DX推進ガイドラインとは?メリットやポイント、おすすめのツールを解説
公開日:2022/09/14
DX推進を推し進めるにあたり、どのようにしたらいいのかわからないと頭を悩ませる担当者は少なくありません。そのようなときに参考になるのが、経済産業省が日本の民間企業DX化にあたり発表した「DX推進ガイドライン」です。
本記事ではDX推進ガイドラインについてわかりやすく解説します。DX推進によるメリットや推進時のポイント、おすすめのツールについても解説しますので、参考にしてください。
目次
DX推進ガイドラインとは
DX推進ガイドラインとは、経済産業省が民間企業のDX化の推進に向けて作成したガイドラインです。
このガイドラインは、DXを実現するための具体的な行動やアプローチ、認識などの共有を目的に策定されています。
ここからは、ガイドラインの概要と作成された背景についてみていきましょう。
DX推進ガイドラインの概要
DX推進ガイドラインを構成している大きなテーマは次の二つです。
・DX促進のための経営のあり方、仕組み
・DX を実現する上で基盤となる IT システムの構築
DX推進を行うためには、経営戦略やビジョンを提示しなければなりません。具体的な方向を経営陣が示さないと、社員は何を目的にDX化を進めていけば良いのかわからず迷走するためです。DX推進のためには、事業分野や手段、具体的な経営戦略などが欠かせません。
加えて、新しいことを進めるにあたり、会社の体制整備が必要です。
なお、DX化の目的として一番大きなものは、スピーディーな変化に対する対応力です。経営陣はそれを見据えたうえで、自社のDX化の方向性を決定しなければなりません。
DX化の推進にあたり、ITシステムの構築は欠かせません。新たなシステム構築のためには、社内の体制の整備が必要です。
部署や事業所ごとにITシステムを構築すると、社内全体のシステム連携が複雑になる場合があります。このような事態を避けるためにも、ベンダー企業に丸投げせず、社内に専用の事業部門を立ち上げ、会社としての事業計画を作成しましょう。
具体的な実行プロセスとして、IT試算の分析や評価、IT資産の仕訳やプランニングを行います。また、システムを導入しただけではDX化が進んだとは言えません。組織の仕組みやビジネスモデルのアップデートも必要です。
DX推進の背景
今後、世界で生き残れるようなビジネスを展開するためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が欠かせません。
しかしながら、多くの企業においてはDXに向けてある程度の投資を行っているものの、ビジネス変革にまではつながっていないことが懸念されています。
DX推進にはITシステムの導入が欠かせませんが、それにより保守コストの高騰やセキュリティ上のリスクの高まりなどが考えられます。さらに、いまだにITシステムを導入していない企業も少なくありません。
このような各企業が抱えるDXに関する多くの問題を解決に導くためのガイドラインが必要であると考え、経済産業省が策定しました。
なお、DXレポートがまとめられたのは2018年です。このとき、「2025年の壁」という言葉が取り上げられました。これは、日本企業がDX推進できなかった場合、2025年以降毎年最大年間12兆円の経済的な損失が生じると試算されたためです。
12兆円もの経済的な損失が生じるのは、DXが進まない場合、「レガシーシステムが残り続けるため」です。レガシーシステムとは、DX推進前に利用している既存システムを指します。
レガシーシステムを使用し続けると、2025年以降、データ損失やシステム障害が生じるリスクがあります。この損失や障害がもたらす損失額を12兆円と試算しているのです。
DX推進の理由の一つに、この損失を避けることが挙げられます。
DXとは
DXの定義やIT化との違いについてよくわからないという人も少なくありません。ここでは、DXの定義やIT化との違いについてみていきましょう。
DXの定義
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、日本語に訳すと「デジタルによる変容」となります。
