所得税とは?種類や計算方法、納付期限について解説!

所得税とは?種類や計算方法、納付期限について解説!

公開日:2023/2/6

所得税とはどのような税金なのでしょうか。改めて問われると「よくわからない」と感じる方もいるでしょう。

しかし、従業員の給与などから毎月所得税を源泉徴収して納税している担当者の方や、年末調整の担当者の方に対して、従業員の方から所得税に関しての質問がくることもあるでしょう。その時に概要を理解しておけば、困ることなく説明できます。

本記事では所得税の種類・計算方法・納付期限などについてわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

所得税とは

所得税とは、給料・個人で商売した収入・土地などを売却して得た収入などに対して、必要経費などを差し引いた後の金額に課される税金です。毎年、1月1日から12月31日までの1年単位で計算し、課税されます。

収入(自分の手元に入ってくる全てのお金)から必要経費を差し引いたものを所得と言います。この所得に課せられる税なので、「所得税」と言います。

会社員の場合、所得税は毎月の給与から差し引かれているため、「1年単位で納税している」という実感がない人も多いでしょう。

実は毎月の給与から差し引かれる所得税の額は概算です。それを、年末調整で正しい金額に直したものを、会社が代行して申告・納税しています。

所得税が発生する年収

先述したように、所得税は「収入-必要経費=所得」に掛けられる税金です。しかし、サラリーマンなどの給与所得者は、原則として経費が認められていません。

その代わり、会社員・公務員・パート・アルバイトなどの給与所得者の場合、給与所得控除の金額があらかじめ定められています。

給与所得控除の金額は収入金額により異なり、令和2年以降の場合次のとおりです。

収入金額 給与所得控除額
1,625,000円まで 55万円
1,625,001円~1,800,000円 収入×40%-10万円
1,800,001円~3,600,000円 収入×30%+8万円
3,600,001円~6,600,000円 収入×20%+44万円
6,600,001円~8,500,000円 収入×10%+110万円
8,500,001円以上 195万円(上限)

年収162万5,000円以下の場合、55万円です。

また、それとは別に、納税者本人の合計所得額が2,400万円以下の場合、48万円の基礎控除があります。

つまり、「55万円(給与所得控除)+48万円(基礎控除)=103万円」までは給与収入から差し引くことができます。

これにより、給与所得者の場合、年収103万円までは所得税が発生しません。
103万円を超えたら、年収が発生します。

給与支払い時の通勤交通費の非課税限度額について詳しく知りたい場合はこちらから。

学生アルバイトは130万円が課税の基準

学生アルバイトの場合、条件に合えば勤労学生控除を受けることができます。

・勤労学生控除の対象となる条件は次の3つです。
・給与所得など勤労による所得がある
・合計所得金額が75万円以下である
・特定の学校の学生や生徒である

勤労学生控除は27万円です。そのため、「55万円(給与所得控除)+48万円(基礎控除)+27万円(勤労学生控除)=130万円」まで、給与収入から差し引くことができます。

そのため、勤労学生控除の対象となる学生アルバイトの場合、130万円以下であれば所得税は課税されません。

所得税が発生する所得の種類

所得税が発生する所得は給与所得だけではありません。全10種類あり、次のとおりです。主な事例と合わせて見ていきましょう。

  1. 事業所得:農業・漁業・営業など、商売や事業によって稼いだ所得
  2. 不動産所得:土地・建物などの不動産、船・飛行機などの貸付による所得
  3. 利子所得:預貯金や公社債の利子による所得
  4. 配当所得:株式等の配当金、投資信託などの収益の分配金、法人から受け取った剰余金の配当などによる所得
  5. 給与所得:給料・賞与などの所得
  6. 雑所得:国民年金・厚生年金など公的年金等、その他原稿料・生命保険の年金など、他の所得に当てはまらない所得など
  7. 譲渡所得:ゴルフ会員権や機械、土地・建物・借地権などの譲渡による所得
  8. 一時所得:生命保険の一時金、賞金・懸賞の当選金など
  9. 山林所得:所有期間が5年を超える山林を伐採して譲渡した場合の所得
  10. 退職所得:退職金・確定拠出年金などによる一時払いの老齢給付金などの所得

