者がITを苦手とする場合でも、スムーズな導入が実現可能です。
必要な権限を必要なところに与える
ICTには情報漏洩のリスクを避けるため、セキュリティ機能としてアクセス権、root権などの権限が存在します。ICT化を図る際には、それぞれの権限を理解し、必要なところにのみ付与しましょう。
特に社外のスタッフや新人従業員など、まだ職場に不慣れな人材を登用する場合、権限をどの程度付与するかが重要となります。
現状の課題の把握
企業のコンセプトや業務内容によっては、全ての業務にICTが適しているとは限りません。ICT導入の前に、現状の業務での課題・改善点を把握しておけば、適切な場所に導入できます。
ICT対応で企業に求められるもの
ICTの対応において企業に求められるものは、ICTに対する研修、人材育成ノウハウ、ITリテラシーの3点です。詳しくみていきましょう。
ICTに対する研修
ICTの導入とともに社員向けの研修を行い、基本の使用方法から活用方法まで周知することが重要です。ITリテラシーの向上やマナーの意識も高めつつ、ICT機器・ツールの誤操作を防止する目的で行います。
近年は、SNS上の不適切な投稿によって、企業の信頼を著しく損なうようなケースが頻発しており、企業や顧客から問題視されています。ICTの研修では、そのような社員のミスを防ぐため、インターネット上での情報発信における注意喚起も必要です。
また、DXについても同時に学ぶ必要があります。ICT活用の取り組みが最終的にどういった地点へ着地するのかを周知すれば、研修に対する姿勢が変わるでしょう。
人材育成ノウハウ
ICT研修を社内で完結させる場合、その講師を任せる社員には、人材育成のノウハウが必要不可欠となります。ただ知識を教えるだけでなく、ICTに対する全社員の意識レベルを踏まえたうえで、意欲的に参加できるような工夫が求められます。
人材育成に自信がない場合は、社外研修を検討しましょう。プロの講師に依頼するためコストはかかるものの、企業全体に必要な知識やスキルが身につきます。
ITリテラシー
ICTの導入時には、企業経営者や上層部のITリテラシーも重要です。特に近年では、新しい働き方が広まったことでサイバー攻撃の被害がより強く懸念されているため、企業経営においてITリテラシーは必須なものといえます。
ITリテラシーにおいて課題が見られる場合は、ICTを実際に導入し、活用していくとよいでしょう。ICTについて触れる中で、ITリテラシーも自ずと向上します。
ICTの活用事例
教育におけるICT活用
最近の教育現場では、公立・私立問わず積極的にICTの導入と活用が進められています。授業に対しても紙と板書だけではなく、タブレットやPCによる映像・音声を用いるなど、ICTを活用した新しい教育を試みる動きが増えてきました。
平成18、19年度には、文部科学省委託事業によってICTによる効果の調査研究が実施されました。全国で752件の検証授業を行い分析した結果、ICTを用いた授業を実施した教員のうち98.0%が、授業の関心・意欲・態度の観点において「効果があった」と答えています。
ICT活用によって学童が意欲的に勉学できるようになるだけでなく、教員としても作業効率の向上が可能です。
建設におけるICT活用
建設業では、設計・施工・維持管理の3つの観点からみて、ICT活用により生産性を高められるとの期待が上がっています。国土交通省では、建設現場へのICT導入を促進するため、平成20年2月25日に「情報化施工推進会議」を設立しています。
地方自治体におけるICT活用
ここでは、長崎市の下水処理場を例にみていきます。「Web広域監視」というICTの導入に成功した長崎市では、維持管理費の約4%(年間1.2億円)に上るコスト削減の効果が現れました。
ICT導入前は施設の現場担当のみが状況を把握でき、故障した場合は確認のために現場へと赴く必要がありました。ICTの導入後は、リアルタイムに処理場等の施設の状況把握が可能となり、生産性の向上につながっています。
まとめ
昨今の日本では、中小企業に対してもICTの導入・活用が推進されつつあります。しかし、研修コストの負担や知識・経験不足による懸念から、導入に踏み切れない企業も多いといえるでしょう。
ICTを活用した場合、さまざまな業務において生産性向上の効果が現れると期待されています。結果として、企業全体の業績アップや信頼構築へとつながるケースもあるため、単純作業に対しては効率性から見直してみましょう。
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