ランニングコストとは?ビジネスでの使い方をわかりやすく解説
更新日:2023/09/06
ビジネスでは、経営面に携わっている場合、コストを意識する必要があります。特に「イニシャルコスト」「ランニングコスト」という言葉を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
しかし、それぞれの違いや使い分けについて知らないケースもあるでしょう。
本記事では、ランニングコストに焦点を当て、経費との違いやコスト削減方法、損益分岐点についてもなどについて詳しくみていきます。
ランニングコストとは
ランニングコストとは、継続して支払うコストを指します。電話代や家賃などのように、毎月定期的に支払うお金をイメージするとわかりやすいでしょう。
コストの意味は、直訳すると費用となります。時間、人の手間、お金など何かを実行するときにかかるものは全てコストと表すことが可能です。消費されるものが物質的なものではなく、メンタルなどの目にみえないモノも含む点は知っておきましょう。
ここからは、イニシャルコストや経費との違いについてみていきます。
ランニングコスト
ランニングコストとは、運転費用や維持費用を意味します。何かを継続するために、定期的な支払いが必要となる費用です。
金額の大小は問いません。売上の有無にかかわらず、業務を継続する以上必ず支払い続けなければならないコストです。ランニングコストには、家賃のように固定料金のものと通信費や水道光熱費のように使用量に応じて増減するものは変動費に分類されるものがあります。
イニシャルコストとの違い
イニシャルコストは「初期費用」を指します。開発費や導入費なども含みます。初回に一度のみ支払うコストです。
例えば、クラウド型の経費精算システムを導入する場合、導入時にかかる費用が「イニシャルコスト」です。その後の月々の支払いを「ランニングコスト」と言います。
経費との違い
ランニングコストの中には仕入に関わる費用が含まれます。一方、経費のなかに仕入の費用を計上することはできません。
仕入とは売上に直結する費用です。自社製品を製造している場合は原材料費などです。仕入販売している場合は、商品の購入代、輸送費、送料等が仕入となります。
ランニングコストの例
ランニングコストは継続して支払う費用です。ここでは、具体的なランニングコストの例をみていきましょう。
仕入原価
仕入原価は、製品を販売するために、原材料や商品などを他社から購入した金額です。
仕入販売している場合は、卸売業者などから購入した商品代が仕入原価となります。飲食店であれば、料理を作るための材料全般の購入が仕入原価にあたります。
人件費
人件費とは、毎月支払う給与や各種手当、年に数回定期的に支払う賞与、福利厚生費や通勤定期券代、社宅費用などです。
福利厚生費に関する記事はこちらからどうぞ。
家賃など
事務所、倉庫、オフィスなどの家賃を毎月定額支払っている場合、ランニングコストとなります。月々定額の駐車場代や土地の賃料を支払っている場合はそれらも該当します。
光熱費
水道代や電気代など、毎月の支払いがある光熱費はランニングコストです。季節や時期により金額の上下はあり、変動費となることの多い項目です。
広告費
Web広告代やテレビCM料、新聞広告掲載料など定期的に広告を掲載し続けている広告費を指します。
スポット的な広告に関する料金は、ランニングコストに含まれません。
消耗品費
消耗するものを購入するための費用を消耗品費と言います。10万円未満、または使用可能期間が1年未満のものが対象です。
消耗品は多岐にわたります。例えば次のようなものがあります。
・事務用品:コピー用紙、文房具など
・作業用消耗品:軍手、ドライバーなど
プリンターやコピー機のインク代や点検代、文房具代など、定期的に出ていく消耗品費はランニングコストです。
損益分岐点との関係
全ての費用を収益でカバーでき、損益が「0」となる売上高の数値が損益分岐点です。
営業利益と売上高との関係は次のようになります。
・営業利益=売上高ー費用
費用の中には固定費と変動費が含まれます。固定費は売上高にかかわらず、一定のラインで発生するものです。一方、変動費は売上が増えるにつれて上昇していきます。
例えば、売上を増やすためには仕入を増やさなければなりません。仕入にかかわる輸送費や外注費なども変動費で、売上の上昇とともにこれらの費用も上昇します。
一方、地代家賃や人件費は毎月固定の支払いが必要です。売上が上昇しても、これらの支払額に変化は生じません。
損益分岐点売上高の計算方法は次のとおりです。
・損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
限界利益とは、売上高から変動費を差し引いたもので、式で表すと次のとおりです。
・限界利益率=(売上高ー変動費)÷売上高
損益分岐点比率の下げ方
損益分岐点比率を見ると、売上低下による赤字の影響がどの程度かわかります。損益分岐点比率の計算方法は次のとおりです。
・損益分岐点比率=損益分岐点売上高÷実際売上高×100
