有給休暇の付与条件とは。日数から保有条件まで解説
公開日:2023/4/7
労働基準法では、一定の日数の労働に対して休みを取らせる必要があると決まっています。そして、有給休暇とは取得しても賃金が減額されない休暇制度です。
では、有給休暇はどのように与えられるものであり、どのように扱われるものなのでしょうか。企業としても有給のルールを把握しておかなければなりません。本記事では、有給休暇の制度と仕組み、日数についてみていきましょう。
有給休暇とは
有給休暇とは、「企業が定めた期間を勤続した労働者に対し、心身の健康を労わるために与えられる休暇」のことです。通常の休暇とは異なり、給料を受け取りながら休みの日を過ごすことができます。
条件がある
有給休暇を得るためにはいくつかの条件があります。
1.雇入れの日から起算し、6ヶ月以上の期間勤務をしていること
2.その6ヶ月間の全労働日の8割以上を出勤していること
有給休暇は条件を満たしていれば、契約社員・パートタイム社員・アルバイト社員などの非正規雇用の社員にも有給を付与しなければなりません。
付与単位は1日
有給休暇の付与単位は基本として「1日」になります。ただし、有給休暇を利用する際は、「半日単位」「時間単位」などの半日休みや部分休みとして使用できることも多い点は知っておきましょう。
企業によって細かいルールが異なる場合があるため、就業規則を確認しておくことが大切です。
買取も場合によっては可能
労働基準法では、原則として有給休暇の買取は認められていません。買取を理由に労働者に有給休暇を与えない場合は労働基準法違反になります。
ただし、以下のようなケースでは買取が可能です。
・会社が独自に与えた法定基準を上回る有給休暇
・時効となる有給休暇
・退職によって無効となる有給休暇
有給休暇の問題は、退職する際に発生しやすい点も知っておきましょう。例えば、退職時に無効となる有給休暇をトラブル防止のため、買い取るといった対応も可能です。有給休暇を買い取るかどうかは企業側の判断によります。
また、退職予定の社員が残日数分の有給休暇の取得を求めてきた場合、本人の請求が優先されます。そのため、企業は申請された有給休暇に関しては認める必要があるという点も知っておきましょう。
有給休暇の日数
有給休暇の付与日数は、就業条件が所定労働時間が週30時間以上・週5日以上であれば基本日数が付与されます。基準以下である場合には、比例付与の方式で計算をします。
繰り越し上限は15日
有給休暇の繰り越しの上限は、最大付与日数の20日から取得義務化の5日を引いた15日と定められています。繰り越した場合は、次回付与日数である20日と合わせて最大35日の有給休暇を持つことが可能です。
付与日から1年以内に5日の有給休暇を取得させなければならない
労働者が年間5日の有給休暇の取得ができない場合、企業側は労働基準法違反となります。有給休暇の取得ができなかった場合には、事業者は罰金が科されるケースも想定されるでしょう。
付与しなかった場合には罰則
有給休暇の取得ができなかった労働者がいた場合、1人につき30万円以下の罰金が科されることがあります。労働者が有給休暇の取得申請を希望していない場合でも、使用する側が有給休暇の時期を指定しなければなりません。従業員に対して、年間で最低でも5日の有給休暇を取得させるような管理や仕組み作りを行いましょう。
有給休暇の日数管理方法事例
有給休暇の日数の管理方法について、実際の事例を見ていきましょう。「ストック休暇」や「長期休暇制度」を実践している企業の取り組みを解説をしていきます。
ストック休暇
ストック休暇は、「個の尊重」を大切にしている株式会社リクルートが実施しています。
未消化の有給休暇を最大40日まで積み立てておくことが可能な制度です。在籍1年以上の社員を対象に「アニバーサリー手当」といった有給休暇を連続して4日以上利用すると5万円の手当が支給されるという制度もあります。
長期休暇制度
長期休暇制度を取り入れているのは、北海道の代表的なお土産「マルセイバターサンド」を製造する株式会社六花亭です。1989年から33年連続で全社員の有給休暇取得率100%を実現しています。
株式会社六花亭では、年に1回、1週間以上の長期休暇を取得することを推奨しています。
また、6人以上の社員が休暇を利用して旅行を企画した場合は、旅費の70%(1人上限年20万円)が補助金として支給される「社内旅行制度」も大きな特徴です。
前倒し付与
有給休暇を前倒しで付与する企業もあります。前倒し付与は、新入社員に入社と同時に有給休暇を付与する制度です。法定の基準日より、前倒して10日以上の有給休暇を付与した場合、有給使用者はその日から1年以内に5日の有給休暇を取得させる必要があります。
働く人のそれぞれの入社日によって有給休暇の付与が行われる日付が変わるため、管理が複雑になる点に注意が必要です。こういった場合は、労務管理のシステム化を積極的に取り入れ、より効率的に有給休暇を取りやすい仕組み作りを進めることが大切です。
まとめ
有給休暇は企業によって制度が異なるため、従業員であれば、年間付与日数や消化日数などのルールを知っておきましょう。また、企業としても最低でも年に5日間取得させなければならないといったルールは遵守しなければなりません。
今後は企業体制としても、より労働者が気軽に取得できるような環境づくりを進めながら、有給休暇を適切に使える仕組み作りが大切になるといえるでしょう。
NTTコミュニケーションズでは経費精算ツール”ビジネスd経費精算”を提供しています。
ビジネスd経費精算ではプリペイドカードとの連携により、経費申請の手間が省けて、従業員の立替の負担や経理担当者の振込の手間がなくなります。
日々の精算業務に頭を悩ませている場合は、是非ビジネスd経費精算の導入を検討してみましょう。
経費精算でお悩みの方へ
こんなお悩みございませんか?
- 経費や交通費の立替が多く、経費精算に稼働がかかる
- 立替の事務手続きが多い
- 出社せずに経費精算を完結させたい
- 定期代支給を廃止し、都度精算にしたい
そのお悩み、ビジネスd経費精算ですべて解決できます!