ガソリン代の勘定科目は?選択方法や注意点を解説
公開日:2022/10/19
ガソリン代を経費計上する際、勘定科目に迷う人も多いのではないでしょうか。ガソリン代の勘定科目は、企業により異なります。
そのため、自社ではどれを使えばよいかわからず悩んでいる担当者は少なくありません。
本記事では、ガソリン代の勘定科目の選択方法や注意点について解説します。どの勘定科目を使おうか迷っている方は参考にしてください。
目次
ガソリン代の主な勘定科目
ガソリン代を計上する際はさまざまな勘定科目が利用できます。該当するどの勘定科目を利用しても間違いということはないため、自社にとって使い勝手の良い科目を選択しましょう。
ここからは主に勘定科目として使われることの多い5つについてみていきます。
車両費
車両費は事業で使用する車を維持管理するのに必要な経費です。次のものが挙げられます。
・車両保険
・自動車税
・修繕費
・洗車代
・車検費用
旅費交通費
旅費交通費は業務の都合で勤務地以外の場所へ出向くためにかかる費用を指します。主なものは次のとおりです。
・電車代
・新幹線代
・バス代
・タクシー代
・飛行機代
・宿泊費
・出張手当
旅費交通費と通勤交通費の違いに関する記事はこちらです。
燃料費
燃料の購入代金を処理する勘定科目です。企業によっては「燃料費」という勘定科目は使用せず、「水道光熱費」で処理することもあります。
主な例をみていきましょう。
・重油代
・オイル代
・灯油代
・経由代(軽油取引税を除く)
消耗品費
10万円以下または耐用年数が1年未満の備品を処理する勘定科目です。事務所や会社で使用する多くのものが消耗品費に該当します。いくつかの例をみていきましょう。
・事務用机
・椅子
・PC周辺機器
・トナー
・筆記用具
・用紙
・電池
・タオル
売上原価(仕入)
売上原価とは、売上のためにかかったすべての費用です。製造業であれば材料費や製造者の労務費などの合計となります。小売業の場合は、商品の仕入代だけで人件費は該当しません。
売上原価となる企業は限られています。商品の販売やサービス提供にガソリン代が不可欠である場合は、売上原価としての計上が必要です。
勘定科目の選択方法
ガソリン代を計上する際、車の台数や使用頻度により選択すべき科目は異なります。ここでは、どれを選ぶか迷った際の選択方法についてみていきましょう。
車両費
ガソリン代を車両費に入れた場合、車に関する費用の一元管理が可能になります。そのため、車検代、保険料、修繕費などとガソリン代の区別をつけて管理したい企業にはお勧めできません。
車両の台数が少ない、車両の使用頻度が低いなどの理由で車両にかかる費用を重視しておらず、ガソリン代の重要性が高くない場合は車両費を選択しましょう。
旅費交通費
旅費交通費には、電車代や宿泊費など出張に関する費用が含まれます。そのため、ガソリン代を旅費交通費に含めると、出張との区別が付きづらくなります。
公共の交通費による出張が少ない、宿泊を兼ねる出張が少ない、ガソリン代とその他の旅費交通費との区別は必要ない、という場合には旅費交通費を選択しましょう。
燃料費
車両費や旅費交通費と分けて管理したい場合には燃料費を利用しましょう。ガソリン代の使用量が多く、他の科目と分けて把握しておきたい場合に利用しやすい科目です。
消耗品費
消耗品費は事務用品をはじめ、コピー用紙、PC周辺機器、10万円以下の器具備品など多くのものが含まれます。
そのため、ガソリンの使用が少なく使用量を重視しない場合は消耗品費を利用してもかまいません。消耗品費に含むことのできる品目はとても多いため、後でガソリン代だけ選り分けるのは手間がかかります。ガソリン代をわけて管理したい場合や集計業務が必要、細かい推移を確認したい場合などには、別の勘定科目を使いましょう。
売上原価(仕入)
タクシー会社や運送会社など、ガソリン代が売上のためにかかった費用となる場合は売上原価として計上します。
ガソリン代計上時の注意点
ガソリン代は会社によって、さまざまな勘定科目として計上できます。ここからは、計上する時の注意点についてみていきましょう。
同じ勘定科目を使う
ガソリン代を経費として処理する場合は、自社に適した使いやすい科目を選択できます。ただし、一度勘定科目を決めたら基本的に変更できません。
企業会計には「継続性の原則」があります。そのため、一度決めた勘定科目を理由もなく変更し続けることは好ましいとはいえません。
加えて、経理担当者によって、同じ企業内であるにもかかわらず違う科目で計上すると、正しい集計ができなくなるため注意が必要です。
科目を決めたら、社内で統一し同じ勘定科目を継続して使いましょう。
未使用分は貯蔵品としての計上が可能
年度末に未使用分のガソリンがあれば、決算時に貯蔵品としての振替計上が可能です。貯蔵品は切手や収入印紙など少量多品種の物品を資産管理できる科目です。
