国内・海外企業のDX成功事例10選!DX推進の課題を含めて解説

国内・海外企業のDX成功事例10選!DX推進の課題を含めて解説のイメージ

公開日:2022/07/28

近年では、DX推進が世界規模で取り組まれており、日本企業においてもデジタル化が進んできています。国内だけでなく、海外企業のDX成功事例が気になる企業も多いでしょう。そこで今回は、国内・海外企業のDX成功事例を紹介します。また、DX推進における課題や成功させるポイントについても解説していきます。

DXの成功事例―国内企業5選

日本においても多くの企業はDX推進に取り組んでおり、さまざまな成果をあげています。実際、DX化に成功している国内企業では、どのような事例が報告されているのでしょうか。ここでは、国内企業における5つのDX成功事例を解説していきます。

日立製作所

日立製作所は、日本の代表ともいえる世界的に有名な電機メーカーです。現在は「Lumada(ルマーダ)」と呼ばれるデジタルソリューションを事業の中心とし、全社的なDX推進を実施しています。

Lumadaは、IoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)などの先進的なデジタル技術に、日立製作所が長年のナレッジを蓄積させたDXの基盤です。同社は、Lumadaを「サービス・ソリューション・テクノロジー」の総称としています。

Lumadaの活用により、製造指示から納品までの時間を50%短縮させることに成功しています。2016年にLumadaを発表以降、日立製作所は1,000件を超える実績を積み重ねてきており、幅広く社会に貢献してきました。

2021年6月には、経済産業省と東京証券取引所の共同で行われた「DXグランプリ2021」において、日立製作所が選定されています。今や日立製作所のDX推進における先進的な取り組みは、世界中から評価されているといえるでしょう。

セブン&アイ・ホールディングス

セブン&アイ・ホールディングスは、コンビニやスーパー、百貨店などを展開している有名な大手流通持株会社です。2021年6月に行われた「DX銘柄2021」に選定されており、DXの取り組みで実績のある企業であることが分かります。

同社では、DXを取り入れて顧客データを収集し、どのように活用していくかが大きな課題となっていました。そこでセブン&アイ・ホールディングスは、デジタルを活用したEC配送サービスに取り組み、配達効率の最適化を狙い新たな顧客への価値提供を開始します。

2021年3月より約5年間、中計経営計画を行い「ラストワンマイルDXプラットフォーム」を立ち上げ、現在は下記の4つを中心にAIを用いたEC配送の最適化を推進中です。

①車両・ドライバー
②配送料
③配送ルート
④受取場所

配送距離を最大約40%、車両台数の約45%削減を目指した結果、すでに注文から最短30分の配送を実現させています。今後「AI配送コントロール」により、顧客への商品配送における課題解決に向けて、さらなる時間短縮の提案に取り組み中です。

りそなホールディングス

りそなホールディングスは金融業で最もデジタル化が進んでおり、2020年より2年連続で「DX銘柄」に選定されています。

同社は「顧客との接点の低さ」「顧客ニーズ」「収益機会の損失」といった3つの課題を抱えていました。そこでスマホのアプリを活用したDXの推進に着目し、2018年2月には「りそなグループアプリ」をリリースを開始しています。

新しい価値提案の提供を開始したところ、2年9ヶ月で300万DL達成という成果を得ました。また、アプリの提供により20代の顧客が増加し、新たな顧客層との接点を確保するといった実績もあげています。

さらに、8割という継続利用率の高さも注目すべき点です。同社はアプリを中心としてデジタル化を加速させ、データ分析により金融商品の購入率を2倍に向上させることにも成功しています。

鹿島建設

鹿島建設は「DX銘柄2021」と「DX認定取得事業者」共に選定されており、DX推進において実績をあげている企業です。DX推進前の課題は、次世代の担い手不足でした。

そこで、最先端のテクノロジーを活用するため、複数の機械を自律的に施工するシステム開発に乗り出します。鹿島スマート生産ビジョンとして「作業の半分はロボット」「管理の半分は遠隔で」「全てのプロセスをデジタル化」といったコンセプトを掲げ、DX推進への取り組みを開始しました。

2015年より実際にダム現場での実証実験を推進した結果、自動化に成功し、DX推進により担い手不足の課題解決への成果をあげています。現在もAIやロボットなどのデジタル技術を活用し、迅速な生産性向上を目指している企業です。

トライグループ

トライグループは「家庭教師のトライ」のCMでおなじみの学習塾としても有名な企業です。同社はリモートで受講できる映像授業に早い段階で着目し「Try IT(トライイット)」という名のサービスを開発しました。

Try ITは中高生向けの映像授業サービスです。スマホやタブレット、PCなどの媒体を活用し、4000本の映像授業を永続的に0円で観られるクオリティの高い学習サービスとなっています。

Try ITの利用者数は、リリース後100万人を突破しており、多くの中高生の学習において活躍中です。同社は、Try ITの開発によりインターネットを利用すれば、どこからでも授業が受けられるデジタルサービスの実現に成功しています。

