領収書にハンコは必要か?必要事項や押印時の注意点を解説!

領収書にハンコは必要か?必要事項や押印時の注意点を解説!

公開日:2023/7/12

業務で経費を計上する際、可能な限り領収書やレシートの添付が欠かせないものです。領収書を受け取る場合や発行する場合、多くはハンコを押していると想定されます。場合によっては、領収書への押印を忘れてしまうケースもあるでしょう。

そこで、本記事では領収書にハンコは必要かどうかを解説します。領収書の必要事項や押印時の注意点についてもふれていきますので、領収書のハンコについて疑問や不安がある方は参考にしてみましょう。

領収書の判子は証明の意味しかない

結論から言うと、領収書への押印は必須事項ではありません。必要な記載事項・手続きにも含まれておらず、計算を行う場合はあってもなくてもいいという扱いです。そのため、ほとんどの場合は領収書にハンコがなくても税法上・経理上において大きな問題は生じないといえます。ただし、会社として判子の有無によって経費としてカウントしないケースも想定されるため、規定をよく確認しておくひつようがあります。

ここでは、税法・経理上の扱いについて詳しくみていきましょう。

税法上

税法上、領収書に必要な記載事項は次のとおりです。

・日付
・宛名
・金額
・但し書き
・収入印紙
・発行者

この中に、押印の条件はありません。そのため、税法上では、領収書へのハンコが必須事項とはみなされていないことがわかります。

経理上

2020年6月に政府は「見積書・請求書・領収書等については押印不要とする」方向性を示しました。デジタル化の推進の方向を推進しており、eメールでの書類提出も認めています。

そのため、領収書にハンコは必要ではありません。領収書は金銭のやり取りの日にちや使用用途、金額を明確にするための書類です。必要事項が記載されていれば押印はなくても構いません。

領収書とレシートの違い

ここからは、領収書とレシートの違いについてみていきましょう。記載内容、変更の可否、宛名の有無などが主な違いといえます。

どちらも判子はなくてもよい

領収書とレシートはどちらも判子がなくても有効性があるという点は共通しています。また、領収書の場合は正しい品名、宛名でなければ有効とならないケースもあるものの、レシートの場合は何を購入したのか明瞭であるため、購入の内容の証明には役立つでしょう。

二重発行はない

領収書とレシートは二重発行はありません。レシートの発行後に領収書を作成するという場合は、レシートは破棄される可能性が高いといえます。

その理由として、どちらも経費として認められる書類であることから、同時発行した場合、二重精算となる可能性が高まるだけでなく、発行側が罪に問われる可能性があるためです。

領収書の必要事項

領収書の必要事項について確認しておきましょう。領収書を発行する際も、受け取る際も、下記のことが全て記載されているか確認しなければなりません。

領収書にはタイトルが必要です。上部の左または中央に「領収書」と記載します。

日付

金銭の授受が実際に行われた日付の記載が必要です。領収書の右上に記載するものが多くみられます。

宛名

略称や通称ではなく、正式名称の記載が望ましいとされています。例えば(株)を用いず、株式会社と記載します。宛名のない領収書は無効とされるため注意しましょう。

宛名には「上様」と記載すればよいと聞いている人もいるでしょう。しかし、税務調査で認められない場合があるので注意が必要です。

金額

領収書には金額を記載します。改ざんを防ぐため、数字の記入方法にはルールがあり、下記のとおりです。

・数字の先頭に「¥」を記載
・数字の末尾に「―または※」を記載
・三桁ごとに「,」をつける

数字の先頭に「¥」ではなく「金」と記載することも可能です。その場合は、数字の末尾は「也」と書きます。

但し書き

商品やサービス内容をできるだけ具体的に記載します。「お品代」などの漠然としたものではなく、第三者が見ても内容のわかる商品名などが望ましいとされています。

ただし、品数が多く書ききれない場合などは、納品書やレシートの添付でも構いません。

収入印紙

領収書の金額が5万円以上であれば、収入印紙が必要です。印紙税額は金額により異なります。300万円までは次のとおりです。

・5万円未満:非課税
・5万円超100万円以下:200円
・100万円超200万円以下:400円
・200万円超300万円以下:600円

収入印紙には押印が必要です。詳しくは後述します。

発行者

領収書発行者の住所と名称を記入します。記載方法は、印刷・社判・手書きなどです。

それでも領収書にハンコを押した方が良い理由

領収書発行者の住所と名称を記入します。記載方法は、印刷・社判・手書きなどです。

それでも領収書にハンコを押した方が良い理由

領収書にハンコが必要ではない理由については先述しました。しかし、「可能な限りレシートではなく領収書を受け取る」というルールのある会社もあるでしょう。その場合、レシートと領収書の大きな違いの1つにハンコの有無がある、と考える傾向があります。