しかし、年度末に各自動車内に残っているガソリン残量を正確に把握するのは困難で、実務上現実的ではありません。多くの企業においては、ガソリン代は「経常的に消費するもの」であり「毎年一定数量使用し続けるもの」に該当します。そのため、購入時に費用計上することが認められており、無理に貯蔵品として計上する必要はありません。
会社の実情に合わせ、必要に応じて貯蔵品としての計上を検討してみましょう。
経費精算時のガソリン代の計算方法に関する記事はこちらです。
軽油を利用する場合の注意点
車種によってはガソリンだけでなく軽油を使用していることもあります。軽油の場合も科目はガソリン代と揃えておくとよいでしょう。
ただし、軽油を利用する場合はガソリン代とは税金の取り扱いが異なるため注意しなければなりません。詳しくみていきましょう。
税金の違い
ガソリン代と軽油代の内訳は次のとおりです。
ガソリン代:(本体+ガソリン税+石油税)×消費税
軽油代:(本体+石油税)×消費税+軽油引取税
ガソリン代は全ての価格に消費税がかけられています。一方、軽油代のなかの「軽油引取税」には消費税がかけられていません。これは「不課税仕入」となるため、区別して仕訳しなければなりません。
一方、石油税やガソリン税も税金ではありますが消費税がかかっているため、本体価格と共に計上可能です。
ガソリン代や軽油代にはさまざまな税金がありますが、「不課税仕入」である「軽油引取税」にだけ注意が必要です。
軽油取引税分は、軽油代本体と同じ勘定科目で計上してもかまいません。租税公課として処理することも可能です。軽油の購入額が多い企業では「軽油税」という勘定科目を設定している場合もあります。自社の都合にあわせ、必要なものを選択しましょう。
しかし、二つの勘定科目を混ぜて利用すると、軽油引取税の判別や分析、集計などが困難になります。社内ルールを定め、継続して同じ科目で計上しましょう。
軽油引取税分を間違えて消費税込み価格として税額計上すると、消費税額に差異が生じてしまうため注意が必要です。
ガソリン代計上業務を効率化するには
ガソリン代の計上業務をより効率化したい場合は、デジタルツールの導入や法人カードの利用が効果的です。
それぞれについてみていきます。
法人用クレジットカードの利用
ガソリン代を法人用クレジットカードで支払うと、経費精算業務の効率化につながります。ガソリン代を毎回支払う担当者が、立替支払いを負担と感じている場合も少なくありません。
法人用ガソリンカードを利用すると、ガソリン代の割引が受けられ経費削減につながる点もメリットです。
法人用クレジットカードを導入すると、担当者は毎回自分のお金を立て替える必要がなくなり負担軽減につながります。経理担当者から立替者に対しての支払いも不要となるため、経理担当者の負担軽減にもつながり、業務効率が向上します。
法人カードに関する記事はこちらです。
経費精算システムの導入
ガソリン代計上業務を効率化するには、経費精算システムの導入を検討しましょう。
ガソリン代をはじめとした必要な経費を個人が立替て支払い、後に精算処理する場合は、稟議書の申請や確認、経理担当者からガソリン代支払者に対する現金の受け渡しなど多くの手間がかかります。
オンラインで仕事をすることも増えているなかでは、稟議書の押印のために上長が会社に出向かなければならない点も負担です。
経費精算システムを導入すれば、オンラインで稟議書の決済が可能となり、出社の手間が省けます。従来の紙の稟議書は紛失のリスクもあります。
紛失した稟議書を探すには、手間や時間がかかることもあるでしょう。オンラインを利用すると、稟議書やそれに添付している領収書の紛失リスクがなくなる点もメリットです。
経費精算でキャッシュレス化を進める理由に関する記事はこちらです。
会計ソフトの導入
ガソリン代計上業務を効率化するには、会計ソフトの導入を検討してみましょう。会計ソフトを利用すると、法人カードなどと連携が可能です。
自動でデータを取り込み、自動仕訳を行うソフトを導入すると、経理業務の効率化がみこめるでしょう。機械的にできる業務をソフトに任せると、入力ミスをはじめとした人的ミスが軽減するため、業務スピードが上がります。
空いた時間により生産的な仕事を担当すると、会社全体の生産性のアップが期待できます。
まとめ
ガソリン代には「車両費」「旅費交通費」など、さまざまな勘定科目が利用可能です。経費として計上する場合、どれを利用しても間違いということはありません。
社用車の台数やガソリンの使用量などを元に、自社の目的に合った科目を選択しましょう。
ただし、経理担当者により計上科目が異なると、正しい財務分析ができなくなるため注意が必要です。社内でどの勘定科目にするか決定したら、その後は変えることなく同じ勘定科目を使い続けましょう。
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