持続化給付金はもう受け取れない?2023年最新の助成金・補助金制度を解説
公開日:2023/3/8
持続化給付金は2020年5月から2021年2月にかけて実施された、中小企業および個人事業主の事業持続を支援する給付金制度です。現在は申請受付を終了しており、別の制度に変わっています。
事業活動において日本には、必要な支援を受けられる制度が多く存在します。しかし、制度の存在は知っていても、申請要項や手続きの方法がわからず活用できていない事業者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、持続化給付金の概要や新制度の情報、併せて活用したい助成金・補助金制度、受け取りまでの流れについて解説します。
目次
持続化給付金は過去の施策
持続化給付金は経済産業省の中小企業庁による給付金制度です。新型コロナウイルス感染症の拡大により大規模なダメージを受けた事業主に対し、継続と再起を支援するために行われていました。しかし、給付申請は2021年2月15日(月)で終了しています。
適用条件
持続化給付金の適用条件は以下の通りです。
1.2019年以前から当該事業収入があり、今後も事業継続する意思がある
2.2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大などの影響を受け、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(対象月)がある
3.2020年4月時点で、資本金額または出資総額が10億円未満もしくは常時使用する従業員が2,000人以下である
4.不給付要件に該当しない者である
持続化給付金では個人事業主やフリーランス、中小企業の事業者が対象とされているため、資本金額・出資総額や従業員数に制限があります。また、不給付要件では公共法人や性風俗関連特殊営業、政治団体など、本制度の趣旨・目的に適当でないとされる事業者が給付対象外とされていました。
助成金・給付金との違い
補助金と各種助成金および給付金では、実施目的や審査の有無などに違いがあります。主な特徴の相違点を下記表にまとめました。
目的 | 審査 | 受給額 | 提出期間 | |
---|---|---|---|---|
補助金 | 新規事業開拓・新規サービス導入などに関する支援 | 有 (審査を経て採択されれば受給可能) |
数百万円 | 短い (数ヶ月単位) |
助成金 | 雇用関係支援(厚労省)、研究開発支援(経産省) | 無 | 数十万円 | 長め (1年以上) |
給付金 | 広義的な支援 |
助成金・給付金では、受給できる金額は低額なものの、審査不要で提出期間にも比較的猶予があります。一方、補助金は受給額が数百万円程度と高額ですが、審査・採択を必要とし、提出期間も比較的短くなる点が特徴です。
今からなら助成金や補助金を
持続化給付金制度の申請受付終了以降、2022年3月29日より「小規模事業者持続化補助金」が新設されています。一方、持続化補助金では提出期間があるものの通年での申請が可能になったうえ、2023年からは新たにインボイス特例が追加されました。
また、厚生労働省や経済産業省および関連事業者による各種助成金制度も活用できます。受給条件を確認し、必要に応じて申請しましょう。
持続化補助金と組み合わせたい助成金と補助金
事業全般に充てられていた持続化給付金の内容は現在、持続化補助金をはじめさまざまな各種助成金・補助金制度に分類されています。持続化補助金と併せて検討したい制度をみていきましょう。
IT導入補助金
ITツールを導入する際、小規模事業者・中小企業はIT導入補助金が活用できます。本制度ではITツール導入にかかった経費の1/2(最大450万円)が補助されるほか、IT導入支援事業者による申請・手続き時のサポートが受けられます。対象事業は下記表の通りです。
業種・組織形態 | 資本金 | 従業員 | |
---|---|---|---|
資本の額 または 出資の総額 |
常勤 | ||
資本金・従業員規模の 一方が、右記以下の場合対象 (個人事業を含む) |
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 | |
サービス業 (ソフトウエア業、 情報処理サービス業、 旅館業を除く) |
5,000万円 | 100人 | |
小売業 | 5,000万円 | 50人 | |
ゴム製品製造業 (自動車または航空機用タイヤ およびチューブ製造業、 ならびに工業用ベルト製造業を除く) |
3億円 | 900人 | |
ソフトウエア業または 情報処理サービス業 |
3億円 | 300人 | |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 | |
その他の業種 (上記以外) |
3億円 | 300人 | |
その他の法人 | 医療法人、社会福祉法人、 学校法人 |
- | 300人 |
商工会・都道府県商工会連合会 および商工会議所 |
- | 100人 | |
中小企業支援法 第2条第1項第4号に 規定される中小企業団体 |
- | 主たる業種に 記載の従業員規模 |
|
特別の法律によって設立された 組合またはその連合会 |
- | 主たる業種に 記載の従業員規模 |
|
財団法人(一般・公益)、 社団法人(一般・公益) |
- | 主たる業種に 記載の従業員規模 |
|