この比率により企業の持つ体力がわかります。業種や業態などにより異なりますが、一般的に80%以下であれば優良企業と判断できます。
一方、100%を超えていた場合は赤字企業です。そのため、ランニングコストの予算を組む前に、損益分岐点比率を下げるよう検討しなければなりません。
損益分岐点比率の下げ方は次の3つです。
・売上高を上げる
・変動費を下げる
・固定費を下げる
変動費・固定費の削減が損益分岐点比率の低下に直結します。特に、売上高が予想ほど上がらない場合は比率を下げるために、月々支払いが必要となるランニングコストをいかに下げるかを常に検討しておかなければなりません。
ランニングコストの削減方法
企業で利益を出すためには、ランニングコストの削減が欠かせません。ここからは、コスト削減方法について、特に取り組みやすいものを3つみていきます。
オフィスコスト
オフィスを使用する際に必要となるコストです。例えば次のようなものが該当します。
・家賃
・PCやコピー機などのリース料
・デスク・オフィス家具
・事務用品費
・ソフトウェア代
家賃はオフィスコストのうちの多くを占める場合が少なくありません。特に都会であれば、家賃が高くつくことも多いでしょう。オフィスの移転、家賃交渉などで家賃の削減を検討します。
事務用品にかかる1つ1つの費用は安価なため、つい使いすぎてしまうことのある項目の1つです。事務用品費を下げるには、使用頻度の高いものをまとめ買いし単価を下げる、事務用品の無駄遣いをやめる、などの工夫が必要です。
オペレーションコスト
物流費や人件費などの費用です。人件費が経費の中の多くを占めている会社は、少なくありません。
オペレーションコストを下げるためだけの安易なリストラはおすすめできません。社員のモチベーションが低下し、商品やサービス低下に直結するためです。結果的に売上高の減少につながりかねないので注意しましょう。
オペレーションコストを下げるためには、まず、現状業務の洗い出しが欠かせません。業務フローを見直し、無駄な工程がないか確認します。
業務改善のためのシステム導入を検討してもよいでしょう。システム導入のためのイニシャルコストはかかりますが、月々のランニングコスト低下が期待できます。
業務効率化に関する記事はこちらからどうぞ。
エネルギーコスト
水道光熱費やガソリン代などの費用です。オフィスや工場など、業務遂行に必要なコストを指します。
エネルギーコストの節約方法は、電気会社・携帯電話会社の乗り換えといった大きなものから、電源のこまめなオフ、省電力モードの利用、冷暖房機器の温度設定の変更などの小さなものまでさまざまです。
電源のこまめなオフ、冷暖房機器の温度設定による節約などを行う際は、現場の社員の協力が欠かせません。必要に応じて社員への周知徹底を幾度も行い、現場に浸透させましょう。
ただし、その場合でも作業効率低下や従業員のモチベーション低下にかかわるような節約方法はなるべく避けるよう注意が必要です。コスト削減だけにこだわりすぎた結果、商品やサービスの低下が起きないよう気を配らなければなりません。
従業員のパフォーマンス向上に関する記事はこちらからどうぞ。
ランニングコスト管理を楽にする方法
ランニングコストには多くのものがあります。全てを管理しようと思っても、つい見落としてしまうことも少なくありません。ここでは、ランニングコスト管理を楽にする方法についてみていきましょう。
経費精算システムの利用
従来の経費精算業務は煩雑で、多くの時間を要します。担当者が金額を書き間違えて、差し戻しとなる場合も少なくありません。
経費精算システムを利用すると、担当者が領収書やレシートを写真で撮影するだけで、経理部は簡単に担当者が出費した金額の把握が可能です。法人カードなどを持たせキャッシュレス化と組み合わせると、さらに作業効率は向上します。
経費精算業務にかかる時間が短くなると、それだけ早く正確にリアルタイムに近いランニングコストが把握できるため、予算を立てる上での利便性が向上します。
会計ソフトの利用
会計ソフトを利用すると、経理部の作業効率が向上します。会計管理に関する情報が一元化で管理できるため、必要な情報を簡単に取り出せるようになります。
損益分岐点比率の計算結果をグラフ表示するタイプの会計ソフトもあるため、必要に応じてそのようなソフトの導入を検討してみてもよいでしょう。
まとめ
ランニングコストとは事業継続のために毎月支払う費用です。イニシャルコストは、サービスなどの導入時に一度だけ支払うコストを指します。
ランニングコストがかさむと月々の経営を圧迫する場合があるため注意が必要です。定期的に損益分岐点比率を計算し、自社の支払えるランニングコストについて把握するとよいでしょう。
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経費精算のキャッシュレス化に関する記事はこちらからどうぞ。
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