通勤交通費の非課税限度額とは。通勤交通費の考え方や具体的な事例を解説。

通勤交通費の非課税限度額とは。通勤交通費の考え方や具体的な事例を解説。

公開日:2022/12/28

通勤交通費には非課税限度額が設けられており、移動手段や距離によって大きく異なります。そのため、どのように計算したらよいのかわからないという声も少なくありません。

本記事では、通勤交通費の限度額や考え方について解説していきます。また、移動手段ごとの具体的な事例にもふれていくため、計算方法で悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

通勤費と交通費は異なる

通勤費と交通費は異なるものの、具体的な違いがわからないという方も少なくありません。ここでは、それぞれの違いについて詳しくみていきましょう。

通勤費は手当扱い

通勤費は通勤目的で支払う費用です。会社が従業員に対して支給するため、手当扱いになります。

通勤費の対象は電車やバスなどの公共交通機関の利用料金です。また、マイカーの場合、ガソリン代が対象となるケースもあります。

従業員への支払い方法は立て替え精算や現物支給、給与への上乗せなど企業によって異なります。

交通費は業務上のコスト

交通費は出張や営業の外回りなど業務上で発生する移動コストです。従業員が立て替えて支払い、精算の申請を行います。

精算方法は経費精算書を提出し、上司の承認や経理担当者の確認などの業務フローを経て、企業側が支払うケースが殆どです。

経費精算における交通費精算の内容が知りたい方はこちらから。

通勤費と交通費は混同しない

通勤費は手当扱いになり、給与所得の一部として所得税が発生する点を把握しておきましょう。一方、交通費は業務上で発生したコストであるため、所得税の課税対象外です。

所得税の課税対象となる通勤費と非課税対象となる交通費を混同しないようにしましょう。

通勤交通費なら非課税限度額がある

給与の一部として支給されるため所得税の課税対象になるものの、一定の金額の範囲内であれば所得税の計算において対象外になります。

ただし、通勤交通費は自宅から会社までの通勤で発生する費用をさします。出張や営業先に訪問するために発生する交通費は含まれない点を把握しておきましょう。

通勤交通費の非課税限度額とは

通勤交通費には条件によって課税対象外になる金額が定められています。非課税限度額とは、課税対象外になる金額のことです。限度額を上回ると、超えた金額に対し所得税が発生します。

限度額は条件によって異なるため、正確に源泉徴収をしなければなりません。限度額を誤って計算し源泉徴収した場合、税務監査で徴収漏れを指摘される可能性が想定されるため注意が必要です。

公共交通機関での限度額

電車やバスなど公共交通機関を利用した場合の限度額は月15万円です。15万円を超えた場合、超えた金額に対し所得税が課税されます。また、新幹線の利用を通勤交通費として認められている場合でも、グリーン車の利用は非課税にならない点は知っておきましょう。

マイカーでの限度額

マイカーの場合、片道の移動距離によって変動するため注意が必要です。それぞれの限度額をみていきましょう。

距離(片道) 限度額
~2km
2km~10km 4,200円
10km~15km 7,100円
15km~25km 12,900円
25km~35km 18,700円
35km~45km 24,400円
45km~55km 28,000円
55km~ 31,600円

2km未満の場合、通勤手段はマイカーではなく徒歩と判断されるため、限度額は設定されていません。

通勤交通費の考え方

ここまでは通勤交通費のうち所得税の課税対象にならない非課税限度額について解説しました。条件を満たせば一定の金額まで非課税になります。

しかし、給与との合算で支給した場合、所得税の対象になります。また、消費税は課税され、社会保険料の計算にも含まれるため注意が必要です。

給与との合算であれば総額が所得税対象

通勤交通費を給与と合算して支給した場合、限度額内でも所得税の対象になります。所得税の対象外にするためには、給与とは異なる項目で支給しなければなりません。

消費税は課税される

国税庁によると、消費税の課税対象になります。限度額内の場合、所得税は非課税ではあるものの、課税仕入れとして処理する必要があるため注意しましょう。

社会保険料にも含まれる

通勤交通費は社会保険料の計算にも含まれます。

社会保険料は標準報酬月額によって支払額が決まります。標準報酬月額とは、4月から6月に支給された給与の平均額です。通勤交通費は標準報酬月額に含むため注意しましょう。

通勤交通費を含む標準報酬月額で徴収される社会保険料は次のとおりです。

・厚生年金保険
・健康保険
・介護保険
・雇用保険
・労災保険

そのため、複数の従業員に同額の給与を支給した場合でも、通勤交通費が異なると社会保険料に差が生じる点を把握しておきましょう。

通勤交通費の事例

限度額や社会保険料など計算の際に気に留めなければならないポイントがいくつかあります。そのため、具体的な計算方法がわからないという経理担当者の声も少なくありません。

ここでは、移動手段ごとの具体的な事例をみていきましょう。

通勤交通費の基本的な計算方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。

交通機関(バス・電車)+徒歩

バスや電車など交通機関と徒歩が通勤手段になっている事例をみていきます。

自宅~最寄り駅 最寄り駅~A駅 A駅~会社
移動手段 徒歩 電車 徒歩
移動に必要な金額 0円 定期代(23,000円) 0円

定期代の10,000円を通勤手当として支給した場合、上限を超えていないため所得税の対象ではありません。また、仕訳方法は次の通りです。
借方 金額 貸方 金額
給与 23,000円 現金預金 23,000円

車のみ

2km未満の距離で車通勤の場合、限度額は設けられていないため、手当の全額に対し課税される点を把握しておきましょう。

自宅から会社
移動手段
移動距離 1.7km
通勤手当 4,000円

定期代の10,仕訳方法は次のとおりです。
借方 金額 貸方 金額
給与 4,000円 現金預金 4,000円

仕訳では課税対象と非課税対象を別々に記載する必要はありません。

車+有料道路

車で有料道路を利用すると、計算が複雑になります。限度額は移動距離における非課税額と有料道路を利用した料金の合算になるため注意が必要です。また、上限は月15万円です。

具体的な事例をみていきましょう。

自宅~会社
移動手段 車(有料道路を利用)
移動距離 40km
有料道路の利用料金 3,000円
通勤手当 30,000円

課税・非課税の対象額は次のようになります。
課税対象 2,600円
非課税対象 27,400円=24,400円(40kmの非課税額)
+3,000円(利用料金)

まとめ

本記事では通勤交通費における限度額や具体的な事例について解説しました。限度額は手段や距離など条件によって大きく異なります。

限度額内であれば所得税は非課税になるものの、消費税は課税されるため注意が必要です。また、厚生年金保険料や健康保険料などを算出する際に必要な標準報酬月額にも含まれます。

通勤交通費の計算は複雑で手間がかかるため経理担当者の負担が大きくなっている可能性が想定されます。

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