社内DXは必要?成功のポイントや失敗しないための注意点を解説
公開日:2022/06/22
日本ではDX推進が声高に叫ばれており、多くの企業に社内DXが必要とされています。しかし、DXに取り組むにはさまざまな課題があるため、頭を抱えている企業は多いでしょう。今回は社内DXが必要な理由、成功のポイント、失敗しないための注意点について解説していきます。
目次
社内DXの意味
DX(デジタルトランスフォーメーション)とはデータとデジタル技術を活用し、業務工程や製品・サービスといったビジネスモデルの変革を行うことです。つまり、デジタル技術の活用により業務の効率化を図り、組織や働き方の元から変革を行うのが社内DXといえます。
例えば、紙媒体をデジタル化するペーパーレス化、クラウドサービスを導入した業務プロセスの変革も社内DXです。2018年、経済産業省による「DX推進ガイドライン」の発表を機に、今多くの日本企業にDX推進が求められています。
しかし、日本でDX推進が積極的に行われているのは主に大企業のみで、中小企業の多くは遅れているのが現状です。
日本の社内DX推進状況
2018年、経済産業省は「2025年の崖」という課題レポートを発表しました。2025年までにシステム刷新を行わなかった場合、年間で最大12兆円の損失が発生する可能性があると警鐘を鳴らしています。
しかし、日本のDX推進状況は、IMDで発表された「世界デジタル競争力ランキング2020」によると世界で27位です。日本では約99.7%が中小企業となるものの、大手企業以外のDX化はほぼ進んでいません。ランキングを見ても未だデジタル後進国であることは明確です。
なぜ日本で社内DXが進まないのかに関しては、以下の3つの理由があげられます。
- DXを把握している人が少ない
- DX人材の不足
- レガシーシステム
日本企業では、社内でDXを把握している人が少ないのが現状です。DX人材も不足しており、DX化を進めたくても取り組めない企業が多くあります。また、日本企業の約8割がレガシーシステムを抱えているため、既存システムがDX推進の足かせとなっているのも理由のひとつです。
社内DXは業務効率化のきっかけ
社内DXにおいて業務プロセスのデジタル化は必須のため、業務効率化のきっかけとなります。DX化に取り組む前に、まず業務プロセスの見直しを行うことが重要です。どの業務をデジタル化し、システムを刷新するのか見直しを行ってから取り組むと、自社に合った業務効率化に臨めます。
例えば、長年使用していたレガシーシステムを新システムに置き換えても、業務スピードは格段にアップします。業務改善により余った時間を他の業務に回せば、生産性の向上も見込めるでしょう。
社内DXが必要となる理由
社内DXが必要な理由は主に3つです。ここでは「人材不足・業務効率化」「新システム構築」「新しい働き方」について解説します。
人材不足の解消・業務効率化が必要
日本では人材不足を解消するため、業務効率化への取り組みが必要です。社内DX化に取り組み、システムを刷新し業務効率化に臨むと、少人数での業務が可能となります。
また、近年では専門的な知識がなくても使用できるツールが次々と開発されており、人材不足を解消する手助けにもなります。デジタル化は業務効率化だけでなく、ヒューマンエラーの減少にもつながるため、生産性の向上にも臨めるでしょう。
新システムの構築が必要
社内の業務効率化には新システムの構築が必要です。世界的にDX化が進んでいるため、既存システムでは対応できない状況となってきています。経済産業省は、2025年に「21年以上稼働しているレガシーシステムが全体の6割を占めるだろう」と推測しています。
DXだけでなく、ESG(環境・社会・企業統治)においても世界レベルで関心が高まっている中、日本は大きく出遅れているのが現状です。現在、企業の上場基準としてDX推進やESGへの取り組みは必須となっています。
また、既存システムのままでは多くのコストがかかり、人的リソースも費やしてしまうため社内DX推進の障壁となる深刻な問題です。万が一、既存システムを使い続けてシステムの刷新を行わない場合、その企業は事業機会を失うことが予測できます。
社内DX化は社会的信用にも関わるため、早急に新システム構築への取り組みを推奨します。
新しい働き方が必要
日本では、2018年6月に働き方改革関連法が設立されました。日本は少子高齢化問題を抱えているため、近未来において労働人口の減少が懸念されています。今後、少ない労働力でも業務可能な新しい働き方の導入が必要です。
近年、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、リモートワークを導入する企業は増加しました。とはいえ、多くの中小企業はコロナ禍が収束するにつれ、徐々に元の出勤スタイルに戻りつつあります。
しかし、労働人口の減少に伴い多様な働き方が求められている現在、今後対応できなければ人材の確保が難しくなることは予測できます。そのため、企業はコロナ禍に関係なく新しい働き方を容認していくことが大切です。
社内DXの3つの課題
大企業の社内DX化は年々進んでいるものの、中小企業のDX推進に関しては、さまざまな課題があります。ここでは、社内DXの3つの課題について解説します。
理解不足によって必要な投資ができていない
経営層をはじめとした従業員のDXに関する認識や理解不足は、社内DX推進の大きな課題です。多くの企業は、決定権を持つ経営層のDXの理解がないため、自社に必要な投資ができていません。
ITに少し詳しい従業員にDXを任せ、アナログのFAXや書類をデジタル化し、ようやくペーパーレス化に取り組み始めているような状態です。そのため、社内DXを進めるには、まず経営層がDXの必要性を理解して知識を深めていく必要があります。
IT人材を確保できない
DX推進においてIT人材は必要不可欠となるものの、全体的に足りていない状態です。経済産業省では「2030年に最大70万人のIT人材が不足する」と予測しています。多くのIT人材は給与の高い大企業に集まりやすく、中小企業に入社しないのが現状です。