デジタル技術の使用により、ビジネスやライフスタイルが変化することがDXです。
DXの大きなポイントは、今までの業務内容に漠然とデジタル技術を導入するだけでなく、「デジタル技術の導入により、これまでのビジネスモデルや会社の風土企業文化などを変革すること」が求められている点にあるといえるでしょう。
なお、DX推進ガイドラインにはDXの目的として、「競争上の優位性を確立すること」とされています。DX推進する際は、この目的に沿って展開しましょう。
IT化とDXの違い
一般的に「IT化」というのは、ITツールを導入・使用することを指します。多くの企業では、インターネット、Eメール、表計算ツール、文章作成ツール、RPA、AIなどさまざまなデジタル技術を利用しています。
一方、DXが求めるのはこのデジタル技術の導入だけではありません。製品・サービス・ビジネスモデル・企業風土などの変革を目的としたうえで、デジタル技術を導入します。
IT化とDXの違いに関する記事はこちらからどうぞ。
DX推進のメリット
DXを推し進めるとどのように変化するのでしょうか。推進前にメリットを把握しておきたい人は少なくありません。ここでは、DX推進によるメリットを3つ、みていきましょう。
情報の一元化
DXを推進するために、ITツールを導入します。ITツールを利用し、さまざまな情報をデジタル化すると、情報を一元化で管理可能です。
情報を一元化すると、探しやすいのですぐに必要な情報にたどりつけます。これまで、必要な情報を探すために時間をかけていた場合、手間やコストの削減につながるでしょう。
また、膨大な情報を一元化するとデータ管理が容易くなります。これまで部署ごとに管理していた情報の一元化により、新たな発見が期待できます。集めたデータをグラフなどで可視化し社内共有すると、現状把握だけでなく新たな戦略を練るために活用できるでしょう。
業務効率化アップ
DX推進により、正確性やスピードがあがり、業務効率化アップにつながります。デジタル化により、これまでの作業時間が大幅に短縮できるうえ、ヒューマンエラー防止につながるためです。
ヒューマンエラーがなくなると、ダブルチェックが不要となるため人件費削減につながる場合もあるでしょう。
また、業務効率化により現場スタッフに余裕ができることも少なくありません。これらの余裕を活用すると、現場の社員にこれまでの「作業中心」から「戦略中心」の仕事を割り当てることが可能になります。
競争力強化
IT化の導入により、ヒューマンエラーの削減による正確性の向上やスピードアップで、顧客からの評判が上昇し、顧客維持率があがります。さらに、これまでの仕組みを大きく変えることで、コスト削減につながる企業も少なくないでしょう。
例えば、これまでは部署ごとにIT化していたため、全社的にデータを活かせずにいた企業がDX推進により改めて全社的なシステムを構築することにより、これまで利用していた中途半端なデジタル化に支払っていたコストの削減につながります。
売上アップやコスト削減の結果、会社の利益は向上し、競争力強化につながることが期待できます。
DX成功事例に関する記事についてはこちらからどうぞ。
DX推進時のポイント
DX推進とは、「これまでアナログだった箇所を次々とデジタル化していけばいい」というわけではありません。「競争上の優位性を確立」するという目的に向け、計画的に推進する必要があります。
そのためのポイントについてみていきましょう。
経営陣の意識改革
DX推進を行うにあたり、まずは経営陣の意識改革が欠かせません。DXはやみくもにデジタル化を推し進めることとは異なります。そのため、経営陣が「業務を変革する」という意識を持ち、経営戦略を明確にする必要があります。
DXは全社的に取り組まなければならないため、部署ごとではなく経営陣からの改革提案が欠かせません。
なお、戦略業務の明確化のためには、ITツールに関する知識が必要です。どのようなITツールがあり、何が実現できるのか把握したうえで、経営戦略を練りましょう。
現場の意識改革