特定非営利活動法人 | - | 主たる業種に 記載の従業員規模 |
※引用:補助対象について | 中小企業・小規模事業者のみなさま
2022年度時点の類型は通常枠(A・B類型)・セキュリティ対策推進枠・デジタル化基盤導入枠の3つです。補助制度を受けるには電子申請に使用するGビズIDプライムアカウントの取得に加え、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が行う「SECURITY ACTION」にて1つ星〜2つ星の自己宣言が必要になります。
事業再構築補助金
長期にわたる新型コロナウイルス感染症拡大などの影響で事業環境が年々厳しさを増しているため、ポストコロナ・ウィズコロナ時代に適応した強い事業の再構築を支援する目的として創設された補助金制度です。本制度は事業・業種の転換や再編、新事業展開といった大胆な事業改革を目指す事業者を対象としています。具体的には下記業種が対象です。
業種 | 資本金 (資本の額または出資の総額) |
従業員 (常勤) |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 (ソフトウエア業、情報処理 サービス業、旅館業を除く) |
5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業 (自動車または航空機用タイヤ およびチューブ製造業、 ならびに工業用ベルト製造業を除く) |
3億円 | 900人 |
ソフトウエア業または 情報処理サービス業 |
3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種 (上記以外) |
3億円 | 300人 |
引用:事業再構築補助金
第7回公募よりさらにポストコロナ・ウィズコロナ時代へ適応できるよう、補助金類型が新設されました。現在は通常枠・大規模賃金引上枠・回復・再生応援枠・最低賃金枠・グリーン成長枠および原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)の6つに分かれています。
IT導入補助金と同様、電子申請にGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。未取得の場合は利用登録を行いましょう。
キャリアアップ助成金
短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用者における企業内でのキャリアアップを支援するため、都道府県労働局およびハローワークによりキャリアアップ助成金制度が行われています。
2022年末より正社員化コースの助成金額が拡充され、最大68万円の助成が受けられます。正社員化コースは、人材開発支援助成金における規定訓練の修了後、非正規雇用者が正社員化した場合に助成金額が加算されるコースです。加えて、下記表の通り6つのコースがあるため、雇用状況に合わせて検討しましょう。
正社員化支援 | 正社員化コース | 非正規雇用者を正規雇用労働者に転換または直接雇用 |
---|---|---|
障害者正社員化コース | 障害のある非正規雇用者を正規雇用労働者に転換 | |
処遇改善支援 | 賃金規定等改定コース | 非正規雇用者の基本給の賃金規定などを改定し3%以上増額 |
賃金規定等共通化コース | 非正規雇用者と正規雇用労働者との共通の賃金規定などを新たに規定・適用 | |
賞与・退職金制度導入コース | 非正規雇用者などを対象に賞与・退職金制度を導入し支給または積立てを実施 | |
短時間労働者労働時間延長コース | 非正規雇用者の週所定労働時間を3時間以上延長し、社会保険を適用 |
※選択的適用拡大導入時処遇改善コースは2022年9月末をもって廃止されたため省略。
持続化給付金・助成金・補助金の共通点
旧制度の持続化給付金、現制度の助成金・補助金では細かな違いがあるものの、大まかな趣旨・目的は変わっていません。それぞれの制度における共通点を2つみていきます。
返済の必要がない
持続化補助金は持続化給付金と同様に融資制度ではないため、返済の必要がありません。また、前述した各種助成金・補助金制度の利用においても返済は不要です。ただし、適用条件未満にもかかわらず誤って申請・不正受給した場合などには自主返還が求められます。
書類も含めて提出期間がある
持続化補助金に変更後は通年で申請できるものの、旧制度と同様に1回ごとに提出期間が設けられています。郵送申請の場合は、期限日を考慮したうえで早めの準備が必要です。Jグランツを利用する電子申請の場合、期限日当日まで猶予があるものの、共同申請の場合には利用できません。
助成金や補助金の受け取りの流れ
助成金や補助金を申請してから受け取るまでの流れは次の通りです。
1.助成金(補助金)の申請書類提出
2.補助金適用条件の審査・採択(※助成金は審査なし)
3.採択後、補助金交付申請書・経費相見積書の作成
4.交付決定通知書の受け取り
5.当該事業を実施する
6.支給申請
いずれにおいても、事前に申請した事業内容を適切に実施しなければ受給できません。事業の実施状況は、実績報告書や経費関連書類の提出により把握されます。もし、途中で申請内容と変更があれば、事務局へ別途に変更申請が必要となる場合もあります。
まとめ
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