福利厚生費とは。具体例や条件、注意点についてわかりやすく解説

福利厚生費とは。具体例や条件、注意点についてわかりやすく解説のイメージ

公開日:2022/07/28

福利厚生費とは、会社が給与以外のサービスとして従業員に提供し、税務会計上経費として認められるものを指します。条件が合わない場合は、経費として参入できないことがあるため注意しなければならない勘定科目の1つと言えるでしょう。

本記事では福利厚生費の具体例や条件、注意点についてわかりやすく解説します。福利厚生費の取り扱いについて悩んでいる方は参考にしてください。

福利厚生費とは

福利厚生費とは、企業が給与以外に社員のために利用する費用です。業務には直接関係しない費用となり、例えば、社員旅行費やレクリエーション費・健康診断費用などが該当します。

従業員のコミュニケーションの円滑化やモチベーションアップのために使われることが少なくありません。健康診断や人間ドックなどは、社員が心身の健康を保つために役立ちます。条件を満たせば全額損金として取り扱われるため、税金対策としても効果を発揮する点も把握しておきましょう。

福利厚生費には2種類あります。それぞれについてみていきましょう。

法定福利費

法定福利費とは、法律で規定が定められている福利厚生費用を指します。社会保険や労働保険などが該当し、具体的には次のとおりです。

・健康保険
・厚生年金保険
・介護保険
・労災保険
・雇用保険

社会保険や労働保険の一部を企業が負担しています。この負担金を法定福利費として計上します。

福利厚生費(法定外福利費)

上記保険料以外のものが、福利厚生費(法定外福利費)です。企業により実施内容は大幅に異なり、例えば、住宅手当や食事の補助・慶弔見舞金などが該当します。

福利厚生が充実しているかどうかは、会社選びの基準の1つとなります。そのため、優秀な社員を集めるために、福利厚生を充実させようと考える企業は少なくありません。

福利厚生費の条件

福利厚生費は全額経費として計上できるため、税金対策としても有用です。ただし、計上するためには一定の条件に合致していなければなりません。

条件を満たしていない場合は、消耗品や交際費などとして計上することとなります。場合によっては従業員の給与が課税されることもあるため注意が必要です。

ここでは、福利厚生費の条件についてみていきましょう。

機会の平等性

福利厚生費として計上するためには、すべての従業員が利用できるものでなければなりません。一部の従業員しか利用できないサービスの提供は福利厚生費とは認められないため注意が必要です。

金額の妥当性

あまりにも高額なものを支給した場合は、福利厚生費としては認められません。社会通念上、常識と考えられる範囲であることが大切です。

例えば、新年会や忘年会が豪華すぎる場合や開催頻度が多い場合、交際費や給与として扱われる可能性があります。

現金支給ではない

現金をはじめ、金券などの換金性の高いものを支給した場合、福利厚生費として認められない可能性が高まります。従業員の給与として扱われ、課税対象となるため注意が必要です。