また、中小企業ではIT人材への評価が乏しい点も、確保できない原因のひとつとなっています。IT人材を確保できたとしても親の介護問題により、退職してしまう可能性もあります。
そのため、IT人材の確保だけでなく離職率を下げるための働き方改革の取り組みも、今後の課題といえるでしょう。
目的の明確化・優先事項の明確化ができていない
日本企業の多くはDXの目的・優先事項が明確化できていません。目的や優先事項を明確化できなければ、何から始めたらいいかわからないため、多くの企業はDX推進に取り組めていない状態です。
社内DXを進めるにあたって、システム・フローを変更する理由や目標達成までのステップ、最終目的などを明確にする必要があります。従業員からの理解や協力を得るためにも経営層がDXを把握し、社内DXの目的を明確化することが大切な課題といえます。
社内DXを成功させるための5つのポイント
社内DXを成功させるために必要なポイントは5つあります。それぞれのポイントを1つずつ確認し、DX推進の参考にしましょう。
経営層が社内DXに対する発信や研修を行う
経営層は社内DXの目的を明確化し、今後の取り組みに関する発信や研修を行い、積極的に推進していく必要があります。しかし、今まで慣れていた業務を新しいシステムに変革させる時には、必ず反対意見が出てきます。
社内で新しいものを取り入れる際に、必ず現れるのが抵抗勢力です。これは、慣れた環境の変化に対する恐れや「自分の仕事がなくなるのではないか」といった不安によって起こります。どれほど優れたデジタル技術であっても関係ありません。
そのため、社内DXについての発信や研修による従業員への教育は、成功させるための重要ポイントといえます。なぜ自社でDX推進が必要なのか、従業員の理解が深まれば深まるほど、社内DXに取り組みやすくなります。
必要な権限・投資を部署・人材に与える
DX推進事業部を立ち上げて必要な権限を付与し、システム投資以外にIT人材への投資も必要不可欠です。社内DX推進に必要となる費用は惜しまず、積極的に投資を行うことを推奨します。DX化は、100%取り入れたとき初めて効果を発揮するためです。
万が一、新システムの導入後に一部の従業員が従来の業務を行うと工数が増えるため、中途半端なデジタル化は状況を悪化させます。また、ペーパーレス化、オンライン会議なども、社内に導入した際は全ての従業員に実行させましょう。
社内に適任のリーダーを配置することも大切です。新規に導入したシステムを使用していない社員に対し、注意を促し続ける責任者を設けることが、DX推進を成功へと導きます。
業務環境の把握からデジタル化を行う
社内DXの取り組みに業務環境の把握は必須です。業務プロセス状況を把握し、自社のニーズに合ったデジタル技術を導入しましょう。例えば、承認・決裁・社印を電子化するだけでも出社の手間がなくなるため、業務効率化が図れます。
デジタル技術を活用すれば、書類管理や発行の自動化も可能です。また、顧客データを一元管理できるシステムの導入や、チャットボット・AIに顧客対応させると、少人数でも業務が行えるようになります。
最小単位から社内DXをスタートする
社内DXは、最小単位からスタートさせるのが成功の秘訣です。はじめに最終ゴールを設定し、小さなスタートから社内DX化に取り組んでいきます。知識不足の状態で突然大きな変革を目指すと、失敗する可能性が高くなります。
まずは、紙媒体の書類をデジタル化させるペーパーレス化や、クラウドストレージサービスの導入といったところから始めましょう。その後、経費精算システムやチャットツールの導入など、ステップアップしつつ社内DXを進行させていくことを推奨します。
現場と経営層、担当者が並走しつつシステムを構築する
社内DXを成功させるためには現場・経営層・担当者の溝を埋め、並行しつつシステム構築を図ることが大切です。まず経営層は、業務プロセスの変革に火をつけ、持続可能な取り組みを行う役割があります。
社内DXは、現場がFBを繰り返し行いつつ開発していく必要があります。そのため、経営層だけでなく現場を巻き込み、並走して作っていくのが成功するポイントとなります。
また、自社作成ツールを使用する場合、ベンダーやコンサル任せにしないことも大切です。それぞれの役割を明確化し、ひとり一人が責任を持ち、社内システムを刷新していきましょう。
社内DX活用の際の注意点
最後に、社内DX活用の際の注意点を解説していきます。失敗を防ぐためにも、ぜひ確認しておきましょう。
システム導入は過程に過ぎない
DXは目的ではなく手段であるため、システム導入は社内DX推進の過程となります。そのため、デジタル技術を社内に取り入れただけでDXを行っているとはいえません。
新しいシステムの導入に伴い、ツール機能を使いこなせないといった新たな問題が発生し、業務が改善しない可能性もあります。長期的にビジネスモデル変革に向けて施策を練り、社内の業務効率化を進めていきましょう。
部署・人材任せにしない
社内DXは、企業を構成する全ての従業員に課せられている課題です。部署や人材任せにせず、業務における課題の整理や説明会への参加など、社内全員の主体的な行動が必要となります。
全社員がDX推進に積極的に取り組めば、DXに強い組織を形成することも可能です。結果的には、ひとり一人の主体的な行動がDX推進を円滑に進める手立てとなるでしょう。
まとめ
社内DXの推進は業務効率化を進められるだけでなく、生産性の向上にもつながります。DXにはシステム導入が必須となるため、コストがかかるイメージを持つ企業も多いのではないでしょうか。しかし、最小単位からスタートさせればコストを最小限に抑えられます。本記事を参考に、社内DXを成功させるためのポイントを押さえ、まずは一歩を踏み出しましょう。
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