リスキリングとは。経理部門におけるリスキリングの成功ポイントや導入手順を解説。

リスキリングとは。経理部門におけるリスキリングの成功ポイントや導入手順を解説。

公開日:2022/09/14

近年、リスキリングに取り組む企業が増えています。しかし、リスキリングという言葉自体は聞いたことがあるものの、どのように取り組めばよいのかわからないという声も少なくありません。

本記事では、経理部門におけるリスキリングを成功させるためのポイントや導入手順を解説します。また、リスキリングによって解決できる経費精算の課題にもふれていくため、参考にしてみてください。

リスキリングとは

経済産業省は、リスキリングを次のように定義しています。

『新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること』

引用:リスキリングとはーDX時代の人材戦略と世界の潮流ー(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/002_02_02.pdf

変化するビジネスモデルに対応するために、新しいスキルや知識を学ぶことです。近年では、デジタル化に応じた業務に対応するためのスキル習得をさすケースが増えてきました。

OJTとの違い

OJTは、社内の部署において仕事に取り組みながら、やり方を覚えてスキルを習得してもらう教育方法です。「今ある仕事」に対応するために能力やスキルの習得を目指します。

対して、リスキリングは「対応できる人材がいない」「新たな仕事」に対応するためにスキルを獲得する学習をさします。そのため、リスキリングはOJTの延長ではなく、それ以上の取り組みが必要となるでしょう。

リカレント教育との違い

リカレント教育は自分のキャリアアップのために、労働と勉強のサイクルを長期的に繰り返し、スキル獲得を目指します。一旦職場を離れ、大学などの教育機関に入り、学び直す点がリスキリングと異なります。

DX人材育成にも大切な要素

リスキリングはDX人材育成にも大切な要素となるでしょう。既存社員がデジタル化に対応できない場合、新たなDX人材を雇用しなければなりません。しかし、DX人材雇用が困難なケースも想定されます。

そのため、企業のDX推進に取り組むためにも、既存社員がデジタルの知識やスキルを身に付ける必要があります。デジタル化に対応できる社員を育成し、新しい業務や製品の開発・販売ができる体制を作りましょう。

経理部門で求められるリスキリングの重要性

2019年、経済産業省が発表したDXレポートの「2025年の崖」という文言が注目を浴びました。2025年の崖とは、日本経済の停滞や国際競争への遅れをさします。

デジタル化が進まなかった場合、2025年以降、最大で年間12兆円程度の経済的損失が発生するリスクが想定されると発表しました。

どの企業も2025年の崖による経済的リスクを抱えています。大きな経済的損失を避けるために、デジタル化によるビジネスモデルの変革が求められるでしょう。

他部門と比較すると、経理部門はデジタル化が遅れているため、既存社員のリスキリングによる変化が必要となります。ここでは、経理部門におけるリスキリングの重要性についてみていきましょう。

「2025年の崖」に関する記事は、こちらからどうぞ。

リスキリングによる経理部門の変化が必要

経理部門はシステムの複雑化や老朽化、紙媒体での書類管理などが要因となり、デジタル化が遅れているケースが散見されます。

そのため、リスキリングにより、経理部門のデジタル化に対応できる社員の育成が必要となるでしょう。

データ活用が経理に求められる理由

経理部門においてデータ活用が求められる理由としては、次の2点があげられます。
・システムのブラックボックス化を避ける
・人材不足を解消する

経理部門では会計や給与などのシステムを多く使用します。システムを開発した人材の退職により、技術が失われ、ブラックボックス化が生じてしまう可能性も想定されます。

また、紙媒体の書類でデータを管理する場合、経理担当者は押印や確認のために出社しなければならないケースも珍しくありません。

対して、電子化を進めると、会計や経費精算などのデータを社外から検索・確認できます。出社する必要がなくなり、リモートワークの機会が増えるため、人材不足の解消にもつながるでしょう。

