バックオフィスとは?職種や課題点、業務効率化の方法などを徹底解説

バックオフィスとは?職種や課題点、業務効率化の方法などを徹底解説

公開日:2023/3/8

日本中でDX化や働き方改革が推進される中、企業の核ともいえるバックオフィス業務の効率化が叫ばれています。
しかし、バックオフィスに該当する業務の認識があいまいである、重要視される理由がわからないといった事業者の方もいるでしょう。

本記事では、バックオフィス業務の概要と該当する職種、業務効率化における課題点やおすすめの方法について解説します。

バックオフィスとはどんな仕事

バックオフィスは「事務部門」とも呼ばれ、メイン業務(フロントオフィス)の後方支援にあたる役職です。直接的な利益を生み出すわけではないものの、企業運営を安定して継続するための重要な役職といえます。

フロントオフィスとの違い

バックオフィスとフロントオフィスの違いは、顧客と直接関わるかどうかにあります。バックオフィスでは従業員とのコミュニケーションを積極的に行う一方で、顧客と直接関わることはありません。

しかし、フロントオフィスは見込み顧客やクライアントと直接コミュニケーションをとるため、企業の「顔」ともいわれます。例えば、営業職や受付業務、コールセンターなどが該当します。

ツールやサービスを活用できる

バックオフィスの品質が高いほどフロントオフィス業務が適切にサポートされ、企業全体の生産性も向上します。しかし、人員不足に陥りがちな中小規模の企業では、バックオフィス業務に時間や金銭的なコストを割けない場合もあるでしょう。
現在はIT化が進み、AIやRPAなどのバックオフィス業務に役立つツールが多数開発されています。また、フロントオフィスやコア業務により集中したいのであれば、アウトソーシング企業の外部委託サービスも活用できます。バックオフィス業務が負担に感じる場合は、ツールや委託サービスの導入も検討しましょう。

バックオフィスとされる職種

ここでは、バックオフィスに該当する主な職種と業務内容をみていきます。いずれも、企業活動を続けていくにあたって必須といえる役職です。

総務

総務は企業の役職においてもっとも広義的といえます。事業主の考え方や企業の状況によって定義はさまざまですが、メインとなる業務は次の通りです。
1.管理業務(個人情報、オフィス設備など)
2.社内ルールの整備(福利厚生など)
3.企業や事業のブランディング
4.社内行事の運営企画

管理職とも呼ばれる総務は、社員の個人情報からオフィスの消耗品までさまざまなものを管理します。さらに、社内ルールの策定・改定やイベント企画など、社員が働きやすい職場づくりにも携わっています。また、どの事務職にも該当しない雑事的な業務を担う場合もあり、非常に負担がかかりやすい役職です。

事務

事務職では他部門や社員の業務が円滑に回るよう、事務業務全般を担当します。各種書類の作成やファイリング処理、データ入力などを扱うものの、まれに電話対応や来客対応を行う場合もあります。他部門との連携力、業務の正確性が重視される仕事です。

以前は専門性のない仕事といわれていましたが、IT化によりExcelやクラウドツールなどを使用する企業が増加しており、相応のPCスキルが求められます。そのため、もっともアウトソーシングを活用しやすい業務といえるでしょう。

経理・財務・会計

経理・財務・会計はいずれも、企業経営の資金繰りや資産を管理する役職です。企業規模によっては全社的に行われるケースもあります。それぞれの主な業務を下記表にまとめました。

役職 業務内容
経理 ・給与や保険の管理、計算
・減価償却などの経費精算
・決算書や帳簿の作成
財務 ・企業の資産や予算の管理
・財務戦略の設計
・余剰資金の使途検討、資産運用
会計 ・売上額や仕入れ額の管理
・各種税金の算出
・その他一般的な会計処理

経理と財務はどちらも会計部門に含まれるものの、それぞれ「過去に使用した資金」と「今後使用する資金」を管理するという違いがあります。一般的な会計業務に加えてさらなる専門性が求められるため、役職を分類される場合が多いです。

経理と財務・会計の違いについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
経理とは?財務・会計の違いとの違いを知り業務効率化を目指すには

人事

人事はバックオフィスの中核となり、社員の採用や評価・教育制度の規定および見直しなど、人材に関する業務を行う執り行う役職です。例えば、次のような業務があります。

1.人材採用、社員雇用状況の管理
2.組織配置、評価制度の企画
3.人材教育制度の企画、見直し
4.社員の勤怠管理

企業活動を後方から支援しつつ、採用活動においては企業の顔となり責任を問われるのが人事です。企業の生産性だけでなく顧客からの評価にもつながるため、バックオフィスの中でも直接的な利益にかかわる仕事だといえます。

広報

広報職は企画職の一部であり、「社外広報」と「社内広報」の2種類に大別されます。それぞれの主な業務内容は下記表の通りです。

役職 業務内容
社外広報 ・プレスリリース配信、取材対応
・自社メディア更新(ブログ、Twitterなど)
・新しい商品、サービスの立案
社内広報 ・社内報の作成、配布
・社内コミュニケーションによる情報共有

