非課税とは?確定申告の必要性や覚えておきたいポイントなどを徹底解説!
公開日:2023/4/6
所得税や住民税の計算においては「非課税」となる収入があります。しかし、非課税となる具体的な項目を把握しきれていない事業者の方も多いでしょう。
本記事では、非課税の概要や確定申告の必要性、覚えておきたいポイントなどについて解説します。節税対策に役立つ知識を得て、より効率的な経営を実現しましょう。
非課税とは
非課税とは、社会政策やその他の理由から課税の対象外とされる収入であり、金額に応じた所得税を納付する必要がないものを指します。
非課税所得となるもの
非課税所得は、主に「利子・配当所得関係」「給与所得・公的年金関係」「譲渡所得関係」「その他の所得関係」の4つのカテゴリに分類されます。非課税対象とされるケースは以下の通りです。
所得の種類 | 非課税対象の例 |
---|---|
利子・配当所得関係 | 国債利子、特定の公社債利子 |
給与所得・公的年金関係 | 障害者控除、基礎控除 |
譲渡所得関係 | 住宅の譲渡による所得 |
その他の所得関係 | 助成金、奨学金 |
各所得について非課税対象かどうかを把握し、正確な税務処理を行いましょう。
非課税世帯とは異なる
非課税世帯とは、住民税の課税対象とならない世帯を指します。非課税世帯には所得制限があり、所得が一定額以下の場合に限り非課税となります。一方、非課税所得とは社会政策やその他の理由から課税の対象外とされる収入であり、所得税の納付義務がないものを指します。
そのため、非課税所得を得ていても、必ずしも非課税世帯になるとは限りません。また、非課税世帯になっていても全所得が非課税になるわけではない点は知っておきましょう。
非課税所得は確定申告の必要がない
非課税所得は所得金額の計算から除かれ、所得税がかからないため、確定申告の必要はありません。ただし、非課税所得がある場合でも、所得税以外の税金や保険料等の納付が必要な場合があります。また、非課税所得のために発生した費用は経費に算入できない場合があるため、確定申告においては通常の所得とは異なる計算になります。
非課税となる年収
ここでは、非課税となる年収についてみていきます。計画的に所得税・住民税が非課税となる年収で働くのは難しいものの、非課税になる条件を知っておきましょう。
パート・アルバイトなら100万円以下
パートやアルバイトの給与収入が100万円以下(合計所得金額45万円以下)であれば、住民税は非課税となります。しかし、他に所得がある場合は、合計所得金額が100万円以下でも住民税が課税されるケースもあります。
また、パートやアルバイトの場合は源泉徴収票が発行されるため、確定申告は原則として不要です。しかし、源泉徴収票の金額が実際の所得と異なる場合、給与以外の所得がある場合には確定申告が必要となります。
住民税非課税世帯の年収
住民税非課税世帯になるためには、自治体によって基準が異なるものの、おおよその目安は決まっています。例えば、1人暮らしの会社員の場合、前年の1年間の年収は100万円以下が目安です。会社員の夫と専業主婦の妻の間に子どもが1人いる場合では、所得金額が136万円、年収は205万円以下が目安です。
しかし、自治体によってはさらに低い所得の場合も非課税となるケースがあります。住民税非課税世帯にあてはまるかどうかは、住んでいる自治体の市区町村役場で確認しましょう。
住民税非課税世帯になると住民税の納付が免除されるだけでなく、特定の税制優遇措置や社会保障制度の適用を受けることもできます。しかし、非課税世帯であっても必要な保険料等の納付が必要な場合もあります。自身の所得状況を正確に把握し、適切な税務処理を行いましょう。
非課税所得で覚えておきたいポイント
ここでは、非課税所得に関する注意点や留意点を解説します。適切な処遇を受けるためにも把握しておきましょう。
所得税・住民税はなし
非課税所得の場合、所得税と住民税は課されないため、負担を軽減できます。しかし、非課税所得が適用されるかどうかは、所得の種類や金額によって異なります。また、非課税所得の範囲内であっても、住民税の支払いが発生する場合がある点は知っておきましょう。
確定申告の必要なし
非課税所得の場合、基本的には確定申告の必要はありません。しかし、源泉徴収税額が所得税額を上回っている場合や特別控除・税額控除等が適用されることで所得税が還付される場合があります。
例えば、給与所得者に扶養家族がいる場合、住宅ローン控除や寄付金控除などの特別控除が適用される場合などに確定申告を行えば所得税の還付が受けられるケースがあります。また、事業所得や雑所得がある場合にも経費の控除が可能であるため、確定申告によって還付金を受け取れる場合もあります。
非課税世帯は狙ってなれるものではない
非課税世帯を意図的に目指すと、所得を抑えることによる生活水準の低下や将来の不安を招きます。したがって、非課税世帯には狙ってなれるものではありません。
また、所得を意図的に減らす行為は、税務署から不正行為とみなされるリスクがあります。例えば、企業経営者が自身の報酬を減額して非課税世帯を狙うような行為は、税務調査の対象となる可能性があります。
非課税世帯は所得が低いため、生活保護や児童手当などの福祉制度を利用できるメリットがあります。しかし、経済的な安定や成長を目指す企業経営者にとっては、適切な所得を得て節税対策を行う方が望ましいでしょう。
贈与には上限がある
贈与には上限があり、年間110万円までの贈与が非課税となります。贈与税の申告には暦年課税、相続時精算課税の2つの方式が存在するものの、一般的には暦年課税が適用されます。暦年課税の場合は受贈者ごとに年間110万円までの贈与が非課税となり、110万円以内であれば申告も不要です。
贈与を受ける人が多く贈与金額が上限を超える場合、相続時精算課税が適用される場合などには適切な申告が必要となります。また、非課税の範囲内であっても、贈与の際には書面による証拠が求められるケースもあるため、贈与の手続きや書類の管理に注意が必要です。
企業経営者が贈与を活用して節税を図る際には、贈与税の制度を理解し、適切な申告を行うことが重要です。贈与に関する税法や手続きは複雑なため、税理士などの専門家に相談しましょう。
生前贈与は迅速に
相続直前の贈与は相続税の対象となるため、生前贈与はできるだけ早く行う必要があります。生前贈与は相続人に財産を分け与えることで、相続税の負担を軽減できる手段です。しかし、相続が予見される時期に贈与を行った場合、相続税法によって相続税の対象とされる場合があります。
具体的には、相続人が亡くなる前の3年以内に贈与を行った場合、相続税の課税対象となります。そのため、企業経営者は相続税の節税効果を最大限に活用するために、できるだけ早く生前贈与を行うことが望ましいといえるでしょう。生前贈与には贈与税がかかるものの、年間110万円までの範囲であれば非課税となります。
対象となる所得を把握しておく
非課税制度を適切に活用するためには、対象となる所得を正確に把握しておきましょう。対象となる所得の種類や金額によって非課税の適用が異なるためです。
例えば、給与所得者で年間所得が基礎控除額を下回る場合には、所得税が非課税となります。また、パート・アルバイトなどで働く場合、年収が100万円以下であれば非課税対象となり、住民税についても一定の年収以下であれば非課税となります。
まとめ
非課税所得とは、一定の金額以下の所得に対して税金がかからないことを指します。企業としては所得税・住民税の非課税制度を把握しておくことで、適切な節税対策を行うことが重要です。また、贈与税や相続税に関しても、生前贈与や対象となる所得の把握が必要となります。
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