所得の種類により計算方法は異なります。

所得税の計算方法

所得税の計算方法は、1月1日から12月31日までの1年間の総収入から、必要経費や所定の控除額を差し引き、所得税率をかけて算出します。

・(1年間の収入ー必要経費ー所定の控除額)×所得税率=所得税

なお、年収2,000万円以下の給与所得者で、1年間の所得が1か所からの給与所得しかない場合、年末調整により会社で計算・納税してもらえるため、自分で改めて確定申告を行う必要はありません。ただし、医療費控除などを行う場合は、別途確定申告が必要です。

・課税方法は、所得の種類により異なり、次の3種類があります。
・総合課税:確定申告で他の所得と合算して税金を計算する
・申告分離課税:他の所得と分離して税金を計算する
・源泉分離課税:他の所得とは無関係に、所得を受け取る時に一定の税額が徴収されて完結する制度

所得金額を明確にする

所得税を計算するためには、まず、1年間(1/1~12/31)の所得金額を明確にしなければなりません。

計算方法は次のとおりです。

・収入-必要経費=所得金額

なお、給与所得者には原則として経費が認められません。経費の代わりに「給与所得控除」が認められています。給与所得控除額は収入金額により異なります。

課税所得金額を計算する

課税所得金額を計算するには、所得金額から所得控除を差し引きます。

・所得金額ー所得控除=課税所得額

所得控除は次のとおりです。

・医療費控除
・雑損控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・寄付金控除
・障がい者控除
・寡婦控除
・ひとり親控除
・勤労学生控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・基礎控除

なお、上記控除のうち、医療費・雑損・寄付金については、年末調整では対応できないため、会社員であっても個人で確定申告を行わなければなりません。

経理部とはどんな部署か詳しく知りたい方はこちらから。

税率を確認し課税金額を算出する

税率は、所得税額により異なり次のとおりです。

課税所得金額 税率 控除額
1,000円~1,949,000円 5% 0円
1,950,000円~3,299,000円 10% 97,500円
3,300,000円~6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000円~8,999,000円 23% 636,000円
9,000,000円~17,999,000円 33% 1,536,000円
18,000,000円~39,999,000円 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

・所得税=課税所得額×所得税率ー上記表の控除額ー税額控除

なお、令和19年までは所得税にあわせ、復興特別所得税の納税が必要です。

・復興特別所得税=所得税×2.1%

税額控除の主なものは次のとおりです。
・配当控除
・外国税額控除
・住宅借入金等特別控除

所得税の納付期限

所得税の納付期限についてみていきましょう。

確定申告であれば3月15日

確定申告分の納税期限は、例年3月15日です。期限内に納付できなかった場合、期限の翌日から完全に納付する日までの延滞税がかかるので注意しましょう。

源泉徴収した所得税は徴収後、翌月10まで

会社などで従業員の給与から源泉徴収している所得税・復興特別所得税は、原則として給与などを支払った翌月の10日までに納付しなければなりません。

なお、従業員が常時10人未満で一定の要件を満たしている場合、半年分まとめて納付できるという特例があります。特例の適用を受けた場合の納付期限は次のとおりです。
・1月~6月までの源泉徴収分:7月10日
・7月~12月までの源泉徴収分:翌年1月20日

経理業務の効率化について知りたい場合、こちらの記事をどうぞ。

まとめ

個人の収入から必要な経費を差し引いたものを所得と言います。毎年1月~12月の所得に対してかかる税金が所得税です。

1年間の年収が103万円未満であれば、所得税はかかりません。

所得税の税率は所得金額により異なります。

所得税の納付期限は例年、3月15日となっています。また、会社が企業の給与などから毎月源泉徴収している所得税は原則として翌月10日までの納付が必要です。

期限までに納付しないと延滞税がかかるので注意しましょう。

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