DXの進め方は?DXのメリットや進める際の注意点も解説

DXの進め方は?DXのメリットや進める際の注意点も解説のイメージ

公開日:2022/07/28

DXはデジタル化によって社員の負担や人的コストを減らすだけでなく、競争力や生産性の向上などのメリットが多くあります。しかし、どのようにDXを進めたらよいのかわからないという方もいるのではないでしょうか。

本記事ではDXの進め方を解説していきます。また、DXのメリットや進める際の注意点も解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

DXを進める際に必要な3つの取り組み

ここでは、DXを進めていく際に必要な取り組みをみていきます。

既存業務のデジタル化と改善を図る

DXとはデジタル化によって業務改善を図り、ビジネスモデルを変革していくことです。DXを進める上では既存業務の中でもアナログ作業のデジタル化を進めていく必要があります。

例えば、申請書類の電子化があげられます。電子化することで、手書きで必要事項を記入する手間や上長へ書類を回す時間を省けるでしょう。加えて、書類の紛失防止にもつながります。

また、デジタル化を行うと既存の業務プロセスでは円滑に業務が進まないケースも想定されます。そのため、デジタル化に適した業務プロセスの改善も検討するとよいでしょう。

社内の協力体制を整える

DXを進める上では現場だけでなく経営層をはじめとした社内の協力が必要不可欠です。DXを進める担当者のみがデジタル化を進めても、全社的な協力がなければ持続的な業務改善は見込めません。

DXの目的やゴールを明確にし、全社一丸となって取り組みましょう。

DX推進を担当する人材を確保する

DX推進においてデジタル技術に精通した人材を確保することが重要なポイントです。また、既存業務のデジタル化を進めていくと、さまざまな問題が発生するでしょう。そういった場合に課題を発見し解決までつなげられる力が必要になります。

加えて、DXは社内全体で進めるため、さまざまな部署の人材をまとめなければなりません。スムーズに進まない場合などに迅速に判断し意思決定を示せるようなマネジメント力も必要だといえるでしょう。

DXの進め方

ここでは、DXの進め方の一例を解説していきます。DXの概念が明確に定まっていないため、進め方に正解はありません。DXの目的やゴールを明確にし、企業の経営方針や課題に適した手順で進めましょう。

戦略と目的を明確にする

DXにおいて重要なポイントは「どうしてDXを進めるのか」という目的を明確にすることです。目的を明確にすることで、DXを進める上で必要な取り組みを把握できます。

DXは業務を改善するための手段であり、ゴールではありません。現場だけでなく経営層から戦略と目的を提示し、全社に共有しましょう。

課題を洗い出す

次に、既存業務の課題を洗い出します。現在の業務プロセスを分析してみましょう。例えば、システムの複雑化や情報共有の方法、データ管理などの課題があげられます。解決したい課題を明確にすることで、具体的な施策が見えてくるでしょう。

洗い出した課題に優先度を設定します。全ての課題をまとめて改善しようとすると、中途半端になりかねません。優先度の高い課題から1つずつ改善を図りましょう。

デジタル化を進める

優先度が高くデジタル化が可能な課題から、自動化ツールを導入し改善を図ります。例えば、RPAで定型業務を自動化する施策があげられます。

また、部署や担当部門に限定するのではなく、全社を横断できるようなデジタル化を検討するとよいでしょう。

見直し・改善を行う

DXではデジタル化を行い、常に変化する社会に適応しなければなりません。そのためには、企業が提示した目的やゴールに向けて定期的な見直しと改善が必要となります。

定期的な見直しと改善を繰り返すことで企業の組織力や生産性を高められるでしょう。

DXを進める3つのメリット

DXは業務を自動化するだけでなく、競争力・生産性の向上や業務効率化につながる点がメリットです。

ここでは、DXを進める3つのメリットについてみていきます。

競争力を高められる

DXで既存のビジネスモデルを変革していくと、常に変化する市場において柔軟に対応できるようになるでしょう。新たな商品やサービスを提供することで、企業としての競争力が高まります。
さらに、魅力ある価値の提供によって顧客の満足度向上につながるでしょう。

生産性の向上を図れる

業務のデジタル化で新しい技術を取り入れると、データを一元管理できます。部署間で管理していたデータを全体的に把握できるようになります。課題の発見や改善策の提案がしやすくなるため、生産性の向上につながるといえるでしょう。

また、DXは社員の働き方にも大きく影響します。

・データをリアルタイムで共有できる
・書類を電子化し、紛失を防ぐ
・Web会議やオンライン商談を導入する

上記のようにDX化によって社員が場所を選ばずに働けるようになります。テレワークやフレックスタイム制を導入することで、効率的に業務を進められるでしょう。

業務効率化のキッカケとなる

DXを進める際に業務内容の見直しを行います。今まで見落としていた無駄な業務プロセスやコストに気付けるでしょう。

また、人の手作業で行っていた業務を自動化することで、業務効率化を図れます。社員の手が空くだけでなく人件費などの経費削減にもつながるでしょう。

DXを進める際の注意点

ここでは、DXを進める際の注意点をみていきます。

企業全体で進めていく

DXの目的とゴールを企業全体に共有しなければ、部署間で連携がとれず失敗してしまうリスクが想定されます。そのため、DXは企業全体で進めていくことを意識しましょう。

また、企業全体で情報共有を行うことで、課題の分析や効果の測定などを効率的に進められます。

デジタル化をゴールにしない

DXは既存業務をデジタル化することではありません。デジタル化を進め、企業全体のビジネスモデルを変えていくことが目的です。

デジタル化をゴールにした場合、自動化ツールを使いこなせなかったり改善策に適していなかったりなどの問題が発生すると業務の課題解決に至らないケースがあります。

DXを進める上で問題が発生した場合、その都度改善策の見直しと改善が必要となります。課題の「見直し」「改善」「実施」の工程を繰り返し、常に変化していくことが大切です。