経理部門におけるリスキリングの成功ポイント

経理部門におけるリスキリングの成功ポイントは次の3点です。

・目的・ゴール設定を共有する
・外部化する業務を徹底的に視覚化する
・削減したコストや工数の活用方法を検討する

リスキリングの目的やゴールを検討するところから、スタートしましょう。企業として優先的に解決したい課題を決め、最終的なゴールを共有することが大切です。

業務の外部化を検討する場合は、委託業務を徹底的に視覚化しましょう。委託先がなにをどのように取り組んでいるのかわからなくなってしまう可能性もあります。そのため、委託業務を視覚化し、定期的に業務内容の把握・改善を行う仕組みを作りましょう。

また、削減したコストや工数の活用もポイントとなります。効率的に業務を回せるようになったものの、空いた工数で新しい仕事を作ってしまうケースもあるでしょう。そういった場合、コストや工数の削減につながらず、業務が増えてしまいます。

そのため、リスキリングを実施する際は、事前にコストや工数の活用方法を検討することが大切です。経理部門は属人化している業務が多いため、コストや工数の分析や活用方法の検討に時間がかかってしまう点を把握しておきましょう。

リスキリングで解決できる経費精算の課題

経費精算に焦点をあてると、デジタル化に対応できる人材育成により電子帳簿保存法への対応や現金小口管理の負担の軽減が可能です。また、人材不足や採用コストなどの課題も解消できるでしょう。

ここでは、リスキリングで解決できる経費精算の課題について詳しくみていきます。

電子帳簿保存法への対応

電子帳簿保存法とは、帳簿など紙媒体の書類を電子データで保存するための法律です。電子帳簿保存法に対応できた場合、ペーパーレス化やコスト削減などがメリットになります。

紙媒体のデータを管理する際、年度ごとのファイリングや処分などの手間が発生していました。対して、電子データで保存する場合、ファイリングや処分が不要となるため、手間を大きく削減できます。また、書類の紛失や不正閲覧の防止にもつながるでしょう。

電子帳簿保存法に関する記事は、こちらからどうぞ。

現金小口管理の負担

現金小口管理は立替精算や現金管理の負担が発生します。経理担当者は毎営業日の業務終了後に、手元にある現金を数えるだけでなく、支出の記録などを行わなければなりません。

経費精算のデジタル化が進むと、現金小口管理の負担を解消できます。例えば、経費精算のキャッシュレス化に対応できる社員が増えると、現金小口管理による人的ミスを大きく軽減できるでしょう。

経費精算のキャッシュレス化に関する記事は、こちらからどうぞ。

業務の属人化

経理部門は専門知識が必要です。そのため、経理担当者以外から問題点を把握しにくく、業務が属人化してしまうケースも珍しくありません。属人化してしまうと、経理担当者が退職した場合、蓄積された知識やスキルが失われてしまい、大きな損失につながります。

経理担当者以外が経理に必要な知識を習得し、業務の属人化を防ぎましょう。

人材不足

新しい業務を既存社員に任せられるようになるため、人材不足の課題も解消できます。新しい業務に対応するために、人材を雇用する必要もありません。

新規の人材を育成するのではなく、効率的に既存人材の戦力を活用できる点はメリットといえます。

採用コスト

外部に人材を求める必要がなくなり、採用の手間やコストを削減できます。

デジタル化に対応できる外部の人材を求める企業は多く、採用は困難です。人材が見当たらなかった場合、長期的に採用活動を行わなければならないため採用コストの負担が大きくなってしまうでしょう。

リスキリングの導入手順

リスキリングの導入手順の一例は、次のとおりです。

・既存スキルを視覚化する・習得すべきスキルを決める
・教育カリキュラムを選定する
・学習環境を整備する
・習得したスキルを活用できる場所を提供する

まず、既存社員が持っているスキルを視覚化し、適性のある業務を確認しましょう。さらに、今後習得すべきスキルを判断します。既存スキルと習得すべきスキルの差の把握により、教育内容や期間の管理が容易になります。

次に、習得すべきスキルに応じた教育カリキュラムを選定しましょう。リスキリングでは専門性の高い学習内容が求められます。そのため、自社開発による教育カリキュラムではなく、外部の専門家や教育コンテンツを利用するとよいでしょう。

