DX戦略とは何か。戦略の立て方や推進のポイントを解説
公開日:2022/09/14
ビジネスにおいて、DX戦略という言葉を聞く機会が少しずつ増えてきた人も多いでしょう。DXという言葉のニュアンスから、「デジタル化を推し進めればよいのか」と考えている人もいるかもしれません。
しかし、DXとは社内のデジタル化を漫然と進めていくこととは少し異なるため注意が必要です。
本記事ではDX戦略の立て方や推進のポイントについて解説します。
目次
DX戦略とは
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略です。一般的に、DXとは、IT技術の浸透により人々の生活を良い状況へと変化させるという意味を持ちます。
ビジネスにおけるDX推進の目的は、「IT技術を導入しビジネスモデルや社風を変革し、市場での優位性を確立する」ことです。
DX戦略の必要性と強く推進されている理由についてみていきましょう。
DX戦略の必要性
経済産業省のDXレポートでは、DX戦略を進めずにこのまま既存のシステムを使い続けた場合、「2025年の壁」に直面すると書かれています。
これは、多くの日本企業のDXが進まず既存システム(レガシーシステム)を使い続けた場合「2025年以降、最大毎年年12兆円の経済損失が発生する可能性」を指す言葉です。
既存のシステムが複雑化・老朽化しており、このままではIT人材の引退やサポート終了によるデータ損失やシステム障害のリスクが危惧されています。
これらの損失を生まないためには、DX戦略が欠かせません。
DX推進の理由
会社としてDX推進を進めるべき理由として、次の2つが挙げられます。
・経営のあり方や仕組みを見直す
・DX実現のためのITシステムの構築
経済産業省が作成したDX推進ガイドラインも、この2つの内容で構成されています。
例えば、デジタル化を推し進めている場合でも部署ごとに展開してきた場合、それぞれのシステムが連携できないため、データを活用できず、結果的に多くの手間暇が必要となっている企業は少なくありません。
このような無駄をなくすためには、会社として広い視野でデジタル化を推し進めなければなりません。また、DX推進の最終目的は「市場での優位性の確立」です。競争力を強めるためのIT化が求められています。そのためには既存の経営のあり方や仕組みなどを根本的に見直さなければなりません。
また、場当たり的にIT化を進めていくわけではなく、会社としての方向性を見据えたうえで計画的にITシステムを構築することが求められています。
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DX戦略の立て方
DXを進めるにあたり、どう戦略を立てればよいかは頭を悩ませる点の1つです。ここでは、成功を導くためのDX戦略の立て方についてみていきましょう。
課題の洗い出しとDX推進度の把握
DX戦略を立てるためには、ゴール設定が欠かせません。ゴールを決めておかないと、必要な道筋が見えてこないためです。
正しいゴールを見据えるために、まず現状把握を行いましょう。各部門や部署ごとの業務内容や課題、改善の余地はどこにあるのか、社内で精査を進めます。
現状把握のためには、現場の声を反映させる必要があります。経営陣だけで決めるのではなく、アンケートを取る、現場で聞き込みを行うなどを行い、現状把握を行いましょう。
同時に、自社のDX推進度についても把握しなければなりません。
経産省により6段階のDX推進指標が用意されています。自社のレベルを把握しておきましょう。
・レベル0:未着手
・レベル1:一部での散発的実施
・レベル2:一部での戦略的実施
・レベル3:前者戦略に基づく部門横断的推進
・レベル4:前者戦略に基づく地蔵的実施
・レベル5:グローバル市場におけるデジタル企業
経費精算の課題とDXによる解決方法に関する記事はこちらからどうぞ。
目標の設定
現状把握ができたら、それを元に必要な目標を設定します。目標はなるべく具体的な数値にしましょう。社員へ浸透させやすく、達成度合いを図ることが可能となるためです。
全ての目標を数量把握が曖昧なスローガンのようなものにすると、どのように取り組めばよいか社員の理解が深まらないため注意しましょう。
また、現状把握したときに多くの問題が見えてくる場合があります。しかし、確実にも屈表達成するためには、目標の数はある程度数を絞らなければなりません。優先度の高い課題を見極め、取り組む順番を定めましょう。
DX推進指標に基づき自社のレベルを把握したら、次のレベルに進めるような取り組みを進めます。
目標達成のための手段を探す
目標を定めたらどのようにそれに向かって進むのか、手段を探していきましょう。DXには多くのアプローチ方法が存在します。
自社にDXの専門家がおらず、どのようなソリューションがあるのかわからない場合は外部の専門家に相談してもよいでしょう。しかし、その時に場当たり的に取り組んではいけません。
会社としてのITシステムを構築しなければ、部門ごとに別々のシステムを導入しうまく連携できないといった問題が発生する可能性があります。最終的なITシステムの姿を描き、そこに向かうよう全社的に進めていきましょう。
DX戦略推進のメリット
DX戦略を進めるのは簡単ではありません。目標設定や経営陣・社員の意識改革、DXに詳しい社員の雇用や教育、IT導入など多くの手間やコストがかかります。途中で挫折しないためにも、DX戦略推進のメリットを把握しておきましょう。
生産性向上
