コーポレートカードとは。メリット・デメリット・導入時の注意点などを解説

公開日:2022/07/29

大企業向けのクレジットカードをコーポレートカードといいます。カードを導入すると、経理業務の効率化につながるため、導入を検討している企業は少なくありません。
本記事では、コーポレートカードのメリットやデメリット、導入に際しての注意点について解説します。カードの導入を検討している方は参考にしてください。

コーポレートカードとは

コーポレートカードとは、大企業の法人向けクレジットカードを意味します。大企業は社員の人数が多いため、多くの発行数が必要となります。

法人向けのカードと言えばビジネスカードという名称を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。ここでは、その違いについても見ていきましょう。

コーポレートカードの特徴

20名以上の大手企業向けに発行されるクレジットカードをコーポレートカードといいます。会社に対して発行するだけでなく、社員1人1人が利用できる「社員カード」が発行できます。

一般的な個人カードと比較した場合、限度額が高めに設定できる点が特徴です。カードの付帯サービスも、法人向けに特化したものが多いため、福利厚生の充実などに役立ちます。年会費は経費として計上できる点も把握しておきましょう。

ビジネスカードとの違い

ビジネスカードは、20名以下の中小企業や個人事業主向けに発行される法人カードを指します。呼び名が異なるだけで、基本的な機能はコーポレートカードと変わりません。

コーポレートカードのメリット

コーポレートカードを持つと、業務の効率化や資金繰り対策などいくつものメリットがあります。カードに付帯された特典を活用すると福利厚生の充実にもつながります。ここでは5つのメリットについてみていきましょう。

経理業務の効率化

経費を支払う際に、毎回、担当社員が現金支払いを行い、後ほど小口現金で経費精算を行っている会社は少なくありません。

現金で経費精算を行う場合、先に担当社員が自腹でお金を払う仕組みです。経費精算の折にも、わざわざ担当者と経理担当者が顔を合わせなければならず、手間暇がかかります。経理担当者もその都度小口現金を数え、伝票を切るという手間が生じるため負担となっていることが少なくありません。

コーポレートカードの導入により、担当社員が自腹でお金を払う必要がなくなります。経理担当者も小口現金管理の手間が省けるため、人員削減・コスト削減につながります。

さらに、カードと経費精算システムを連動させれば、伝票計上の手間が削減可能です。経費精算の際に手書きの稟議書を利用していた場合は、デジタルに変更すると上司から印鑑をもらう手間の削減にもつながります。

付帯サービスの利用

多くの法人向けカードはさまざまなサービスを付帯しています。内容はカードにより異なりますが、例えば次のようなものがあります。

  • 空港ラウンジの使用
  • 海外旅行損害保険
  • スポーツクラブ優待
  • 健康相談
  • 人間ドックの割引
  • ホテル・レストランの割引
  • レジャー施設割引
  • 育児サービス
  • 家事代行サービス

海外出張の多い会社であれば、空港ラウンジの使用や旅行損害保険が充実しているものを選ぶとよいでしょう。また、ホテルやレストラン、レジャー施設などが付帯しているカードを選ぶと、福利厚生の充実につながります。

しかしながら、法人カードの付帯サービスはなかなか従業員に浸透しません。福利厚生の一環として選択した場合は、従業員にそのような付帯サービスがあることを何度も知らせ、実際に活用してもらうよう広めましょう。

資金繰り対策

突発的に資金が必要となった際にカードを使いましょう。法人カードを利用するとお金の引き落としを支払い時期の1~2カ月後にずらせます。融資などを通さずに必要な資金を増額できるため、資金繰り対策として利用できます。

年会費の経費計上

法人用カードの場合、年会費が経費計上可能です。個人向けカードを持っていても、会社の経費とはできないため、節税対策につながるといえるでしょう。

ポイント・マイルの利用

法人カードにも利用の都度、ポイントやマイルが計上されるものがあります。法人カードのポイントは、経営者の裁量で利用できる点がメリットです。福利厚生の充実や、商品の割引など、会社にとってお得となるように利用しましょう。

