DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性や課題を解説
公開日:2022/11/24
ビジネスの場で、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を聞く機会は増加しています。
しかし、DXとは何か、ビジネスにおいてどのようなメリットがあるのか、今一つよくわからないという人もいるでしょう。DXには単なるデジタル化だけでなく、それを超える大きな意義や意味が含まれています。
本記事では、DXへ取り組む必要性や課題、メリットについてわかりやすく解説します。これからビジネスでDXへの取り組みを考えなければいけないが、具体的には今一つわからないと感じている方は、参考にしてください。
目次
DX(デジタルトランスフォーメーション)の意味
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「デジタル変革」という意味です。具体的には、「巨大データやデジタル技術を活用し、ビジネスモデル・業務・企業文化や風土などを変革し競争上の優位性を確立するための包括的な取り組み」を指します。
今後世界の中で生き残るためには、単に情報などの管理方法をアナログからデジタルへ移行するだけでなく、デジタル技術を幅広く活用しながら、既存の価値観や古い枠組みを覆し、競争に打ち勝てる企業に変わっていかなければなりません。
DXに関する経済産業省の定義や活用事例についての記事はこちらです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)と似た言葉と意味の違い
DXと似た言葉として「デジタイゼーション」や「デジタライゼーション」があります。どれも、「デジタル化」を意味する言葉ですが、厳密には異なります。
それぞれについての違いをみていきましょう。
デジタイゼーションは、「特定業務のデジタル化」を意味します。例えば、顧客情報を今まで名刺で管理していた場合、その情報を全てExcelなどに入力しデジタル管理に置き換えることが「デジタイゼーション」です。単なる、アナログからデジタルへの置き換えを指します。
デジタライゼーションとは、「業務フローやプロセスのデジタル化」です。例えば、これまで個人で所有していた顧客情報をデジタル化したうえで社内共有し、営業の進捗度の報告方法や顧客へのプロセス方法を大きく変えていくことを指します。そのため、デジタライゼーション以前はブラックボックス化されていた営業ノウハウの社内共有が可能となります。個人の力量のみで営業成績が決まっていた場合、ノウハウや手法の共有により社内全体の営業成績アップにつながるでしょう。
SXとDXの違い
SX(サステイナビリテイートランスフォーメーション)とDXの違いについて、みていきましょう。
SXとは、「持続可能な企業を目指した変革」です。サステイナビリティとは、「持続可能」なことを意味します。企業には短期的な視点だけでなく、中長期的な目線を持ち、利益を上げるとともに、持続可能な環境や社会を作っていくことが求められています。
DXにおいては、デジタル化を用いてより早く競争優位性を確保しなければなりません。
SXとDXは両立可能な考え方です。デジタル化を用いて競争優位性を確保したうえで、中長期的な視点を持ち、社会や環境のことを考えた企業経営が求められています。
なぜDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む必要があるのか
今、企業に対してDXへの取り組みが強く推奨されています。ここでは、DXに取り組む必要性についてみていきましょう。
サービス・商品利用者が新しい顧客体験を求めている
多くの消費者は、既に生活に必要なものを全て手に入れています。そのような顧客が次に求めるのは生活必需品ではなく、新たな顧客体験といえるでしょう。
これまでにない新たなものを企業として生み出すためには、これまでのやり方を踏襲しているだけでは困難です。新たな発想や技術がなければ、次世代の商品やサービスは生み出せません。
企業のデジタル変革が新商品やサービスの開発につながり、顧客に対しても新しい体験を提供できるようになるでしょう。
企業のマインド・システム面を整える機会の1つになっている
DXを推進するにあたって、経営者が大きく動かなければなりません。社内の組織を再構築することも多く、これまでの企業風土を大きく変えるきっかけになることが少なくありません。
部署ごと、部門ごとに手当たり次第にデジタル化を進めた結果、各システムデータの互換性がとれなくなり、全情報を一元化できず困っている企業も見受けられます。
DXという目標のもと、今一度全社的にシステム面を見直し再構築を図ることで、社内全体のデジタル化が一気に加速することもあるでしょう。
業務内容の効率が必要とされている
今後、少子高齢化の影響や働き方改革の推進などで、日本では労働人口の低下が懸念されています。そのため、今までと同様の業務内容では経営が成り立たなくなることが考えられます。
今後、人材の不足に悩む企業では、少ない人数でも業務が回せるよう、業務効率化への取り組みが欠かせません。
DXへの取り組みは、業務効率化につながり、労働人口が不足するなかでも事業継続が可能になると期待されています。
DXの活用事例についての記事はこちらです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む場合の課題
DXに取り組むとさまざまな恩恵が得られます。しかし、多くの企業ではなかなかDXへの取り組みが困難です。ここでは、DXの推進を阻む要因となる、3つの課題についてみていきましょう。
人材育成・確保が足りない
DX推進には、人材の確保が欠かせません。デジタル技術の知識に長け、同時に自社のビジネスについても詳しい人材でなければ、DX推進は困難といえるでしょう。
