収入印紙の金額は?購入のポイントや貼り付けるべき書類の種類について解説
公開日:2023/2/8
書類によっては収入印紙が必要となるものがあります。書類に印紙を貼り割印などを押すことで、印紙税を支払ったことになります。
しかし、どの書類に貼り付けるべきか、いくらのものを貼ればよいのか、今一つわからないという担当者の方もいるでしょう。
本記事では、収入印紙の金額や貼り方、貼り付けるべき書類の種類について解説します。
目次
収入印紙とは
収入印紙とは、印紙税を支払う目的で発行される証票です。印紙税法により定められた、ある一定の金額が記載された文書(課税文書)を発行する際には、印紙税が課せられます。
5万円以上の商品を購入し領収書が発行された時などに、収入印紙が貼られているのを見たことがある方もいるでしょう。
収入印紙は再利用を防止するために、割印(消印)を押さなければなりません。割印は印鑑でなく署名でも問題ありません。
領収書のハンコについて必要かどうか詳しく知りたい方はこちらです。
領収書の印紙税の金額
商品やサービスに対して金銭を受け取ったことを証明するために発行する書類が領収書です。5万円以上(消費税抜き)の領収書には収入印紙を貼り付けなければなりません。
領収書の金額により、必要な税額は異なり、次のとおりです。
領収書の金額 | 収入印紙の金額 |
5万円未満 | 不要(非課税) |
5万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円超200万円以下 | 400円 |
200万円超300万円以下 | 600円 |
300万円超500万円以下 | 1千円 |
500万円超1千万円以下 | 2千円 |
1千万円超5千万円以下 | 2万円 |
5千万円超1億円以下 | 6万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 |
5億円超10億円以下 | 20万円 |
受取金額の表記がない場合、200円の収入印紙が必要になります。
領収書について詳しく知りたい方はこちらです。
収入印紙と収入証紙の違い
収入印紙とよく似たものに収入証紙があります。
どちらも、税金や手数料の支払いに使われる証票ですが支払先が異なります。
・収入印紙:国
・収入証紙:都道府県や一部の市区町村
それぞれに使用目的が異なるため、必ず確認したうえで購入しましょう。
収入証紙は、自動車運転免許証の更新手数料やパスポートの交付手数料、納税証明手数料などに用いられます。
収入印紙が必要となる課税文書
「課税文書」とは、収入印紙が必要となる文書です。領収書以外には、契約書・約束手形・会社設立時に作成する定款原本・預金証書など20種類の課税文書があります。
税額は文書や記載された金額などにより異なり、次のとおりです。(一部抜粋)
文書 | 印紙税額 |
下記の案件に関する契約書 ・不動産・鉱業権・無体財産権・船舶・航空機・営業の譲渡 ・地上権・土地の賃借権の設定・譲渡 ・消費貸借 ・運送(傭船契約書を含む) | 契約金額 1万円未満:非課税 10万円以下:200円 10万円超20万円以下:400円 50万円超100万円以下:1千円 100万円超500万円以下:2千円 500万円超1千万円以下:1万円 1千万円超5千万円以下:2万円 |
請負契約書 | 契約金額 1万円未満:非課税 100万円以下:200円 100万円超200万円以下:400円 200万円超300万円以下:1千円 300万円超500万円以下:2千円 500万円超1千万円以下:1万円 1千万円超5千万円以下:2万円 |
約束手形・為替手形 | 契約金額 10万円未満:非課税 10万円以上100万円以下:200円 100万円超200万円以下:400円 200万円超300万円以下:600円 300万円超500万円以下:1千円 500万円超1千万円以下:2千円 1千万円超2千万円以下:4千円 |
株券・出資証券・社債券・投資信託・貸付信託・特定目的信託・受益証券発行信託の受益証券 | 券面金額 500万円以下:200円 500万円超1千万円以下:1千円 1千万円超5千万円以下:2千円 5千万円超1億円以下:1万円 1億円超:2万円 |
合併契約書・吸収分割契約書・新設分割計画書 | 4万円 |
定款 | 4万円 |