コーポレートカードのデメリット

カードの導入には多くのメリットがあります。一方で、デメリットを感じることもあるため、導入前に確認しておきましょう。

年会費の負担

多くのカードは年会費の支払いが必要です。個人カードのように永年無料のカードはほとんどありません。そのため、毎年年会費が必要となる点はデメリットです。

年会費の負担を下げるためには、なるべく年会費の安いカードを選択しましょう。

カード管理の負担

法人カードは、従業員が増えるたびに追加でカードの発行が可能です。しかし、多くのカードを発行するとプライベートに利用されてしまうリスクがあがります。

カード管理の手間が増えることを負担と感じることもあるでしょう。

不正利用に気を付ける

不正利用を防止するために、利用明細書は必ずすべて確認しなければなりません。事業に無関係なものに利用されないよう、カード導入の際はルールを定め徹底しておきましょう。

場合によっては、経費支払の頻度が低い部署には配布しない、などの工夫が必要です。

コーポレートカード導入の注意点

メリットの多いコーポレートカードの導入を検討する企業は少なくありません。その際の注意点についてみていきましょう。

会社に相応しいカードを選択する

法人向けカードにはさまざまなタイプがあります。追加カードの発行制限枚数がないもの、使用用途に特化したものなどです。また、付帯サービスもカードにより大きく異なるため、カード選択時に確認したいことの1つです。

条件を達成すれば翌年の年会費がかからないものもあります。有料年会費のカードにも大きな幅があるため、総合的に見て一番自社の状況にあったものを選びましょう。

管理のルールを徹底する

カードを導入した場合、社員による不正利用のリスクがあります。カードによっては個別に利用限度額を設けることも可能なので、必要に応じて利用しましょう。

従業員には利用範囲や利用限度額をはじめとしたカードの利用ルールを伝え、徹底します。また、経理部においては、毎月利用明細書を見て不正利用がないことの確認が欠かせません。

ポイントの利用方法を決めておく

法人カードを利用すると、ポイントが付きます。会社としてポイントを利用することも可能です。

あとで揉めることのないように、事前にポイントの利用方法を決めておきましょう。

コーポレートカードの選び方

コーポレートカードを導入する際、どのように選べばいいか悩むこともあるでしょう。ここでは、カード選択時に注目すべきポイントについて解説します。

年会費

法人カードの中には次の4タイプがあります。

  • 年会費永年無料
  • 初年度のみ年会費無料
  • 条件が合えば翌年年会費無料
  • 有料

有料カードを選ぶと、毎年出費が必要になります。年会費の幅はとても広いため、金額を確認したうえで目的に応じたものを選択しましょう。また、甘言率や付帯サービスによっては、有料カードの方がお得になる場合もあります。総合的な判断が欠かせません。

用途に合わせる

主に交通費に利用する、出張時に利用する、経費精算として使用する、など会社によりカードの利用用途は異なります。

利用用途があらかじめ限定されている場合はそれに特化したものを選ぶとよいでしょう。

限度額

法人カードの限度額は個人カードよりも高めに設定できます。そのため、資金繰り対策に利用できます。万が一に備え高めの限度額に設定しておいてもよいでしょう。

審査により法人カードの限度額が決まることもあります。場合によっては希望通りの限度額が得られない可能性も把握しておきましょう。

あわせて、社員個人による不正使用対策もしなければなりません。社員ごとに限度額が設定できるものを選ぶと、そのような対策が可能です。

付帯サービスの確認

付帯サービスは、カードにより大きく異なります。年会費を払っているのに付帯サービスが利用できない状況は、もったいないといえるでしょう。

そのため、自社に合ったサービスを選択します。

まとめ

コーポレートカードとは20人以上社員がいる大企業向けの法人クレジットカードです。導入すると、経費精算をはじめとした業務の効率化につながります。付帯サービスによっては、福利厚生の充実にもなるため、導入を検討してみましょう。

カードを導入した場合、社員の不正利用を防止しなければなりません。導入前にしっかりルールを作成すると同時に、経理部で毎月チェックするよう体制を整えておきます。

年会費や付帯サービスはカードにより大きく異なります。それぞれの条件を確認し、自社に合ったものを選びましょう。

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