扶養家族とは?税法と社会保険の違いをわかりやすく解説!

扶養家族とは?税法と社会保険の違いをわかりやすく解説!

公開日:2023/3/8

一般的に、扶養家族とは、自分の収入で養っている家族のことを指します。

従業員が扶養家族の異動を申し出てきた際、「配偶者や子どもがパート・アルバイトをしている場合はいくらまでなら扶養家族にできるのか」と頭を悩ませる担当者の方もいらっしゃるでしょう。

税法と社会保険では、扶養家族の条件は異なります。本記事では、それぞれの条件や対象範囲、扶養家族のメリットなどについて分かりやすく解説しますので、参考にしてください。

扶養家族とは

自分の収入で養っている家族を指して、「扶養家族」といいます。

例えば、「会社勤めのA氏」が自分の収入で「小学生の子ども」を育てている場合、その子どもは、A氏の「扶養家族」です。

「税法」と「社会保険」では扶養家族の条件が異なるため注意が必要です。それぞれについて解説します。

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対象範囲

扶養家族の対象範囲は、税法と社会保険とで異なり、次のとおりです。

・税法:配偶者以外の親族(六親等内の血族および三親等内の姻族)
・社会保険:本人の直系尊属・配偶者・子・孫および兄弟姉妹

それぞれについてみていきます。

税法

税法上で、扶養家族とされるのは、配偶者以外の親族(六親等内の血族・三親等内の姻族)です。

また、配偶者は「扶養家族」に含まれません。配偶者が無職の場合は、「配偶者控除」「配偶者特別控除」という、扶養家族とは別の枠で控除するという点を把握しておきましょう。

「血族」とは自分にとっての親や祖父母・子・孫など、一般的に血縁関係にある人を指します。ただし、養子縁組をした場合なども法律上「血縁者」と見なされることがある点に留意しましょう。

「姻族」とは配偶者の血族を指します。例えば、夫にとって「妻の両親」や「妻の兄弟」は「姻族」にあたります。

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社会保険

社会保険、扶養家族とされるのは三親等内の親族です。配偶者も含まれます。また、配偶者はいわゆる「事実婚」であった場合でも、扶養家族として認定されます。

対象範囲が税法とは異なる点を把握しておきましょう。

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対象となる条件

対象の家族がいくらまでの年収であれば扶養家族とみなされるのでしょうか。税法と社会保険では異なるため、それぞれについて見ていきましょう。

税法

税法、「扶養家族」の条件は次のとおりです。

・納税者と生計を一にしている
・合計所得金額が48万円以下
・青色申告者の専従者として給与を受けていない
・白色申告者の専従者ではない

「納税者と生計を一にしている」とは、生活費・教育費などを負担しているということを指します。そのため、必ずしも同居でなくとも生活に必要な費用を負担している場合、扶養家族とみなされます。

扶養家族の所得条件は「48万円以下」です。扶養家族がパートやアルバイトをして給与を受け取っており、給与以外の収入がない場合、扶養家族となれる給与の上限額は103万円までとなります。

具体的な計算方法は次のとおりです。
・(給与収入)103万円-(給与取得控除)55万円=(合計所得金額)48万円

給与収入が103万円を超えると、条件から外れるため扶養家族にはなれません。

社会保険

社会保険、「扶養家族」の条件は次のとおりです。

・年収130万円未満
・対象者が本人(被扶養者)の年収の半分未満
・75歳未満

年収130万円未満が基本ですが、本人(被扶養者)の年収が260万円未満である場合は、年収が130万円未満であると同時に、被扶養者の年収の半分未満でなければ扶養家族となることはできません。被扶養者の年収により扶養家族になれる年収条件が異なる点に留意しましょう。

扶養家族が働く企業によっては106万円を超えた場合に、社会保険に加入しなければならない企業もあります。その場合は、年収が130万円未満であっても夫の社会保険の扶養からは外れなければなりません。