リスキリングは働きながら取り組むため、社員の負担が大きくならないように学習環境を整備する必要があります。例えば、就業時間内に教育スケジュールを組み込みましょう。「就業時間内に新しいスキルが習得できる」と前向きな思考で取り組めるようになります。

スキルを定着させるために、活用できる場所を提供しましょう。リスキリングの目的はスキル習得ではなく、新しい業務への活用です。スキルを実践的に活用できる場所がない場合は、今後想定される事業に取り組める機会をつくるとよいでしょう。

経費精算におけるリスキリングを成功させるポイント

リスキリングは既存社員や企業にとって負担がかかる可能性があるため、実施に踏み切れないという声も少なくありません。

ここでは、経費精算におけるリスキリングを成功させるポイントをみていきます。

社員の自主性を尊重する

今まで経費精算の経験がない社員がリスキリングに取り組むと、スキル習得に対しストレスが大きくかかります。また、就業時間内に学習する場合、既存業務との混乱を招くリスクも想定されるでしょう。

そのため、リスキリングを成功させるためには、社員本人のスキルを習得したいという意思が重要となります。リスキリングの対象者を選定する際には挙手制にするなど、社員の自主性を尊重した選定方法を検討しましょう。

経費精算ツールを導入する

リスキリングは教育コストの発生やスケジュールの調整などの手間が発生するため、実施までに時間がかかってしまうケースも少なくありません。

そういった場合は、まずNTTコミュニケーションズが提供するSmartGo™ Stapleを導入するという選択肢もあります。SmartGo™ Stapleは経費精算ツールです。

SmartGo™ Stapleの導入により、現金小口管理で行っていた立替申請の手間を大きく省けるでしょう。手作業による申請書の作成や承認、立替などの業務フローを自動化するため、業務に対する負担だけでなく人的ミスも削減できます。

国内企業のリスキリング支援である「人材開発支援助成金」

リスキリングによる教育コストは懸念点となるでしょう。しかし、リスキリングに取り組む企業に対し、国による支援制度もあります。

2022年9月現在、厚生労働省は国内企業のリスキリング支援である「人材開発支援助成金」という制度を設けています。人材開発支援助成金とは、企業が社員に対し人材訓練を実施した際に、訓練の経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

経費助成率や賃金助成額の一部は、次のように設定されています。

訓練メニュー 経費助成率 賃金助成額
(1人1時間当たりの額)
高度デジタル人材訓練 ・大企業…60%
・中小企業…75%
・大企業…480円
・中小企業…960円
成長分野等人材訓練 75% 960円
情報技術分野認定実習併用職業訓練 ・大企業…45%
・中小企業…60%
・大企業…380円
・中小企業…760円
定額制訓練 ・大企業…30%
・中小企業…45%
自発的職業能力開発訓練 30%
長期教育訓練休暇等制度 20万円 600円

企業の規模や訓練内容などによって助成率・助成額は異なるものの、コスト面において大きなサポートを受けられるため安心してリスキリングに取り組めるでしょう。

まとめ

本記事では、リスキリングについて詳しく解説しました。経理部門はシステムの複雑化・老朽化や経理担当者による属人化など多くの課題を抱えているため、データ活用による変化が求められています。

デジタル化に対応できる人材育成により、電子帳簿保存法への対応や現金小口管理の負担、人材不足など経理部門における課題を多く解決できるでしょう。

しかし、既存社員にストレスが大きくかかってしまう可能性が想定されます。また、企業にとっても業務時間中に実施する点・教育コストが発生する点が懸念されます。

そのため、経費精算ツールであるSmartGo™ Stapleを導入するという選択肢も視野に入れるとよいでしょう。経費精算ツールは経費精算の業務フローの自動化が可能です。経費精算ツールを活用できるようになると、手間や人的ミスの削減など業務効率化につながります。

リスキリングは対象となる社員によって習得スキルや教育カリキュラムが大きく異なります。学習内容を検討し、自社に適したリスキリングの方法で取り組みましょう。

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