財務会計とは何か。概要から業務内容、効率化の方法まで解説
公開日:2022/08/22
財務会計は、企業の利害関係者に対して報告するための処理方法です。計算を行うという面では、税務会計や管理会計と呼ばれる方法もありますが、明確に目的が異なります。
そのうえで、そもそも財務会計がどんなものかわからないというケースもあるかと思います。今回は、財務会計の概要とルール、よくある課題や効率化の方法について詳しくみていきましょう。
目次
財務会計とは
財務会計は、企業に関連する投資家や債権者などの外部の人々に向けた会計処理方法のことです。
財政状態だけでなく経営状態も知らせる必要があります。 例えば、財務諸表などを作成し、公表することで外部からの評価を高め、出資や融資を募るといった目的につながります。
加えて、法律によって必ず外部に対して報告する義務があるため、法律に則った処理が必要です。
目的
財務会計を行う目的は、外部の利害関係者に対して企業の財政・経営状況を明確に伝えることにあります。外部に対して、自社の状況をまとめた財務諸表と呼ばれる次の書類を発行する必要があります。
・貸借対照表・・・決算日時点での資産や負債、資本金 を表す
・損益計算書・・・収益、粗利率、純利益を表す
・キャッシュフロー計算書・・・資金の出入りを表す(営業・投資・財務に分ける)
財務会計は、決算日に公表する必要がある書類を作成するための会計処理だといえるでしょう。
役割
財務会計の役割は大きく分けて2つになります。1つは、企業に対する利害関係者への情報提供、もう1つは株主などに対する利害調整です。
まず、利害関係者情報を提供する意味は、投資家から資金を得るためだといえます。投資家は、企業の財務諸表を読み、将来性や収益の安定性などの総合的な判断から投資を行います。実際、名前を聞いたことがある商品を提供していても利益や市場の将来性が厳しいというケースも少なくありません。
そのため、利害関係者への情報提供は会社存続のためにも大切な要素だといえます。
次に、利害調整に関しては、資金の流れを示すことによって、融資先や株主の動向を確かめることが可能です。仮に、資金の使われ方に問題があった場合、融資先や株主が未来を予想し、株価の変動や取引そのものの調整が発生すると想定されます。
逆に、取引内容や資金の流れが好調である場合は、株価が高くなる・融資額の増加が狙えるなど企業にとってのメリットも大きくなります。そのため、財務会計で作成される書類は企業の一般的な評価の一部になるものだといえるでしょう。
似た用語との違い
財務会計と似た言葉として管理会計、税務会計があります。それぞれの違いを表すと以下のようになります。
まず、管理会計は、経営者に向けた意思決定のための会計処理です。過去の実績を確かめるのではなく、事業の収益性や将来性、今後の事業の継続などを判断するために実行します。法律的に実行しなければならないなどのルールはなく、公表する必要もありません。
次に、税務会計は、企業における税金を確定するための会計処理です。財務会計の一部として考えられるものの、金額は必ずしも一致しません。加えて、税制改正に対して追いついていく必要もあるため、外部の企業や専門家などの人材、ツールを使用して適切な処理を効率化するといった対策も有効です。
財務会計における3つの理論構造
ここからは、財務会計で必須とされる論理構造についてみていきましょう。簡潔にいえば考え方、ルール、計算する際の処理方法を示すものだといえます。
①会計公準
会計公準は、企業の会計における基礎的な考え方を示す前提条件のことです。 次のように分かれています。
【構造的枠組みである構造的公準】
1.企業実体・・・企業を所有者と株主にわける企業実体
2.継続企業・・・企業を半永久的に活動するものとして考え一定期間を区切りと考える
3.貨幣的・・・・会計行為の全ては貨幣が測定尺度になる
【目標を示す要請的公準】
1.有用性・・・企業会計の結果は、利害関係者のニーズに応え、役立つものであることを示す
2.公正性・・・偏りがなく、誰に対しても情報提供として役立つものであることを示す
公準は、あくまでも考え方を示したものであるものの、公準を原則として企業活動を行う必要があるため、全ての企業で共通している考え方の1つといえるでしょう。