自社製品を顧客に発信したり、発信用のコンテンツを作成したりするため、営業に近い役職ともいえます。近年は営業部署と連携しつつ、インターネットを通して直接顧客ともつながる業務です。

物流

物流担当の業務内容は、自社から顧客(購入者)へ有形の商品を届けるプロセスにおける管理・フォローです。具体的には次のような業務が該当します。

1.商品の積み下ろし、仕分け、検品作業
2.物流倉庫(在庫)の管理、棚卸し
3.出荷準備、配送業務・手続き
4.流通加工、包装

インターネット通販を展開する企業が増加している中、物流の需要は急激に高まっています。配送業務自体は属人化しづらいため、外部委託する場合も多い業務です。

企画

企画職は広報部の立案に基づき、新商品やサービスの開発・制作に携わったり、広報部や営業部と連携して顧客へ宣伝したりする役職です。マーケティング力や創造力が必要となるため、ある種の専門性が問われます。

顧客へ提供する商品だけでなく、業界のある領域において課題を解決するためのマーケティング戦略を立案する部署でもあります。バックオフィスではあるものの、市場動向を探るために社外へ出る場合も少なくありません。

バックオフィスがよく抱える課題

バックオフィス業務は人員不足や他部署との連携において、解決すべき課題を多く抱えています。ここでは、業種を問わず抱えやすい課題をみていきます。

無駄が見直されていない

特にアナログ業務の場合、無駄な手間が発生しやすい点はバックオフィスの大きな課題です。例えば、部署内での情報共有に逐一印鑑を使用している、各種書類を紙面で作成・管理しているなどの課題があります。業務効率における課題が見直されていないと、在宅勤務やテレワークの導入が難しくなる場合があります。

属人性が高い

バックオフィスは経理、財務、人事などの専門知識やスキルが求められる部門です。そのため、業務の属人化が起こりやすくなります。属人化により小さなミスや不正を発見できない、担当者の退職後に業務引き継ぎが難しいといった課題が発生します。

人が集まりにくい

バックオフィス部門はフロントオフィスに比べ、人員不足に陥りやすいのが難点です。原因としてバックオフィス業務は負担が多いうえに、直接利益を生み出す部門ではないため、採用や外部委託にコストを割きづらいことが挙げられます。また、たとえ予算があっても専門的な知識・スキルを必要とする経理や財務については、人材確保が困難になりがちです。

バックオフィスを効率化する方法

ここでは、バックオフィス業務を効率化する方法について解説します。自社の状況に合った方法を検討しましょう。

ERPシステムの導入

ERP(企業資源計画)システムは、企業の基幹となる人事・会計・物流業務の管理を一元化するものです。企業規模の成長により煩雑化する基幹業務を一元管理すれば、事業活動における判断がよりスムーズになります。クラウド上の管理システムも存在するため、コストをかけずに導入が可能です。

経費精算ツールの導入

Excelの使用と併せて、経費精算業務を自動化できるツールの導入も検討しましょう。次のような機能を搭載しているシステムが便利です。

・クレジットカードと連携して立替精算書を自動作成
・Web上で申請手続きが完結
・交通系ICカードや乗換案内アプリとの連携

クレジットカードだけでなく交通系ICカードなどと連携できるため、立替精算書を簡単に作成できます。また、面倒になりがちな申請手続きもWeb上で完結しているシステムが多いです。

経費精算について詳しく知りたい方は、こちらの記事からご覧ください。
経費精算とは?立て替えからフロー、楽にする方法までわかりやすく解説

チャットボットの設置

バックオフィスで意外に負担の大きい業務として、社内部署間での情報共有や問い合わせ対応が挙げられます。社員の質問に自動で回答するチャットボットを社内SNSなどに設置することで、社内でのコミュニケーションが円滑になります。

問い合わせ対応によってメイン業務に支障が出ている場合は、マニュアルの内容を組み込んだチャットボットの設置を検討しましょう。

バックオフィスの効率化を行う際のポイント

業務効率化を進められれば、バックオフィス業務を担う社員の負担軽減やコア業務への集中といった効果が見込めます。しかし、バックオフィス部門の業務効率化に新たなシステム・ツールを導入する際は、次に挙げるポイントに注意する必要があります。

1.システムの運用フローを検討する
2.現実的な目標を設定する
3.合わなかった場合の再導入コストも考慮する

ERPシステムや経費精算ツールを導入するだけでなく、運用を考慮に入れた業務フローも検討する必要があります。また、システムの導入によって何を改善したいのか、導入目的や目標を現実的な範囲で明確に設定するとよいでしょう。

まとめ

バックオフィスはコア業務を担うフロントオフィスを後方から支援し、全社的な生産性を保つのに重要な部門です。
営業や製品開発に比べると直接的な利益には貢献しづらいため、コストを割けずに業務改善を後回しにしてしまう企業は少なくありません。バックオフィスの業務効率化により、将来的に企業の直接的利益につながります。

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