ここからは、領収書にハンコを押した方が良い理由についてみていきましょう。

偽造防止

一般的に領収書に押されている印鑑は、会社の角印です。これは、領収書の偽造防止を目的とされています。

第三者に領収書を偽造されると、会社の信用にかかわるため注意しましょう。自社の領収書が正式なものであることを証明するために押印します。

商習慣

商習慣として領収書にはハンコが押されています。そのため、押印のない領収書を見ると「失礼だ」「偽物ではないか」「マナー違反だ」などと感じる人は少なくありません。

取引先からそのように思われないためには、領収書にハンコをしておいた方が無難でしょう。

収入印紙の割印は必須

領収書そのものには押印は不要ですが、領収書に貼る収入印紙の割印は必ず押さなければなりません。

収入印紙を貼り忘れた場合や印紙への割印を失念していた場合、印紙税法により本来の税額の3倍に当たる税金を納めなければならなくなるため、注意しましょう。再利用防止のため、台紙と印紙の模様部分との間に押印または自署が欠かせません。

なお、印紙税法ではこの割印のことを「消印」といいます。

領収書押印時の注意点

領収書には押印は必須事項ではありません。ただし、偽造対策や商習慣に基づいて押し続ける企業は少なくありません。ここでは、領収書押印時の注意点について確認しておきましょう。

領収書に押印を忘れた場合

領収書に押印を忘れても、特に問題はありません。その領収書は有効です。ただし、気になるようである場合や先方からの要請があれば、領収書を回収し印鑑を押しましょう。

一方、収入印紙への押印忘れは印紙税法上問題が生じペナルティが発生するため、必ず回収して押印しなければなりません。

押印でなく印影の印刷で代用できる?

会社用の領収書などに事前に印影を印刷しておくことは問題ありません。印影を印刷している領収書は、偽造防止に効果を発揮します。毎回領収書に押印するのは手間がかかります。印鑑を押し損じて発行しなおすこともあるでしょう。

現場の手間を省いたうえで、偽造防止にもつながるため、印影の印刷を検討してみましょう。

印影を作成する専用サイトを利用する、もしくは実際の押印をスキャナで取り込みデータ化するなどの方法があります。電子印鑑は、紙の領収書だけでなくデータとして作成した領収書にも押印できる点もメリットです。

レシートは領収書代わりに使える?

レシートは領収書代わりに利用できます。レシートは、領収書と比較して、実際に購入したものの明細が全て把握できるため、領収書以上に信頼性が高まります。

レシートには印鑑はありませんが、印鑑は元々領収書の必須事項ではないため問題ありません。

ただし、会社によっては経費精算の時などに、レシートではなく領収書の提出を必須としているところもあります。それが会社のルールであれば、従いましょう。

電子化された領収書の場合は?

電子帳簿保存法では、2024年1月より電子取引で電子化された領収書を受領した場合、データのまま保存することが義務付けられる予定です。電子化データの領収書に、ハンコを押すことはできません。

領収書への押印は必須ではありません。そのため、電子データの領収書に押印は不要です。どうしても押印したい場合は、電子印鑑を利用しましょう。

電子化した領収書の保存期間は?

