経費精算の課題とDXによる解決方法|競争力を保つために業務効率化とは

経費精算の課題とDXによる解決方法|競争力を保つために業務効率化とは

公開日:2023/6/23

DX(デジタルトランスフォーメンション)とはデジタル化することで業務効率化を進めようという考え方です。「2025年の崖」やリモートワークの影響で、多くの企業がDXを検討しています。経費計算では現金管理をしている企業も多く、DXがあまり進んでいません。現状の経費精算の課題やDXの具体例などを紹介します。

経費精算の概要

ここからは、経費精算の概要についてみていきましょう。経費精算は、従業員が立て替えた経費を払戻すというものです。そのため、経費精算の手続きがアナログであるほど、時間・労力どちらも増加していくことになります。

費用との違い

経費と費用の明確な違いは以下になります。

経費は事業の売上のために必要だった費用
・費用は全ての支出(プライベートなものも含む)

経費精算における立替費用の清算は、経費でしか発生しません。そのため、次のような項目でなければ経費精算ができないということになります。

・旅費交通費
・交通費(タクシー、飛行機、新幹線)
・駐車場も含めた地代家賃

経費精算の業務フロー

一般的な経費精算のフローは次のようになります。

1.経費精算の申請
2.許可を得たうえで経理担当者に提出
3.金額、内容を確認し帳簿に記入、処理を行う
4.給料日や決まった日付に社員に払い戻しがある

経費精算ツールやシステムを使用する場合は、より効率化できるものの、仮に紙でやり取りしている場合は、経理担当者の負担は高いといえるでしょう。そのため、DXを取り入れ部分的にでも生産性の向上を図っていく考え方が大切です。

経費精算について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

日本では経済産業省が中心となり、ビジネスのDX推進に力を入れています。経済産業省ではDXを以下のように紹介しています。

・経済産業省のデジタルトランスフォーメーションの定義
「文書や手続きを単に電子化するだけではなく、ITを徹底的に活用することで、蓄積されたデータを政策立案に役立て、国民と行政、双方の生産性を抜本的に向上することを目指します」

IT機器を取り入れるだけでなく、活用することが重要です。例えば、 顧客のニーズを無視した商品よりもデータに基づいた商品の方が 顧客のニーズを満たせるといえます。また、会社を経営する上でも根拠のないかんや経験よりもデータに基づいたうえで会計や経理を行った方が戦略的です。

特にDXは、時代の変化に合わせるためにも必要な改革の1つという立ち位置になりつつあります。そのため、DXを多くの企業が取り入れようとしている状況にあるといえるでしょう。

DX戦略について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

現状の経費精算の課題

現状の経費計算ではどのような課題があるのか、多くの企業が課題に感じているものをみていきましょう。基本的にヒューマンエラーは、人間が関われば関わるほど起きやすいものであり、会社としてアナログな方法にこだわりがあるほど業務フローに無駄が多いと想定されます。

計算や入力のミスがある・時間がかかる

経費精算では多くの領収書や書類を処理します。人がおこなっている限り、計算や入力ミスをゼロにすることは難しいでしょう。また、なるべくミスを減らそうとチェックを厳重にしている場合もあり、時間や人件費がかかってしまいます。 経理担当者がミスに気づいた場合は、差し戻して修正後に再提出するため、さらに時間と人的コストがかかることになります。

領収書の紛失やもらい忘れ

領収書は経費を使ったことを証明する書類です。しかし領収書を紛失してしまったり、もらい忘れたりする従業員も少なくありません。領収書は再発行が難しい場合もあり、経費精算に必要書類を揃えられない可能性が出てしまうといえるでしょう。

こういった場合は、領収書を必要としない法人クレジットカードを活用することで問題を解決できるケースもあります。

法人クレジットカードに関して詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

経理担当者の現金管理業務の負担

企業によっては小口現金と呼ばれる少額の現金を社内で管理し、経費を現金で精算している場合もあります。小口現金は基本的に毎日残高確認をおこないますが、残高と帳簿の金額が合わなければ、その理由がわかるまで退社できないことが多いです。経理担当者の精神的な負担が大きいことも問題となっています。

経費精算DXの具体例と課題の解決法

DXを導入した経費精算にはどのような方法があるのか、今ある課題をどのように解決できるのかみていきましょう。

申請を自動化して業務工数やミスを減らす

属人化していた業務を自動化することで、業務工数やミスを減らすことが可能です。 システムと連携し、自動でデータを入力できるようにする方法が代表的です。システムやツールを導入することで経費精算におけるタスク管理も可能になります。

