合同会社と他の法人形態との違い。メリットは何処にあるのか?

公開日:2023/3/8

近年、合同会社の法人設立数が増加傾向にある状況です。株式会社よりも安価で設立できるといったメリットは多くの人々が知っているといえるでしょう。
しかし、具体的に何がどのように株式会社と異なるのか、合同会社が選ばれる理由まで知っているケースは多くはありません。

本記事では、合同会社と他の法人形態との違い、合同会社のメリットについて解説していきます。

合同会社とはどんなものか

合同会社は2006年から設立が可能になった持分会社です。出資者がそのまま経営者となるため、意思決定がスピーディーな点が特徴の1つだといえます。代表的な企業は、GoogleやAppleの日本法人などがイメージしやすいでしょう。

年間の設立数も増加傾向となっており、2022年は約3万7000社もの合同会社が設立されている状況です。ここからは、合同会社がどういったものなのかについて解説していきます。

役職は3つ

合同会社の役職を3つに分けた場合、次のような分け方が可能です。

・代表社員
・業務執行社員
・社員

名前からすれば、代表社員は合同会社の社長、業務執行役員は経営周りの業務の遂行を行う役職、社員は従業員の役割と想定されます。しかし、実際は定款で定めない限り、合同会社の社員は代表社員や業務執行社員と役割は大きく変わりません。

区分として、代表者社員を決める場合は、業務執行社員から選定することになります。

出資者は有限責任

合同会社への出資は全て有限責任になります。 会社が倒産した場合でも自分が出資した以上の負債を抱えることがありません。有限責任と逆に会社の全ての負債を背負う無限責任の対象となるのは個人事業主、合名・合資会社のみです。

設立費用が安価

合同会社の場合は設立費用もある程度単価となっています。例えば、株式会社の設立費用は20万円程度が想定されますが、合同会社の場合は6万円から10万円ほどです。最低でも3万円ほどの定款の認証に対する費用も不要です。

また、企業を運営した場合どのような法人形態でも会計処理は必須となります。会計処理について詳しく知りたい場合はこちらの記事から。
会計処理とは?効率化や課題解決方法についても解説

合同会社と他の法人形態は何が違うのか

ここからは、合同会社と他の 法人形態は何が異なるのかについてみていきましょう。とくに株式会社と比較されることが多いため、違いを知ることで法人を作る際の参考にすることが可能です。

株式会社

株式会社は、株式を発行して資金を集められる企業体を意味します。メリットは次のようになります。

・出資者が広く集められるだけでなく、集めた資金に対して責任を持つため、倒産した場合でも出資者が責任を負わない
・社会的な信用が高く、取引を行う場合も対外的に信用されやすい
・個人事業と比較して経費にできる項目が増加する

とくに、株式を発行した上で購入してもらうことができるようになるため、資金集めの面ではより効率的になるといえるでしょう。対して、デメリットは次のようになります。

・設立に20万円程度の費用がかかる
・決算報告する義務がある
・10年に1度役員が変わらなくても登記のし直しが必要となる

また、株主との間によって企業の方向性を決めることになるため、合同会社と比較してあらゆる意思決定が遅くなりやすい傾向にあります。

合資会社

合資会社は、無限責任社員である出資者と有限責任社員である出資者がいる企業形態です。メリットには、次の項目があります。

・10万円ほどで設立できる
・定款認証がない
・監査役や取締役も必要ない

無限責任社員でなくても定款で定めた場合は代表社員を選出することも可能です。デメリットは次のようになります。

・代表者が2名以上となる
・無限責任社員と有限責任社員の責任の範囲が違うためモチベーションに影響することがある
・企業が倒産した場合無限責任社員に対して負債が降りかかる

無限責任社員と有限責任社員の両方がいることから、企業の方向性として対立する可能性も高くなりやすい点はデメリットといえるでしょう。

合名会社

合名会社は、無限責任社員のみで構成されている企業をさす言葉です。

・設立費用が安価(10万円程度)
・意思決定からの行動が早くできる
・求められる資本金の金額が安価

対して、デメリットは次のような項目があります。

・企業に存在する従業員が全員無限責任であるため、倒産した際の個人的責任が大きい
・全員が無限責任社員であることから、新しい社員を迎え入れづらい
・退社する場合も社員の承認がなければ難しい

そのため、企業体系のメリットとデメリットをふまえたうえで企業を設立する必要があるといえるでしょう。

合同会社の5つのメリット

ここからは合同会社の5つのメリットについてみていきましょう。とくに利益配分に自由度がある点や定款の認証、決算書の公表が必要ない点などは長期的な経営を行う場合にも影響します。

利益配分に自由度がある

合同会社では、定款にしたがって利益配分を行うことが可能です。例えば、5人に20%ずつといった配分方法も可能であるため、不平不満が出にくいといえます。利益に関しては、給料や役員報酬とは異なり、出資しているかどうかが基準になります。

しかし、役員報酬などで還元することができるため、広い意味で利益配分に自由度があると評価できます。

決算書の公表義務がない

株式会社であれば決算書を公表しなければなりません。対して、合同会社は確定申告などの手続きや決算書の作成などの一連の手続きは必要であるものの、決算書の掲載費用が発生しない点は魅力の1つだといえるでしょう。

重任登記費用がない

株式会社では、取締役や監査役の任期は定款で定めた場合でも最長で10年となっており、 役員が変わらなかった(再任)としても再度登記する必要があります。対して、合同会社の場合は役員の任期を定める必要がないことから、重任登記費用が発生しません。

定款の認証が不要

株式会社では定款を作成したうえで、 公証人の認証を受ける必要があります。定款の原本、発起人の本人確認書類、代理であれば委任状を用意しなければなりません。また、資本金の金額の大きさに合わせて、最低でも3万円程度の費用が発生します。

対して、合同会社の場合は定款の作成が必要ではあるものの、認証が必要ありません。ただし、企業の商号や資本金などの絶対的記載事項を変更した場合は法務局への届出が必要です。

株式会社への移行が可能

合同会社から株式会社へ移行することが可能です。 多くの人から資金を集めて事業を拡大したいといった場合は、合同会社よりも株式会社の方が運用しやすくなるでしょう。

また、はじめから株式会社を設立するよりも金額は安価となる点もメリットといえます。企業の事業規模に合わせて、社会的信用度を上げたい・もっと多くの資金を集めたいといった場合は株式会社への移行も検討できます。

事業のニーズに合わせて法人形態を選択しよう

法人形態は、事業の内容や誰とどのような仕事を行うのかによって選択肢が変わります。ただし、出資した際の責任の大きさから、合同会社か株式会社を選択するケースが多いのも事実です。

そのため、仮に企業を設立する場合は、新入社員が増える予定があるのかといった長期的な視点まで含めて検討することが大切です。

まとめ

合同会社は、出資者がそのまま社員となり、出資した金額に対し責任を負う法人形態です。株式会社よりも設立費用が安価であり、定款に関するルールも厳しくない点がメリットだといえるでしょう。

ただし、社会的信用は株式会社の方が高く、多くの資金を集めたい場合には不向きです。
そのため、法人を設立する場合はよく検討した上でどのような形態にするのかを選択しましょう。

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