DXでは新しい技術の導入や業務プロセスの変更を行うため、取り組みを始めてからすぐ結果は出ません。結果が出るまで数年に及ぶこともあるでしょう。そのため、企業全体でDXのゴールを共有し、継続して進めていくことが大切です。

DX化でビジネスモデルを変えるための4つのステップ

DXはデジタル技術を導入するだけでなく、最終的にビジネスモデルを変え競争上の優位性を確立することが目的です。既存のビジネスモデルを変革するためには、いくつかのステップが必要になります。

ここでは、DX化でビジネスモデルを変えるために必要な4つのステップを解説していきます。

アナログ業務をデジタル化する

まず、アナログ業務をデジタル化しましょう。業務のデジタル化には以下のような例があげられます。

・紙媒体の書類を電子化する
・電子契約でハンコを押す手間や申請時間を省く
・エクセルからシステムへ手作業で入力している業務を自動で取り込めるようにする
・アナログ業務をデジタル化すると、事務作業の負担や人件費を大きく削減可能です。

デジタル化できる自動化ツールとしてRPAや経費精算システムがあります。自動化ツールは単純で繰り返しの多い定型業務の自動化に向いています。

業務内容に適した自動化ツールを導入し、業務効率化を図りましょう。

業務全体をデジタル化する

次に、業務全体をデジタル化します。前項ではアナログ業務に焦点を当て、デジタル化を進めました。次のステップは1つひとつの業務ではなく、業務全体の流れをデジタル化していきます。

例えば、注文書の承認申請を例にあげてみましょう。注文書の承認申請は以下のように業務全体を自動化できます。

  1. 担当者が注文書をOCR(手書きの書類をパソコン上に読み込める自動化ツール)でパソコンに読み取る
  2. RPA(定型業務を自動化できる自動化ツール)が注文書のデータを自動的にアップロードするRPAが承認申請を行う
  3. 上長が確認し、申請を承認する
  4. 自動で注文書のデータが取引先へ転送される

上記の業務全体の流れをみると、人の手作業が必要な業務は①と④のみです。他の業務は全て自動で進んでいきます。業務全体の内容や手順を分析しデジタル化することで、さらに業務を改善できるでしょう。

ビジネスを高度化する

次に、アナログ業務と業務全体をデジタル化したデータを分析・活用し、付加価値を生み出します。企業の付加価値を生み出すためには業務のデジタル化による成果や課題をデータ化していく点がポイントです。

データ化された情報は新しい付加価値を生み出すための検討材料になります。例えば、ECサイトを運営しているとしましょう。

ECサイトで顧客が行う決済方法の8割はクレジットカード決済であるというデータがあります。このデータを元にクレジットカード決済を導入しました。

しかし「ターゲットとなる顧客が利用している決済方法」について情報を収集するシステムがなければ、そもそも決済方法の検討はできません。このようにデータを元に付加価値を生み出し、ビジネスそのものを高度化していきます。

企業を超えた最適化を図る

企業を超えた業界全体で最適化に取り組みましょう。企業だけでは限界があります。業界全体でデジタル化を進め競争力を高め合うことで、自社のビジネスモデルを大きく変えるキッカケともなるでしょう。

企業間でデータを共有した場合、データ収集や分析に時間をかけずに済ませられます。また、ライバル企業が導入し業務が改善したのに、自社では知識がなく導入できなかったツールがあるとしましょう。そういった場合も、企業間で協力し導入できればさらにデジタル化が進み業務改善につながります。

このように、ビジネスモデルを大きく変えるためには自社にはない考え方や知識を持つ人材が必要となるでしょう。

業界全体で最適化を進めるためには各社と調整しなければなりません。そのため、DXに長期間を費やすことになるでしょう。また、企業を超えた協力は「社外に秘密が漏れるなどの問題が発生するリスクがあるから」となかなか進みません。

しかし、企業を超えて業界全体でDXを進めた場合、ビジネスモデルだけでなく市場全体の大きな成長にもつなげられる可能性があります。

まとめ

DXは優先順位の高い課題を解決するためにデジタル化を進めていきます。デジタル化によって社員の負担やコストを大幅に減らせるでしょう。しかし、デジタル化がゴールではありません。

DXではビジネスモデルそのものを変革する必要があります。新たな付加価値を生み出し、競争力を高めましょう。さらに、企業を超えた取り組みを行うことで、業界全体が成長する可能性があります。

本記事を参考に、DXのメリットや注意点を把握しつつ、企業だけでなく業界全体の業務効率化を進めていきましょう。

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