扶養家族が75歳を過ぎると「後期高齢者医療制度」に加入する義務があるため、収入金額にかかわらず、外れなければならない点にも留意しておきましょう。

加入・削除が可能

子どもが誕生した、結婚して配偶者ができた、配偶者が仕事をやめた、扶養家族が就職した、など、さまざまな事情が生じます。

扶養家族が変わったと従業員から申し出を受ける都度、加入・削除の手続きが必要です。手続きのタイミングについて解説します。

税法

税法では、その年の12月31日の時点で扶養親族の判定をしています。そのため、年末調整ごとに加入・削除の申し出を行うのが一般的です。

なお、会社によっては社会保険の申請をしたタイミングで、毎月行う給与計算の扶養家族人数を変更する場合もみられます。

社内のルールを統一しておきましょう。

社会保険

社会保険では、「子どもが生まれた」「扶養家族が就職した」などの事実が発生から5日以内に事業主(会社)を経由して加入・削除の手続きを行います。

扶養家族のメリット

扶養家族にすると、「税法」「社会保険」それぞれにメリットが生じます。詳しく見ていきましょう。

税法

扶養家族がいると所得控除の対象となります。そのため、扶養家族がいない場合と比較して、本人の所得税や住民税などの税負担が低くなる点がメリットです。

社会保険

社会保険の扶養家族になると、扶養家族は自分で社会保険料を支払う必要がありません。社会保険料の負担がないまま、被扶養者の勤務先が発行する健康保険証を利用できる点がメリットです。健康保険料の支払い負担なく、医療機関を3割負担の医療費で受診できます。

また、厚生年金に加入している配偶者の扶養家族となった場合、「国民年金第3号被保険者」として扱われるため、将来国人年金を受け取ることができます。第3号被保険者は保険料の支払いが不要です。

なお、扶養家族が配偶者以外の場合、年金については、扶養家族であっても毎月の支払いが必要となる点には留意しましょう。

扶養家族となるための手続き

扶養家族になるためには手続きを行わなければなりません。税法と社会保険の手続きは異なります。

従業員から「子どもが生まれた」「結婚して配偶者を養うこととなった」「親を養うことになった」といった問い合わせが来た場合、会社で手続きを行わなければなりません。

一般的な流れについてみていきましょう。

税法

税法の扶養に入れる場合は、毎年、年末調整時に出す「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」内に必要事項を記入してもらいます。

なお、税法、12月31日の扶養者数で税金の計算を行うことを把握しておきましょう。

年末調整を出した後で、年内に親を扶養することになったと従業員から届け出があった場合はタイミングにより処理方法が異なります。

社内で訂正が出来る場合は、訂正を行いましょう。既に、届出を済ませている場合は、従業員本人に確定申告を行ってもらう必要が生じます。

確定申告の医療費控除について詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
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社会保険

社会保険の扶養に入れる場合は、被扶養者となる事実が発生した日から5日以内に「健康保険被扶養者(異動)届」と必要な添付書類を、所轄の年金事務所や所属している健康保険組合などに提出します。

郵送・窓口持参・電子申請といった提出方法が可能です。

必要な添付書類は次のとおりです。
・被保険者との続柄が分かる書類:戸籍謄本・戸籍抄本・住民票の写しなどいずれか1つ
※姪・甥など同居条件が必要な続柄の場合、同居の事実を証明するために世帯全員が記載された住民票が必要

・収入要件確認の書類:
退職者の場合「退職証明書」「雇用保険被保険者離職票の写し」など
年金受給者の場合「年金額の改定通知書の写し」など
※被扶養者が16歳未満の場合は、収入の確認書類は不要

その他、別居中の家族に仕送りしている場合は、仕送りが証明できるもの(通帳の写しなど)が必要となる場合があります。

扶養家族は税法と社会保険で異なることがある

税法上、配偶者は扶養家族ではありません。一方、社会保険は事実婚の場合でも扶養家族となりえます。

また、扶養家族とする上限金額も税法・社会保険では次のように異なるため注意が必要です。
・税法:合計所得金額が48万円以下(例:給与収入103万円以下)
・社会保険:年収130万円未満

税法の届け出は年末調整時の書類記入のみで対応できます。一方、社会保険の場合は異動があって5日以内の届け出が欠かせません。

社内ルールを作り、扶養家族の異動があった場合、速やかに届け出てもらうよう周知徹底しておくことが大切です。その際、どのような書類の提出が必要になるのかについても、従業員にわかりやすくまとめておくとよいでしょう。

まとめ

自分の収入で養っている家族を「扶養家族」と言います。税法と社会保険の扶養家族の定義は異なるため注意が必要です。

社会保険、扶養家族に異動があった場合は速やかな申告が欠かせません。異動届だけではなく、添付書類が必要となるケースも多く見られます。担当者の方は、扶養家族に変更があった場合の社内の届け出ルールを作り、従業員に周知徹底しておきましょう。

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