個人事業主は消費税を経費にできる?節税ポイントも解説
公開日:2024/5/30
個人事業主の中には、商品の販売やサービスを提供するために、仕入れを行うケースは珍しくありません。
仕入れのために購入する商品には消費税が含まれます。また、事業に関連する経費は確定申告のときに経費計上しなければなりません。そのため、仕入れの際に自分が支払った消費税は経費計上ができるのか疑問を持っている方も少なくないでしょう。また、個人事業主が経営を円滑に進めるためには、節税対策も重要です。そのため、消費税を抑えて節税するポイントを知りたいという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、仕入れにかかった消費税は経費にできるのか、個人事業主が消費税を節税するためのポイントなどについて詳しく解説しますので、仕入れにかかった消費税の会計処理に困っている方は、ぜひ参考にしてください。
消費税とは?
消費税とは、商品やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税金のことです。主に、消費者が負担し、事業者が納付します。
商品の購入やサービスを受ける際、消費者は消費税及び地方消費税の合計額を支払います。また、日本では標準税率と軽減税率の複数税率が採用されています。具体的な消費税率、地方消費税率は下記の通りです。
標準税率 | 軽減税率 | |
---|---|---|
消費税率 | 7.8% | 6.24% |
地方消費税率 | 2.2% | 1.76% |
合計 | 10% | 8% |
軽減税率とは?
軽減税率とは、消費税及び地方消費税の税率が8%~10%に引き上げられた際、同時に消費税の軽減税率制度が実施されることによって誕生した軽減措置です。上記の表でも記した通り、軽減税率は消費税率6.24%、地方消費税率1.76%の合計8%となります。対象は、飲食料品や新聞です。ちなみに、外食やケータリングなどに関しては、軽減税率の対象に含まれません。
地方消費税とは?
地方消費税とは、消費一般に広く公平に課税される道府県税です。納税義務は課税資産の譲渡や特定課税仕入れを行った事業者及び課税貨物を保税地域から引き取る人に対して発生します。標準税率の場合は2.2%、軽減税率では1.76%の地方消費税が課されます。
個人事業主は消費税の納税が必要?
消費税は、消費者が支払い、事業者が納める税金ですが、すべての個人事業主に納税義務が課されているわけではありません。消費税の納税はある一定の条件において義務付けられるものなので、個人事業主によって納税すべきかどうかが変化します。具体的に、消費税の納税が必要なケースと不要なケースにわけて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
消費税の納税が必要なケース
消費税の納税が必要な個人事業主は、課税事業者です。課税事業者とは、消費税を納付する義務がある法人や個人事業主を意味します。具体的には、下記の条件にひとつでも含まれる方は課税事業者です。
- 課税売上高が1,000万円を超える個人事業主
- 特定期間における課税売上高が1,000万円を超え、特定期間の給与等支払額が1,000万円を超える個人事業主
- 適格請求書発行事業者として登録している個人事業主
従来においては、売上高が1,000万円を超える事業者が消費税の課税対象となっていました。しかし、インボイス制度の開始によって売上高が1,000万円以下の事業者でも適格請求書発行事業者の申請書を提出し承認を得られた場合、課税事業者として消費税を納める必要があります。
消費税の納税が不要なケース
消費税の納税が不要な個人事業主は、課税事業者ではない方です。下記に当てはまる個人事業主は、課税事業者ではないため、消費税の納税が免除されます。
- 基準期間における課税売上高が1,000万円以下の個人事業主
- 特定期間における課税売上高が1,000万円以下の個人事業主
- 適格請求書発行事業者に登録していない個人事業主
ちなみに、基準期間は2年前、特定期間は前年度を意味します。基本的に、適格請求書発行事業者ではない方や売上高が1,000万円以下の個人事業主は消費税の納税が免除されます。
仕入れにかかった消費税は経費にできるのか?
個人事業主は、仕入れにかかった消費税を経費として計上することができます。また、国税庁では税抜経理方式または税込経理方式のどちらを選択しても問題ないとしているため、消費税込みの金額でも抜きの金額でもどちらでもいいです。
しかし、税込処理方式と税抜処理方式それぞれにはメリットとデメリットがあるため、自身に最適な処理方法を選択する必要があります。
税込処理方式と税抜処理方式について
税込処理方式とは、課税売上に係る消費税等の額は売上金額、仕入れにかかった金額は消費税込みで計上し、消費税などの納付税額は租税公課として経費計上もしくは損金の額に算入する会計処理方法のことです。
一方、税抜処理方式は課税売上に係る消費税等の額を仮受消費税等として、課税仕入れにかかった消費税は仮払消費税等として会計処理をする方式です。
税込処理方式のメリットは、消費税込みの値段で経費計上することができるため、節税効果が大きくなりやすい点です。しかし、本体価格と消費税をわけずに会計処理をするため、仕入れの実態がわかりづらいという点がデメリットになります。
一方、税抜処理方式は仕入れの実態が把握しやすいというメリットがあります。しかし、消費税を経費計上しないため、本体価格と消費税をわけて処理する必要があります。これにより、作業が煩雑になりやすいという点がデメリットです。
個人事業主が消費税を抑えて節税する2つのポイント
個人事業主は、できるだけ節税対策を行うことで余裕のある経営がしやすくなります。ここでは、具体的に個人事業主が消費税を抑えて節税するポイントを2つご紹介しますので、節税に取り組みたいという方は、ぜひチェックしてみてください。
課税売上高を抑える
1つ目のポイントは、課税売上高を1,000万円に抑えることです。
適格請求書発行事業者に登録せずに課税売上高を1,000万円以下に抑えることで、免税事業者になります。課税事業者ではない個人事業主は、消費税を納める義務がなくなるので、消費税の節税が可能です。そのため、売上が調整できる個人事業主は、うまく調整して節税に取り組むといいでしょう。
適切な課税方式を選択する
2つ目のポイントは、適切な課税方式を選択することです。
消費税の納税額は、課税方式と簡易課税方式のどちらかを選択して計算することになります。課税方式は、1年間で消費者から受け取った消費税から事業者が実際に支払った消費税を差し引いて納税額を求める方法、簡易課税方式は売上の税額にそれぞれの業種で定められたみなし仕入率を掛けて経費の税額を計算し納税する方法です。どちらの方式を選択するかによって納税額が大きく変化するため、自身の事業や状況に合わせて適切な課税方式を選択する必要があります。
まとめ
今回は、個人事業主は消費税を経費にできるのか、具体的な節税ポイントなどについて解説しました。個人事業主は仕入れにかかった商品の消費税を経費計上することができますが、税込処理方式や税抜処理方式のどちらを選択するかによって処理方法は変化するため、自分に最適な処理方式を選択する必要があるでしょう。
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