②会計原則
会計原則は、財務諸表の適正な判断を行うためのルールを示したものです。また、7つある一般原則には、正確な数値を記入するなどのルールがあります。法律的強制力はないものの、原則に従っていない場合は、処罰の対象となることが想定されるため、知らなければならない知識の1つになります。
また、損益計算書・貸借対照表にも原則が規定されており、実現ベースにするなど損益計算の基準も記載されている点は知っておきましょう。
③会計手続き
会計手続きは、公準・原則を参照したうえで具体的な会計処理の方法を示すものです。細かな計算方法はそれぞれ決まっています。そのうえで、勘定科目が適正かどうか、虚偽の申告や記載がないかといった観点もふまえて、適切な手続きを行うために必要なルールだといえます。
財務会計の業務内容
ここからは、財務会計の業務内容についてみていきましょう。会計処理の一部として、外部向けの情報提供を行うためにどういった作業が必要なのか知ることで、業務効率化を検討する場合にも役立ちます。
仕訳伝票の入力・作成
仕訳伝票の入力は毎日行う作業です。売上・仕入・入金・出金の伝票といった種類に分かれています。資産が動いたタイミングで、誰がいつどんな内容の取引をしたのかまで記載するため、請求書とは様式が大きく異なります。仕訳伝票の項目は、借方・貸方、取引日、金額などが記載され、作成者・承認者印も必要です。
そして、全取引を勘定科目ごとに分けて取引していく総勘定元帳に転記する仕組みとして伝票制があり、次のように分かれています。
・1伝票制・・・1種類の仕訳伝票に全てを記入する
・3伝票制・・・入金、出金、振替の3種類があり、総勘定元帳に転記する
・5伝票制・・・3伝票制に加え、仕入・売上の伝票がある。全て掛け取引(後払いで計算)となるため、相殺作業が発生する
どの方法を実施しているのかは企業によって異なるものの、手作業が多いほどミスが発生しやすい点は把握しておきましょう。
固定資産管理・減価償却
固定資産は土地・建物に分かれ、年数によって価値が変化するものは減価償却費を計算し、会計に計上する必要があります。減価償却費に関しては、定額・定率・生産高比例といった計算方法があるものの、耐用年数は法令で規定されているため、計算する前に確認することが大切です。
また、製造業などでは原価を割り出す必要があるため、製造途中の製品の数なども正確に把握しなければなりません。
決算書の作成
仕訳伝票や固定資産・原価なども含めた全取引データを集計し、財務諸表を作成します。年間で行うものと月ごとに行うものに分かれ、今後の企業の評価にもつながる業務です。 年間の決算書作成の流れは、記帳・試算表の作成・決済整理仕訳となっており、最終的に全ての数値の処理が確定したものが決算書となります。
財務会計業務の課題と効率化の方法
よくある財務会計の課題は次の項目です。
・紙の書類が多すぎる
・決算業務に比重が寄り過ぎている
・属人性が高く担当者が不在だと業務が進まない
この中でもとくに紙の書類に関しては、多くの企業が頭を抱えることが多いと想定されます。簡潔にいえば、様式も決まっており、承認のフローも決まっている場合、ツールや会計ソフトの導入によってスムーズな財務会計業務が可能になります。
また、財務会計はあくまでも経理業務の中のひとつであり、他にも管理会計・税務会計といった業務もこなしていかなければなりません。そのため、部署単位からでも業務効率化を図れるツールを導入し、経理業務をスムーズにしていくことが大切です。
業務改善によってどんなメリットがあるのか、詳しくはこちらの記事から。
まとめ
財務会計は、企業に関連する投資家や債権者などの外部の人々に向けた会計処理の方法を示すものです。財務会計によって、企業の決算書を外部の人々に公表することで、企業活動や将来性のアピールを行い、出資を期待できるようになります。
そして、財務会計に日々終われている場合は、業務改善を行い、他の会計業務にリソースを割く必要があります。単純に経理業務を楽にするだけでなく、企業全体として業務内容の見直しや継続性を再確認する機会になるためです。
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