控除はどんな時に考えるもの?概要と税金との関係性を解説
公開日:2023/6/27
確定申告や年末調整を行うタイミングで控除について、証明書を取得したという方も多いのではないでしょうか。実際に控除は自己申告制であり、申告しなかった場合、税金が多く課される可能性があるものだといえます。
では、控除はどのようなタイミングで会社や税務署に申告し、適切に処理すればよいのでしょうか。
今回は控除の概要から、種類や考え方について解説していきます。
控除とは何か
控除とは、簡単に言えば条件を満たすことによって一定の金額を差し引く制度のことです。また、控除があることによって税金が低くなる点はメリットです。そのため、会社員や個人事業主といった立場の違いがあっても自分に関わる控除の内容は知っておく必要があります。
また、控除とは異なるものの、経費も総所得から差し引かれて計算される点は同様です。控除に関しては、あくまで税金の負担を和らげる役割を担うものであり、直接的に金銭を還元するものではない点は知っておきましょう。
控除対象となる項目の中でも社会保険料は多くの人々が関係する項目です。詳しく知りたい方はこちらから。
大きく分けて税額と所得に分けられる
控除は、税額に対して行われるものと所得に対して行われるものがあります。税額に控除が実施できる場合は節税につながるといえます。 例えば、次のようなものがある点は知っておきましょう。
・ 配当控除
・ 住宅借入金等特別控除
・ 認定 NPO 法人等寄付金特別控除
対して、所得控除に関しては非常に多くの種類があることから、ほとんどの場合は所得金額から控除されるケースが多いといえます。所得控除の金額に関しては、個人によって大きく要件が異なるだけでなく、小規模企業共済や地震・生命保険などの加入でも変化するため、「年末調整や確定申告で明確化し、納税額を決定する」ことになります。
手続きは確定申告か年末調整で行う
控除の手続きは確定申告か年末調整で行なわなければなりません。ただし、以下4つの控除を行う場合は年末調整では手続きができないため、従業員であっても確定申告が必要です。
・雑損控除
・医療費控除
・寄付金控除
・住宅ローン控除(1年目のみ)
個人事業主の場合は、確定申告によって控除を行うしかありません。会社として従業員の労働環境や副業の状況を明確に把握する仕組み作りも大切だといえます。
所得控除の代表的な項目
ここからは、年末調整や確定申告の共通項目となりやすい所得控除の代表的な項目についてみていきましょう。特に社会保険控除料に関しては、厚生年金や国民年金・健康保険料なども含み、全額を控除できる点は把握しておくことが大切です。
項目 | 内容 |
---|---|
社会保険料 | 国民年金、厚生年金、介護保険料、労働保険料、健康保険料のこと。基金に入っている場合も社会保険料に含まれ、それぞれの控除証明書があれば控除が可能 |
生命保険 | 介護保険料、個人年金保険料と合算される。 支払い金額が2万円以下であれば 支払った金額が所得控除となる。しかし、 8万円を超える場合は4万円までが所得控除になるため、限度がある |
配偶者控除 | 申請の年収が1,000万円以下であり、合計所得金額が48万円の配偶者がいることによって受けられる控除。ただし、申請者に1,000万以上の所得がある場合、受けられない |
扶養控除 | 合計所得金額48万円まで届かない扶養家族がいる場合に適用される控除。 控除額は38万円~63万円までと決まっている |
小規模企業共済等掛金控除 | iDeCoも含めた掛け金が発生している場合、全額を控除対象にすることができる。 |
控除にも種類があり、特に基礎控除についてより知りたい場合はこちらの記事から。
控除のポイント
各控除の内容を把握した上で、ここでは控除のポイントについてみていきましょう。とくに、当てはまる 条件が多い場合には 所得金額が控除によって低くなるため、翌年の税金対策にもなります。
税額に影響がある
各控除は翌年の税額に対して影響を与えるものです。 例えば、小規模共済などの掛け金を申告のし忘れによって控除しなかった場合、税金が高くなるといえます。会社については 年末調整があるため、 控除のし忘れはほぼありません。また、会社員でも個人事業主でも過大申告を行った場合の罰則はありません。
仮に、年末調整を会社として行わなかった場合には、「1年以下の懲役か50万円以下の罰金が課される」ことになります。また、源泉徴収を行ったにもかかわらず 納税を行っていなかった場合には、「10年以下の懲役か200万円以下の罰金が課される」ことになるでしょう
確定申告か年末調整が必ず必要
確定申告が個人事業主やフリーランスの義務、年末調整は従業員であれば正社員からパートに至るまで必ず必要な手続きです。そのうえで、様々な控除を受けるためにも確定申告か年末調整が必須だといえるでしょう。
人によっては、従業員であっても年末調整ではなく確定申告を行う必要があるため、 会社としても 誰がどのような手続きが必要となるのかを明確に指示しておきましょう。
まとめ
控除は、従業員や個人事業主、フリーランスなどどのような立場であっても確定申告や年末調整で報告が必要となるものです。また、税額が減少するものと総所得が減少し税額が変動するものに分かれる点も知っておきましょう。
住宅ローン控除や医療費控除は確定申告でしか申請できません。従業員という立場であっても確定申告が必要となるケースがあることから、会社としても必要な手続きを把握しておくとよいでしょう。
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