デジタル化の導入により、これまで生じていた人的ミスの防止につながります。さらに、単純作業をPCに任せることで、大幅なスピードアップが見込めます。ヒューマンエラー防止とスピードアップにより、生産性の向上が期待できる点がメリットです。
どこからDXを進めていったらよいかわからない場合は、自社の中でDX推進により生産性が大幅に向上する箇所を見極め、そこから始めていくのもよいでしょう。
市場への柔軟な対応
スマホの活用により、市場ではすごいスピードでデジタル化が進んでいます。今では、身の回りの買い物を全てインターネットで済ませるという人も少なくありません。
DXを進めないでいると、このような市場の変化に対応できません。実際、ネット予約の流れが主流になってくると、「電話で予約を取るのは大変だ」という感想をあげる消費者も増えてきます。
企業としてデジタル化を導入しなければ、このような市場の急速な変化に対応できません。AmazonやUberといった新興企業の参入により、ビジネスモデルそのものの変革が必要だと感じている業界も多いでしょう。そのような変革に挑むためにも、DXは不可欠です。
従業員満足度の向上
これまで手間やコストをかけて手作業で行っていた業務が、デジタル化により楽になることは珍しくありません。
営業プロセスの把握、経理業務の自動化、お客様問い合わせの方法変更、Web会議の実施など、多方面にわたりその効果を発揮します。
ツール導入により、それまでの社員の負担が軽減され従業員満足度の向上につながります。
DX推進時のポイント
DX推進は、全社的に取り組まなければなりません。推進方法を失敗すると、上手くいかない場合があるため注意が必要です。ここでは、推進時のポイントを3つみていきましょう。
経営層を含め全社で取り組む
DX推進には、経営層・社員、双方の意識改革や理解が欠かせません。
経営陣はDXによりビジネスモデルや会社の風土などを変革するという意識改革が必要です。経営陣が戦略業務を明確にし、現場の社員に浸透させます。
現場の社員も戦略業務を理解し、大幅な変革に挑むという覚悟や取り組みが必要です。これまでのように、部署ごと・部門ごとの取り組みでは全社あげての変革が困難となる場合があります。部門ごとにデジタル化を進めると、最終的に各システムの連携がうまくいかず、折角のデータが生かせなくなる可能性があるため注意しましょう。
このような問題を発生させないためにも、DX推進には全社あげての取り組みが欠かせません。
段階的に導入する
一気にDXを推進するのは困難です。現場の社員もやり方が変わるため、抵抗や反発を覚えることがあるため導入は計画的に行いましょう。
目標設定し優先度をつけ、必要な箇所から段階的に導入していきましょう。DXの成功例が目に見えると、他の部署や社員も取り組みやすくなります。
ただし、必要なシステム同士の連携は欠かせません。あくまでも、最終的な姿を見極めたうえで、それに沿いながら段階的に導入していきましょう。
長期的に取り組む
DXは結果が出るまで時間とコストがかかるのが難点です。成果が出るまでには、概ね3~5年かかるとも言われています。
変革に取り組むとすぐに成果を求める人が少なくありません。しかし、時間がかかるものだと理解して、長期的に取り組みましょう。
DXで業務改善する手順に関する記事はこちらからどうぞ。
DX推進におすすめのツールの選び方
DX推進時にはさまざまなデジタルツールを導入することとなります。ここでは、ツールの選び方について解説します。
自社の課題解決につながるか
DX推進を進めるには、まず自社の課題を明確にしておかなければなりません。
デジタル化の効果を最大限に発揮するためにも、自社の課題解決に見合ったツールを選択しましょう。
自社に合っているか
デジタルツールを利用するのは、現場の社員です。社員にそのツールが使いこなせるのか、教育体制が整えられるかを事前に見極めなければなりません。
例えば、操作方法が複雑すぎるツールは全担当者が使いこなすまでに時間がかかる場合があります。また、既存のシステムと連携できるものを選択しなければ、デジタル化による自動化が思ったほど進まないことがあるため注意が必要です。
導入の際は、ツールの機能性や操作性を把握し、自社に合ったものを選択しましょう。
業務の自動化につながるか
単純作業や定型作業のデータ処理は、デジタル化に適しています。このように、人の手間をかけずに自動化できる業務があれば、積極的にデジタル化に取り組んでも良いでしょう。
デジタル化により空いた人手は、単純作業ではなく「人が頭を使わないとできない仕事」に時間や手間を避けられるようになるため、業務全体の効率アップにつながります。
まとめ
市場の早い流れに柔軟に対応し、勝ち抜く競争力をつけ、「2025年の壁」に阻まれないようにするには、DX推進が欠かせません。
DX推進には時間やコストがかかります。自社の現状を把握したうえで、課題を導き出しDX推進に挑みましょう。そのためには、経営陣を含めた全社員の意識改革や具体的な数値目標の設定などが必要となります。
DXのためのツールにはさまざまなものがあります。自社の課題解決につながるか十分吟味したうえで、自社に合ったものを選択するとよいでしょう。
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DXの進め方に関する記事はこちらからどうぞ。
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