例えば、申請から上司の承認がデジタル化した場合、経理担当者だけでなく営業担当者の手間も削減できるでしょう。

利用明細データとの連携で領収書を不要に

交通系ICカードやクレジットカード、プリペイドカードなどで経費を支払えば利用履歴を確認できるようになります。利用明細データと連携可能なシステムを使うことで領収書がなくても経費精算が可能です。特に領収書が発行されない交通費では、計算の手間などがなくなります。

また、システムやツールを導入した場合は、 ID や パスワードによって誰でも状況を確認できることから、社内のお金の流れを容易に確認可能となるといえるでしょう。

キャッシュレスにより現金管理業務をなくす

小口現金の管理トラブルが多い場合は、小口現金の利用をやめてしまうのも1つの方法です。給与と一緒に後払いにて支払う企業も多くあります。 しかし、この方法では給与計算の際に精算金額も管理する必要があり、業務が効率化されていないと感じる場合もあります。

また、従業員にとっては立替期間が長くなるため負担に感じるかもしれません。 おすすめの方法は従業員が立て替える必要のない法人クレジットカードやプリペイドカードを活用しましょう。

法人クレジットカードやプリペイドカードであれば、 誰がどのように使用したのかを把握できるだけでなく、 限度額を設定できるため、使いすぎも防止可能です。

経費精算のキャッシュレス化について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

クラウドによる管理を導入する

クラウドによる管理であれば、大量の経費精算や業務の属人化を防ぐことに役立ちます。 経費精算におけるやり取りを全てオンライン上で行えるようになるため、経費担当者だけでなく、申請者・承認者の手間を省くことが可能です。また、難しい電子帳簿保存法への対応なども可能であり、導入するシステムによっては経理担当者をサポートしてくれるものも少なくありません。

経費精算システムを導入する

経費精算システムの導入を行う場合は、どのような経費を簡略化したいのか検討するところからスタートしましょう。例えば、交通費をスムーズに計算したい場合と社内の経費全てをスムーズに計算したい場合では大きく活用方法が異なります。

ただし、目的が把握できていれば、現在では多数の経費精算システムがあるため、人の労力を削減することが可能です。例えば、領収証の扱いが多い場合はデータとしての保管がスムーズにできるだけでなく、申請を自動化してくれるシステムもあります。

また、会計ソフトと連動できれば、経理業務そのものの負担を軽減でき、効率化が可能だといえるでしょう。

経費精算をDXする際の課題

ここから、経費精算のDXに対する課題について詳しくみていきましょう。既存システムとの連携が難しいパターンやルール・フローの変化に対して対応するための準備が必要となる点などは主な課題といえるでしょう。

システムの老朽化や既存システムとの連携

既存のシステムと新しいシステムを連携させることができれば、従業員の負担が少なくDXを進められます。しかし、現在使っているシステムが古い場合には連携対応できない可能性もあるのが実状です。

また、システム老朽化のため、近いうちに刷新することを検討しているのであれば、新しくしたあとに経費精算システムを導入することも予想されます。自社システムも経費精算システムも単純に導入すれば良いものではなく、長期的に改善・見定めながら使っていくものだと想定しておくことが大切です。

ルールやフローの徹底の難しさ

DXを推進する際は全社で進めることが大切です。しかし、業務によってDXが進めやすい部署もあれば、対応に時間がかかる部署もあります。

また、使っているシステムが部署によって違う場合もあります。 経費精算ではさまざまな部署との連携が欠かせません。部署ごとに状況が違う場合は、全社同一のルールやフローの徹底が難しいと感じるでしょう。
そういった場合は、業務内容やフローを洗い出し、部分的に経費精算ツールやシステムを使用していくことでスムーズな切り替えがしやすくなります。場合によっては、システムを使用する従業員に講習や研修によって知識を得てもらうといった体験も検討しましょう。

DXによる一時的な業務効率の低下

新しいシステムを導入した場合、一時的に業務効率は低下すると想定されます。経費精算システムやツールの導入であっても、システムが大きく変更になる可能性がある場合は、業務効率への影響も大きくなる可能性があります。

研修なども含め長期間に渡って移行準備をし、なるべく影響が出ないような工夫をすると良いでしょう。また、影響が出ない範囲から経費精算生産システムやツールを導入していくと生産性の低下を気にする必要がなくなるため、導入方法はよく検討しましょう。

まとめ

経済産業省はDXを促進させたいと考えているものの、課題も多くなかなか進んでいないといえるでしょう。しかし、企業としてはDXをはじめとした技術やシステムの革新がなければ今後生き残るのが難しいと予想しているケースも多いといえます。

そのため、どの企業でも求められる経費精算業務からDX化を進めていくことで、部署から全社にシステムやツールを使用するという文化を馴染ませることが可能となります。

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