従来の学習塾や家庭教師からは得られない、オンライン授業特化型のサービスを実施中です。

DXの成功事例―海外企業5選

ここから、海外企業で報告されているDX成功事例をみていきましょう。AmazonやAppleをはじめとした世界最大級ともいえる企業を含め、5つのDX成功事例について解説していきます。

Amazon

1994年に創業したAmazonは、元々小さなオンライン書店でインターネットを介して商品販売を開始した企業です。現在はDXで成功した最も名高いブランドとなっており、世界的に認知されている企業となっています。

販売や購入、決済など、物流における小売りの仕組み全てをオンライン上で実現可能とし、DXによって劇的なビジネス改革を遂げています。書籍をはじめ、ファッション・家電・食品まで、さまざまなジャンルの商品を扱っており、顧客が好きなときに必要なものを手軽に購入できる点が魅力です。

AIを活用し顧客が購入した履歴から分析を行い、商品のジャンル別に正確な発注数を算出し、適正な在庫維持の実現に成功しています。そのため、過剰在庫といったリスクや在庫切れなどを回避し、確実に顧客が求める商品を届ける体制を整えています。

Amazonはサイトの利便性に優れているため、大手ネットショップの中でも利用者が最も多く、世界中から支持されているブランドです。現在は「AWS(アマゾン ウェブ サービス)」というクラウドサービスを展開しており、世界最大規模のクラウドプラットフォームとして注目されています。

Apple

MacBookやiPhoneなどのデジタル機器で知られるAppleは、現在クレジットカード業界で大きな変革を推進しています。金融分野では2014年9月、電子決済サービス「Apple Pay」を発表し、Appleブランドの認知力、技術力を活かしつつ参入中です。

Apple Payはアプリを活用し、iphoneやiPad、Apple Watchなどのデジタル機器にかざせば、手軽に電車賃や買い物での支払いを行える決済サービスとなります。決済時に「Touch Id」や「Face ID」といった生体認証システムを活用し、不正利用や捏造を防ぎ、紛失、盗難時のリスクを軽減させています。

また、2019年にはアメリカにおいて「Apple Card」のサービスも開始しました。Apple Cardでは、従来のクレジットカードにあったカード番号、有効期限、セキュリティコード、サイン欄などが一切排除されています。そのため、ロゴと利用者名のみのシンプルなデザインも魅力です。

現在、これまでクレジットカードを作成できなかった移民や貧困層の利用も可能とし、スキミングと呼ばれる不正利用を回避するための推進が行われています。

Airbnb

Airbnb(エアービーアンドビー)は宿泊先を探す旅行者と、所有している別荘・ゲストハウスを提供したいオーナーをマッチングさせるサービスです。Airbnbは、従来の宿泊施設における業界構造を大きく変革させることに成功しています。

これまでは、ホテルや旅館、民宿などから選び、予約をして宿泊する方法が一般的でした。しかし、現在はAirbnbの登場により、個人別荘をはじめ自宅の個室、テント、キャンピングカーといった、さまざまな場所から宿泊先が選べます。

Airbnbの開発により、オーナーは顧客が求める宿泊場所を提供でき、旅行者は手ごろな価格で泊まれることを実現させました。また、予約から支払いまでの手続きを全てシステム上で完結可能とし、どこからでも手軽に利用できる点も高い評価を得ています。

Airbnbは利便性が高く、日本を含む世界192ヶ国の都市で利用されている人気サービスです。

IKEA

IKEAは、日本でも有名なスウェーデンの家具メーカーです。DXの取り組みでは、オンラインサービスの向上、顧客ルートの多様化を図っています。

2017年に「TaskRabbit」を買収し、IKEAで購入した家具の組み立てや配送の手伝いを行ってくれる人を検索できるサービスの提供を開始しました。組み立て代行サービスの提供により、家具を購入後の組み立てに関する顧客の不安解消につなげています。

2020年には紙媒体のカタログを完全に廃止し、デジタルカタログへの移行を実施しました。スマホやPCなどのデジタル機器からインターネットを利用し、手軽に欲しい商品の検索・閲覧が可能となっています。

さらに、同社ではスマートホームプロジェクトを立ち上げ、購入前後のギャップを解消するためのAR(拡張現実)を導入しました。ARの活用により、顧客は自宅からバーチャル空間で家具を選び、部屋に設置し視覚的に確認できます。

どの家具が自宅の部屋やインテリアに合うか分かりやすくなり、購入前後のギャップを軽減して顧客体験向上を実現させています。同社は、DX推進により収益向上といった成果だけでなく、コストの大幅な削減にも成功しています。

Careem

Careem(カリーム)は、中東ドバイを拠点とする配車サービス企業です。同社は、2018年よりフードデリバリーサービス「Careem NOW」の提供を開始しました。Careem NOWは中東エリアを中心として、利用者数3,500万人を超える人気サービスです。