DX推進のためには経営陣だけでなく、現場の主体的な動きも必要です。目標や目的を示すのが経営陣でも、実際に動くのは現場の社員です。
また、実際にDXにより業務の方法が変わり戸惑うことが多いのも現場の社員でしょう。どのように推し進めるべきか検討し、現在の業務の課題点などを洗い出し、提案や実作業がスムーズにこなせるようになるためには、現場社員の意識改革や目標・目的の共有が欠かせません。
さらに、現場の社員がスムーズに動き、思ったことを言えるように風通しの良い環境を作っておくことも大切です。
具体的な目標を示す
経営戦略を明確化した後は、社内に浸透させるために、具体的な目標を示しましょう。現場の社員は、抽象的な目標より具体的な目標の方が実践しやすいためです。
また、具体的な目標であれば効果測定を容易に行えます。そのためには、数値を設定できる目標を作成しましょう。
DX人材の確保
DXに関する業務を社外に一任すると、全社的な取り組みが上手くいかないことがあるため注意が必要です。
社外に一任する前に、社内にDXの知識を持つ人材を確保しましょう。DXの知識がないと目標達成に向けどのようなアクションを起こせばよいのかわからないため、方針や方向性、具体的な目標を立てるのが困難だからです。社内での人材確保や育成が困難な場合は、外部採用を検討してもよいでしょう。
社内DXの必要性に関する記事はこちらからどうぞ。
DXにおすすめのツール
DX推進にはITツールの導入が欠かせません。ITツールには多くの種類があるため何を導入すればよいか迷うこともあるでしょう。ここでは、おすすめのツールを3つ解説します。
コミュニケーションツール
チャットツールを利用すると、メンバーは集まることなくオンラインで打ち合わせや話し合いを行えます。タスク管理や資料の共有も簡単に行えるため、オンライン環境下であっても高い生産性が確保できます。
オンライン会議用のツールもコミュニケーションツールの1つです。遠方に住む人同士であっても、移動時間不要で顔を合わせながら会議を行えます。
RPAツール
RPAツールとは、人がパソコンを利用して行う単純作業や定型作業の自動化ができるツールです。
RPAを利用すると、ヒューマンエラーがなくなるのが利点です。さらに、人が行うのと比べて短時間で多くの作業を行えるため、大幅な工程削減が見込めます。スタッフの負荷軽減が可能となるだけでなく、確保できた人材リソースをより生産的な業務に利用することで生産性向上が期待できます。
経費精算システム
経理業務の中で、従来の経費精算は、稟議書の提出や現金の授受など、多くの時間や工程がかかっていました。
経費精算システムを導入すれば、それらの手間や人的コストが大幅にカットできます。経理業務のデジタル化を進めると、これまで単純作業や定型作業にのみ追われていた経理部員の手が空くため、DX推進業務を担当することも可能になるでしょう。
まとめ
社内のDX推進を行うにあたり、経済産業省の「DX推進ガイドライン」は参考になります。ただのデジタル化と異なり、全社的な取り組みや明確な目標設定などを行わなければなりません。
DXを推し進めず、レガシーシステムを利用し続けていると2025年を境にデータ損失やシステム障害に見舞われ多くの損失が出る可能性があるため注意が必要です。
DXは従来のビジネスモデルに変革を求められるため、なかなか簡単に取り組めるものではありません。経営陣や現場社員の意識改革、DX人材の確保などできるところから一つずつ取り組んでみましょう。
NTTコミュニケーションズが提供するSmartGo™ Stapleを導入すると、経費精算業務の効率化が見込めます。DX推進やIT化にあたり、何から取り組めばよいかわからない場合、まずはSmartGo™ Stapleの利用を検討してみましょう。
経費精算でキャッシュレス化を進める理由に関する記事はこちらからどうぞ。
経費精算でお悩みの方へ
こんなお悩みございませんか?
- 経費や交通費の立替が多く、経費精算に稼働がかかる
- 立替の事務手続きが多い
- 出社せずに経費精算を完結させたい
- 定期代支給を廃止し、都度精算にしたい
そのお悩み、ビジネスd経費精算ですべて解決できます!