従業員のパフォーマンス向上は大切。マネジメントの理由から企業事例までを解説
公開日:2022/06/08
企業の成果や業績は従業員によって左右されるものです。そのため、近年では従業員のパフォーマンスに着目し、マネジメントを行う企業も多くなってきました。しかし、どのように従業員のパフォーマンスを向上させればいいのかわからないケースもあるのではないでしょうか。
そこで、今回は、パフォーマンス管理の歴史から必要な理由、事例までをみていきましょう。自社で施策を行う際の参考にしてみてください。
目次
企業における従業員のパフォーマンス向上が大切な理由とは
ここでは、従業員のパフォーマンス向上が大切な理由について解説していきます。日本だからこその理由や働く環境への影響などを知ることで重要性を把握できるでしょう。
生産性・業務効率の上昇が求められている
日本では少子高齢化が進んでおり、今後の労働人口減少における問題が深刻化しています。そのため、企業は従業員ひとり一人のパフォーマンスを向上させ、生産性と業務効率を上げることが求められています。
今後は、少ない人員で大きな成果を生み出す工夫が重要となるでしょう。従業員のパフォーマンスが向上すれば、最小限の人員であっても生産性・業務効率の上昇が期待できます。
職場の雰囲気の改善につながる
従業員のパフォーマンス向上により、職場の雰囲気が改善されるケースも多いといえます。例えば、作業効率が上がり業績もアップするという効果も想定できるでしょう。また成果や業績の上昇によって、パフォーマンスが向上するという好循環が生まれます。
モチベーションの向上にもつながる
パフォーマンスの向上は上司から承認されやすくなり、従業員のモチベーション向上にもつながります。従業員のモチベーションは、仕事の成果や生産性に直結しやすいことから、業績を上げるための欠かせない原動力です。
モチベーションアップにより、従業員エンゲージメントや仕事への熱意も高まります。そのため、業績向上や離職率の低下にもつながるでしょう。
企業としてパフォーマンスの管理が必要な理由
ここでは、企業における従業員のパフォーマンス管理が必要な理由について解説します。
従来のマネジメント方法では管理しにくくなった
従来のマネジメント方法には、個人目標の達成度で評価する「MBO(目標管理制度)」、企業やチームで目標を策定・達成させる「OKR(Objective & Key
Result)」の2種類が存在します。
MBOは、レイティングによって評価のみが運用される仕組みです。しかし、個人または組織のパフォーマンス、モチベーションが低下する原因の一つとなっています。
また、OKRは目的を設定し、主要な結果を設定するというものです。1つの目標に対して、進む場合は効果的な面があるものの、適切な目標設定が必要となる点や人事評価と連動させてしまった場合、モチベーションの低下につながる点に注意が必要といえます。
そのため、目標や進捗を数値で管理する方法だけではなく、個々のパフォーマンス向上に注目したマネジメント方法が採用され始めているのが現状です。
人間の作業能力のみに頼れなくなってきている
日本では、長期的な不況、少子高齢化による人材不足が問題視されています。特に、深刻な人材不足となっている環境のなかでいかにして、ITやDXなどの手段を用い、柔軟に適応していくかという点が重要です。
従来の方法では、時代と人の変化に対応しきれなくなっています。そのため、技術や機械に任せられるものは任せ、人間にしかできない戦略設計などにおいて、パフォーマンス管理が今後重要になることが想定されます。
社会的信用のためにも人離れを防がなければならない
従来の方法は評価が出るまでに長期間を要していたため、従業員による不満が絶えず、人離れの要因となっていました。人離れを防ぎ解消することは、企業における社会的信用の保守につながります。
パフォーマンス管理の歴史と従業員エンゲージメント
ここでは、1800年代から着目され、変化を繰り返してきたパフォーマンス管理の歴史と現代においてパフォーマンス管理の指標の一つとされる従業員エンゲージメントについてみていきましょう。
人々のパフォーマンスは長年着目されてきた
人々のパフォーマンスは1800年代より、約200年以上の長い年月を経て着目され続けてきました。パフォーマンス管理の歴史に関する概要は以下の通りです。
- 1800~1900年代初頭 第二次産業革命期に新たな機械が発明され、生産速度の向上によりアメリカでの生産高が5倍に増加。経営者は、より多くの労働者と支配人が必要となり「徹底的な標準化」と「労働強制」を追い求め始めた。
- 1920年代 アメリカのHawthorne Works社は、休憩や労働時間を変えた実験を実施し、心理学者イーロン・メイヨー氏に協力を求め研究を行う。その結果、職場環境の改善だけでなく、個人がチームを組むことにより、能動的な協力と生産性の向上に役立っていると結論付けた。