福利厚生費の具体例

企業により福利厚生の内容は大きく異なります。ここでは、具体的にどのようなものがあるかみていきましょう。

通勤費

通勤手当は、税法上の上限金額まで福利厚生費として認められます。

バスや電車などの公共交通機関を利用する場合、上限月15万円までが非課税対象です。ただし、「経済的かつ合理的な経路」であることが必要です。

自家用車を利用する場合、2km以上の場合距離に応じて非課税額が決まっています。2km以内であれば課税対象です。

上限額を超えた部分は、支給月の給与として源泉徴収の対象となります。

食事補助

福利厚生として認められる勤務時間内の食事補助は、現金でなく食事そのものまたは食事券などでなければなりません。

福利厚生費として計上するには、次の2点が条件です。

・食事代の企業負担額は従業員1人あたり3,500円(税抜)以下
・従業員は食事代の50%以上を負担している

勤務時間外の食事補助の条件は異なります。

・残業・宿日直:現物支給の場合、全額福利厚生費
・深夜勤務:現物支給の場合、全額福利厚生費

健康診断

全従業員を対象にする一般的な健康診断は福利厚生費となります。

健康診断により従業員は心身の健康を維持し、勤務に集中できます。労働安全衛生法により、企業は従業員に健康診断を受けさせなければなりません。

福利厚生費として計上するための条件は次のとおりです。

・全従業員が健康診断を受診できる
・企業が医療機関に直接費用を支払う
・常識的な範囲内の費用とする

ただし、年齢により必要な健康診断内容を指定しても構いません。なお、一般的な健康診断の費用は1万円~1万5千円程度とされています。参考にしてください。

慶弔見舞

従業員とその親族などに対して支払う慶弔見舞金は労働の対価ではないため、福利厚生費として計上可能です。上限金額は定められておらず、社会通念上相当であれば課税対象とはなりません。

慶弔見舞金の具体例は次のとおりです。

・出産祝
・結婚祝
・誕生日祝
・死亡弔慰金
・疾病見舞
・災害見舞

社員に対して画一的に支払うため、あらかじめ、規定を作成しておきましょう。

レクリエーション

レクリエーション費は、原則として給与とみなされ課税対象となります。しかし、下記の条件に該当した場合、福利厚生費として計上できる場合がある点を把握しておきましょう。

・全従業員が参加の対象となっている
・一般的な金額であること
・現金支給ではないこと

賞品として現金や換金性の高い金券を支給した場合、課税対象となるため注意が必要です。
例えば、全従業員が参加する新年会や忘年会、運動会などが対象となります。

社員旅行

社員旅行が福利厚生費として落とすための条件は次の3つです。

・旅行期間は4泊5日以内 ・旅行参加者が全体の50%以上 ・会社負担額が高額すぎないこと

条件を満たさない場合は、社員の給与として扱われ課税扱いとなるため注意が必要です。また、不参加の従業員の旅費分を金銭等で支給することはできません。家族同伴の社員旅行も給与課税の対象になる点を把握しておきましょう。

育児・介護

育児や介護による離職を防ぐため、企業のサポートが欠かせません。

育児・介護のサービス例としては、次のものがあります。
・保育園料補助
・病児保育施設利用補助
・介護保険対象サービスの利用補助

全従業員が利用できることが条件となります。

福利厚生費の注意点

福利厚生費を計上する際の注意点を把握しておきましょう。

要件を満たさないと損金算入できない

福利厚生費を計上する際は、要件を満たしていないと損金算入できない点には注意が必要です。

条件を満たさないまま計上すると、交際費として振り替えなければならない場合があります。また、社員の給料として計上される場合もあります。社員の給料として計上する場合、該当社員がその費用に対する税金を支払わなければなりません。

例えば、社員旅行に不参加の従業員に旅費分を金銭で支払った場合、課税対象は該当の社員のみにとどまりません。その社員旅行全体が、各社員の給与とみなされることとなるため注意しましょう。

福利厚生費の注意点

福利厚生の導入を行う際は、ビジネスカードの利用を検討しましょう。クレジットカードにはさまざまなサービスが付帯しています。

福利厚生サービスが充実している法人カードを選べば、従業員は必要に応じてさまざまなサービスを利用できます。会社として費用の負担をする必要がないため、お得な制度といえるでしょう。

例えば次のようなサービスが利用可能です。
・格安でホテルを利用
・映画料金の割引
・レンタカーの割引
・イベントチケットの割引

さらに、法人カードを利用して福利厚生費をはじめとした経費の支払いに利用すれば、経理処理が楽になる点も魅力です。

まとめ

福利厚生費には法定福利費・法定外福利費の2種類があります。法定福利費は健康保険や労災保険などが該当します。

法定外福利費は、全従業員を対象とし、一般的に妥当とみなされる金額でなければなりません。また、現金や換金性の高いものを支給すると給与とみなされると、従業員の源泉徴収の対象となる場合があります。また、交際費として判断され税金対策とならないことがあるため、注意が必要です。

福利厚生費の計上を検討する際は、条件をよく確認したうえで社会通念上相当な金額とします。明確な上限金額が定められていないものもあるため、金額設定には注意が必要です。

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