電子帳簿保存法を適用すると、紙の領収書をスキャナなどで電子化して保存することが可能となります。タイムスタンプを利用して領収書を電子化した場合、原本の保存期間は最長1年です。そのため、これまでのように紙ベースで長期間領収書を保存しなくて良くなる点がメリットです。なお、領収書の電子データの保存期間は、これまでと同様7年です。

また、2022年の改正により、電子データの訂正や削除の際に履歴の残るクラウドシステムを利用する場合は、タイムスタンプが不要となります。ただし、あらかじめ決められた入力期間内に、クラウドシステム内にデータを保存しなければなりません。

領収書が無い場合の対処法

領収書は税法上、7年間の保管義務が定められています。必要な領収書が手元にない場合、どうしたらよいのでしょうか。そのような場合の対処方法についてみていきましょう。

再発行

領収書を紛失した場合、発行元に再発行を依頼してみてもよいでしょう。場合によっては再発行してもらえます。

ただし、領収書を再発行してしまうと、二重発行した領収書を不正使用されるリスクが発生します。そのため、領収書の再発行を断っている企業は少なくありません。

再発行を拒否された場合は、購入証明書や支払い証明書など、代用できる書類が発行できるかどうか相談してもよいでしょう。なお、レシートは領収書と同等の効果を発揮します。

出金伝票

領収書を紛失した場合、出金伝票に記録しましょう。支払先や日付、領収書の但し書きと同等の内容や金額を記載すると領収書の代用として利用できます。

ただし、出金伝票は自社で自由に発行できるため書類としての信用度は領収書より劣ります。できるだけ領収書を手元に残しておくようにしましょう。

なお、慶弔見舞金や自販機での飲料購入、電車代の支払いなど一般的に領収書が発行されない場合の支払いに関してはこの限りではありません。出金伝票に必要事項を記載したうえ、可能な限りの必要書類を一緒に保管すると出金伝票の信頼性が高まります。

具体的な必要事項は次のとおりです。
・慶弔見舞金:会葬御礼のはがきなど
・会議のために自販機の飲料を購入した場合:会議の日時、参加人数などの記録
・電車代の支払い:電車乗車の日時や行先、使用理由などの記録

領収書管理を楽にする方法

領収書の管理には手間やコストがかかります。少しでも楽にしたいと考えている経理担当者は少なくありません。ここでは、領収書管理を楽にする方法についてみていきましょう。

電子保存

領収書を電子データで保存すると、管理が容易になります。これまで、過去の領収書を探す場合、紙をめくって探すしかなく確認に時間がかかっていました。場合によっては、たった一枚の領収書を探すために、何冊にもわたる領収書の束をめくり続けなければなりません。

また、毎日多くの領収書を台紙にのり付けするのにも手間がかかります。

領収書を電子データで保存すると。のり付けなどの作業から解放されるだけでなく、過去のデータを探すのもワンクリックとなるため、領収書管理が楽になり業務効率が向上します。

電子帳簿保存法に関する記事はこちらからどうぞ。

経費精算システムの利用

経費精算システムの中には、領収書やレシートをスマホで撮影するだけで保管してくれるタイプもあります。撮影した領収書には自動でタイムスタンプが付与されるため、業務効率の向上が期待できます。領収書の電子化といってもどのようにすればよいかよくわからない場合、このような機能のある経費精算システムの導入を検討してみましょう。

経費精算システムに関する記事はこちらからどうぞ。

会計ソフトの利用

電子帳簿保存法に対応している会計ソフトを利用すると、簡単に領収書をデータで保存できます。会計ソフトを導入する利点は、領収書だけでなく、それ以外の帳簿や請求書などのデータ保存も可能となる点です。

経理業務は多くの紙で情報を管理している場合が少なくありません。経理業務に付随したさまざまな書類のデータ保存を希望する場合は、そのような会計ソフトの導入を検討してみましょう。

経理業務電子化に関する記事はこちらからどうぞ。

まとめ

領収書に対するハンコの押印は必須要件ではありません。そのため、押印がなくとも税法上・経理上の問題は生じません。しかし、偽造防止の目的で押印する場合があります。さらに、これまでの商習慣があるため、領収書にハンコを押し続ける企業は今後も存在すると考えられます。

毎回領収書発行のたびに押印するのが大変だという場合は、電子印鑑の利用を検討してみましょう。

NTTコミュニケーションズが提供するSmartGo®Stapleを導入すると領収書の管理が楽になり、業務の効率化につながります。とくに、交通費が発生するようなケースでは、移動の際に領収書をもらうことが難しいことも少なくありません。そういった場合もオンライン上で履歴を確認できるため、領収書の処理が手間に感じる場合はSmartGo®Stapleの利用を検討してみましょう。

領収書に関する記事はこちらからどうぞ。

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