当初は2年間の開発計画を行っていたものの、サービスの早期リリースが求められ、開発までの短縮が必要となりました。ビジネス戦略面において、ドバイ市場の先行サービスとする有益性を保証するため、重要度が高まったためです。

同社はオリジナルマップを作成し、小さな町に従業員を派遣するなど、利便性を追求した取り込みも行いました。サービス規模に耐えうる設計、厳格な基準におけるセキュリティ完備など、技術面だけでなく地域住民が利用しやすい工夫が高評価を得ています。

DX推進への先進的な取り組みが功を奏し、短期間で15ヶ国120都市にサービス展開するほどの成長をみせました。現在はUber社に買収されているものの、中東地域でのリーディングサービスとして不動の実績を残しています。

DXにおける3つの課題

近年では、世界中でさまざまな企業がDXに取り組んでいます。ここでは、DXを推進するにあたって取り組むべき3つの課題をみていきましょう。

全社的に進めていかなければならない

DXを成功させるためには、全社的に進めていく必要があります。経営トップによるリーダーシップのもと、全社をあげてDX推進を行っていくことが重要です。まずは、DX推進にあたって現場の理解が必要となるため、経営トップが目標やビジョン、施策を明確化しなければなりません。

経営層だけが取り組み始めても、現場の理解を得られなければ反対意見が出て来るため、対立が起こりDXの実現は難しくなります。経営トップはDX推進に向けてコミットメントし、必ず従業員に情報を共有し周知させましょう。

全社的に一丸となって取り組むことにより、スムーズにDX化を進めていけます。また、デジタルシステムを導入後はセミナーや講習会の開催するなど、従業員の教育も忘れずに行い、ITリテラシーも高めていきましょう。

既存システムの見直しに時間がかかる

DX推進にあたって既存システムの見直しは必要不可欠です。長期にわたる見直しが必要となるものの、レガシーシステムを放置するとブラックボックス化といった深刻な事態になりかねません。

DX推進において、すでにレガシーシステムは足かせとなっており、日本企業の大きな課題となっています。早急に刷新が必要な既存システムを調査してリスト化し、長期的な計画を立てて進めていくことが重要な課題です。

新規デジタルツールの導入や開発に必要なコストを割り出し、既存システムを刷新してDX化を実現させていきましょう。

すぐに結果は出ない

DXは、あくまで手段でありゴールではないため、ただちに結果が出るとは限りません。基本的に成果が出るまで数年を要するため、中長期的な視点で焦らずに進めていくことが大切です。

DXの推進方法は企業によって異なります。そのため、デジタルツールを導入できたとしても、自社に合っているのかすぐには分かりません。試行錯誤しながら進めていく必要があり、焦って結果を追い求めると失敗する可能性が高くなります。

DXは、すぐに結果が出ないことを念頭に置きつつ長期的な計画を立て、落ち着いて取り組みましょう。

DXを成功させるためのポイント

DX推進にあたって重要なポイントは、大きく2つに分けられます。ここから、DXを成功させるポイントについて解説するため、自社で取り組む際の参考にしてみてください。

情報共有や管理できる環境を整備する

DXは経営層から現場まで全社的に取り組む必要があるため、情報共有はもちろん、管理できる環境を整備することが大切です。デジタルツールを導入すれば、情報共有から管理までの環境をスムーズに整えられます。

しかし、情報共有や管理ツールにはさまざまな種類があり、サービスによって機能が異なります。自社のDX推進目的に合ったシステム導入は、成功するための重要なポイントです。

コストをかけて新規システムを導入しても、必要な機能が搭載されていなかったり、複雑すぎて使いこなせなかったりといった失敗事例は少なくありません。そのため搭載機能の確認はもちろん、できる限りシンプルで利便性が高く、だれでも簡単に使えるシステムツールを選びましょう。

優先的に改善したい課題からIT化を進めていく

自社の課題の中でも、優先的に改善すべき範囲からIT化を進めていくことも大切なポイントです。そのためには、まずDX推進にあたって現在抱える課題をリストアップし、優先順位を決めましょう。

社内のコミュニケーション不足を改善する場合はビジネスチャットツール、営業管理の属人化が課題であればSFA(営業支援システム)の導入を推奨します。紙媒体のデジタル化やクラウドサービスの導入など、身近な業務で非効率化しているところからIT化していくのもよいでしょう。

DXを一度に実現させるのは困難なため、業務の効率化やコスト削減を目標に、しっかり計画を立てて進めていくことが重要です。

まとめ

DXにおける日本企業と世界企業の成功事例は、今後DX推進に取り組むにあたって、参考になる企業も多いのではないでしょうか。DX推進においてIT化は必要不可欠です。成功事例で紹介してきたように、ITツール導入に成功している企業は、大きな成果を得ています。本記事を参考にDX推進への課題と向き合い、成功させるためのポイントを押さえ、IT化を実現させていきましょう。

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