デジタル技術のある人材は外注できる場合もあります。しかし、日本ではIT人材そのものが不足しているため、外注がままならないこともあるでしょう。加えて、多くの場合、自社のビジネスに詳しい人材は社内で見出す必要があります。そのような人材育成や人材の確保が困難であれば、DXへの取り組みは思ったようには進みません。
戦略・計画が立てられない
DX推進には中長期的な経営戦略が欠かせません。
今後の具体的な事業展開や将来のビジョンが見えていないと、どのようにDXを推進すればよいのか方向性が見えてこないためです。DXにより、自社で生み出したい価値はどのようなものか、何を実現したいのか、といった具体的な戦略や計画がないと、DXへの取り組みが滞ります。
長期的な視点から対策ができない
これまで、多くの企業が長期的視点を持たず、次々とデジタル化してきており、その既存システムが老朽化・複雑化しています。既存システムの運用費やメンテナンス費が増大している企業は少なくありません。経済産業省は、2025年までに既存システムの刷新ができない場合、最大12兆円の経済的損失が出ると試算しています。
このような事態をなくすためには、長期的な視点が欠かせません。長期的視点で必要なシステムを考え、全体的な構築が必要です。しかし、中長期的な視点で対策を打てる企業は多くありません。
長期的な視点による対策ができないために、DXへの取り組みが滞る企業も見受けられます。
DXの進め方についての記事はこちらです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)に期待できるメリット
DX推進をすすめた場合、期待できるメリットはいくつもあります。ここでは主なメリットを3つみていきましょう。
新たな顧客体験の創出
DXをすすめると、顧客1人1人の情報がパーソナライズできます。例えば、A氏とB氏とでは求める情報や角度が異なることがわかるでしょう。これらの情報を活用すると、顧客1人1人に対してより的確で効果的なアプローチを施すことが可能になります。
また、オンライン接客も顧客に新たな体験をさせることができるものの1つといえるでしょう。今では広く浸透したネットショッピングをはじめ、化粧品のデジタルカウンセリングや不動産のオンライン内見、百貨店のリモートなどはすべてオンライン接客です。
顧客は自宅から出ずに買い物ができます。企業側も効率的に接客できる点はメリットです。DXの推進により、競合他社と差別化し、新たな顧客体験を創出することで競争の優位性を確立すると売上アップが期待できます。
生産性・利益向上
DXへの取り組みにより、多くの単純作業はデジタル化できます。また、情報共有のスピードが速まり、瞬時に進捗情報が共有できるでしょう。
業務負担の偏り防止や人的ミスの防止、これまで属人化していた業務をマニュアル化することによる業務の平準化・標準化など、多くのメリットを享受できます。
また、正確に未来予測できるAI導入による無駄な経費の削減や利益向上にもつながります。例えば、三重県にある老舗飲食店「ゑびや大食堂」では、来客数を予想する「来客予想AI」を独自開発しました。これにより、用意する食材の量や人的リソースの最適化が可能となり、食品ロスの削減や利益率アップにつなげています。
新しいサービスや商品の創出
DXへの取り組みが、新しいサービスや商品の創出につながることは少なくありません。
例えば、NECによる国際線旅客ターミナルの保管検査場の分析・可視化による「待ち時間予測システム」、メルカリなどの個人間での売買システムの導入、無人決済システムの導入などが該当します。
DX推進により、新たなサービスや商品の創出につながる点は大きなメリットといえるでしょう。
経費精算の課題とDXによる解決方法についての記事はこちらです。
経費精算の課題とDXによる解決方法|競争力を保つために業務効率化
DX(デジタルトランスフォーメーション)の一歩として
さまざまな企業がDXに取り組んでいます。
例えば、トヨタ自動車では「時期営業活動支援システム」として、従来持っていたオンプレミスの基幹システムとクラウド型の顧客管理システム(CRM)を連携させ、顧客情報を一元化しました。
トヨタ自動車は全国に多くの販売店を抱えています。販売店の営業スタイルはさまざまで、トヨタ側での統一は困難です。クラウド型システムの導入で、各販売会社の裁量を活かしつつ、顧客情報を一元管理することに成功しました。
スターバックスではモバイルアプリで顧客データを収集しています。そこにAIを導入することで、顧客ごとに思考や習慣に基づいた商品をおすすめするパーソナライズシステムを構築しました。
各社の事例を見ると、自社に必要なシステムを明確にし、DX導入に取り組んでいることがわかります。
DXの第一歩として自社に何を導入すればよいか悩む担当者の方もいるでしょう。
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DX推進に取り組むきっかけとして、SmartGoStaple®を導入してみてもよいでしょう。
まとめ
DXとは、「巨大データやデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや企業文化などを変革し競争上の優位性を確立するための包括的な取り組み」です。
単に業務の一部をデジタル化に変えるだけでなく、これまでになかったサービスや商品、顧客体験を生み出すことで、競争に打ち勝てる企業へと変革することが求められています。
DXの導入により成果を上げている企業も見受けられます。長期的な視点を持ち、戦略を練った上で、DX推進を進めていきましょう。
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