- 1940~1960年代 メイヨー氏の研究結果により職場が変化するきっかけとなり、管理者のあり方も変化。1962年には連邦給与革命法によって、業績評価制度・インセンティブ制度の導入を開始した。
- 1980~1990年代 ヒューレット・パッカード社がMBOを用いて業務向上に成功。経営者と社員が協力し合い、目標を達成していく方向性へと変化し始めた。ゼネラル・エレクトリック社のCEOである「ジャック・ウェルチ流の評価手法」が社会現象となった。
- 1990~2015年代 企業の旧的な評価手法に疑問を感じ始め、2015年末までに大幅な見直しが行われた。相互評価を用いたオープンなコミュニケーションの導入を開始する。
- 2015年~現在 継続的なパフォーマンス管理を導入し、OKR/1on1などを用いたコミュニケーションが求められている。
従業員エンゲージメントの高さはパフォーマンスの指標になる
従業員エンゲージメントとは、従業員の会社貢献に対する意欲レベルを指します。従業員エンゲージメントは仕事へのモチベーションと比例しているため、パフォーマンスをみる一つの指標にすることが可能です。
ビジョンの共有や社内コミュニケーションの円滑化など、企業が改革に取り組むことで従業員エンゲージメントを高めることが可能です。
従業員のパフォーマンスを上げるための3つの方法
従業員のパフォーマンスを上げる方法として「業務のデジタル化推進」「ポジティブな環境」「チーム内の関係の質を向上」の3つが挙げられます。
業務のデジタル化を進める
書類のようなアナログ的業務をデジタル化することで、働き方改革の実現とともに、従業員のパフォーマンスアップにもつながります。業務効率化による残業時間の削減、リモートワークの導入などを行えるようになるため、個々の生産性を向上することが可能です。
ポジティブな感情が生まれる環境を作る
ポジティブな感情を持つ従業員は幸福度が高く、パフォーマンスも高い状態で業務を行えます。ノースカロライナ大学に在籍するバーバラ・フレドリクソン教授の調査によれば、ポジティブな社員はそうでない社員と比べて「1年6ヶ月後の業績が高い」とのデータも出ています。
企業としてポジティブな雰囲気を作るためには、以下のような方法を試すと良いでしょう。
- 従業員の長所を頻繁に褒める
- 会話ではなるべくポジティブな表現を使う
- 表情や声色に注意する
- 成功体験を積極的に報告する
チーム内の関係の質を高くする
チーム内の関係の質を高めれば、メンバー間の信頼関係や仕事への責任感が強まり、報告・連絡・相談も行いやすくなります。なるべく対面でコミュニケーションをとり、常に従業員のパフォーマンスに注目しましょう。
パフォーマンス向上につながった事例
ここでは、企業の取り組みにより、パフォーマンスの向上につながった事例について解説していきます。
業務意見のいえる目安箱の設置
某サイバーエージェントの企業は、社長へ気軽に意見するための目安箱を設置し、メールを送信できる制度を導入しました。その結果、従業員の意見を集めることに成功し、組織の急成長・拡大で困難となっていた社内状況の把握を改善できています。
間接的に意見を伝えられる制度があれば、仕事上の問題点や改善案・抜擢の提案など、さまざまな観点による考えを知ることが可能です。
健康経営の導入
某IT企業では健康経営の制度を導入後、ブランディングの貢献に成功しています。システム開発の受託がメインであるため、従業員の稼働時間が売上に直結しているところに着目しました。
健康経営として導入した主なサポート内容は以下の通りです。
- 健康診断の項目を追加
- 再検査の対象となった従業員の把握・受診を推進
- スポーツクラブの月会費補助
- メンタルヘルス研修
上記のサポートを行った結果、健康診断の受診率100%を達成し、喫煙率も約40%から約20%までの減少に成功しています。
業務効率化システムの導入
某小売企業では、カスタマーサービスにてbotを導入し、個々の負担軽減を図りました。結果として、企業全体のパフォーマンス向上を実現しています。
しかし、botやAIなどのDX導入には、適用するための専門知識や多額のコストが必要です。そのため、コストパフォーマンスを考えても導入する必要があるといえるでしょう。
まとめ
少子高齢化が進む日本企業において、従業員のパフォーマンス向上は生産性や業績効率アップのためにも重要です。今後、企業として生き残っていくためにも分業化が進むことから、人間とDXやITができる部分を明確に分け、パフォーマンスを高めていかなければなりません。
従業員のパフォーマンスを上げるための方法や事例を参考に、自社のパフォーマンス向上に向けて一歩踏み出しましょう。
経費精算でお悩みの方へ
こんなお悩みございませんか?
- 経費や交通費の立替が多く、経費精算に稼働がかかる
- 立替の事務手続きが多い
- 出社せずに経費精算を完結させたい
- 定期代支給を廃止し、都度精算にしたい
そのお悩み、ビジネスd経費精算ですべて解決できます!