継続的取引の基本契約書 | 4千円 |
預金証書・貯金証書 | 200円 |
倉荷証券・船荷証券・複合運送証券 | 200円 |
保険証券 | 200円 |
信用状 | 200円 |
信託行為に関する契約書 | 200円 |
債務の保証に関する契約書 | 200円 |
金銭・有価証券の寄託に関する契約書 | 200円 |
債権譲渡・債務引受けに関する契約書 | 契約金額 1万円未満:非課税 1万円以上:200円 記載なし:200円 |
配当金領収証・配当金振込通知書 | 配当金額 3千円未満:非課税 3千円以上:200円 記載なし:200円 |
売上代金に係る金銭・有価証券の受取書 | 契約金額 5万円未満:非課税 5万円以上100万円以下:200円 100万円超200万円以下:400円 200万円超300万円以下:600円 300万円超500万円以下:1千円 500万円超1千万円以下:2千円 1千万円超2千万円以下:4千円 |
売上代金以外の金銭・有価証券の受取書 | 受取金額 5万円未満:非課税 5万円以上:200円 記載なし:200円 |
預金通帳・貯金通帳・信託通帳・掛金通帳・保険料通帳 | 1年ごとに200円 |
消費貸借通帳・請負通帳・有価証券の預り通帳・金銭の受取通帳などの通帳 | 1年ごとに400円 |
判取帳 | 1年ごとに4千円 |
収入印紙が必要となる文書は限られています。国税庁の「印紙税額の一覧表」に記載されていない文書に関しては、収入印紙は不要です。
参考:「課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁」
収入印紙はデジタル文書では不要
上記の「課税文書」一覧の中には、契約書などがありました。しかし、デジタルで文書を発行する場合、たとえ契約書などの「課税文書」が含まれていても、収入印紙は不要です。
同様に、領収書をデジタル文書で発行する際も収入印紙は不要です。
紙への記載が基準となっている
課税文書の作成の要件として、用紙への記載によるものと定義されています。そのため、電子契約や電子領収書では印紙税はかかりません。
これまで印紙税をたくさん支払っていた企業にとっては、デジタル文書の作成に切り替えることで、節税が見込めるといえるでしょう。
印刷では課税されない
電子契約によって取り交わした契約書などを印刷した場合も、収入印紙が必要な書類とはみなされません。
これは、印刷した文書は「原本」ではなく、「契約書の写し」とみなされるためです。
一方、電子で作成しても最終的に印刷したものを「原本」とみなした場合は収入印紙が必要になります。
データ保存や電子帳簿保存法について詳しく知りたい方はこちらです。
デジタル化できないものもある
2023年1月現在、全ての契約書が電子化できるわけではありません。例えば、「定期借地契約」「訪問販売等に係る契約」などは電子契約書が利用できないため注意が必要です。
しかし、2022年5月に、それまで書面での作成を義務付けられていた不動産に関する契約書の電子化が可能になるなど、徐々に法整備が進められています。
現在は電子化できない契約書も、将来的には規制が緩和される流れになると考えられています。
電子帳簿保存法でタイムスタンプが必要かどうかについて、詳しく知りたい方はこちらです。
電子契約書作成の際の注意点
電子契約書は、収入印紙が不要になるだけでなく、ペーパレス化につながる・検索しやすくなるといったメリットがあります。
一方、気をつけなければならない点がいくつかあるので、見ていきましょう。
契約書を作る際は相手の同意が必要です。また、作成日時や改ざんされていないことを証明するために、タイムスタンプの埋め込みが必要となります。
電子署名には2種類あります。
・一般的な電子サイン:紙契約の認印と同等
・電子署名:一般的な実印+印鑑証明と同等
一般的な電子サインの場合は、メール承認などで行えるため手軽です。一方、電子署名の場合は、第三者機関である認定印に電子証明書を発行してもらわなければならず手間がかかります。
電子サインは手軽ですが、電子署名の方が法的効力の高い署名となる点を把握しておきましょう。
収入印紙を購入する場合のポイント
収入印紙は200円のものから高額なものまで多くの種類があります。普段収入印紙を扱わない場合、どこで売っているのかわからないということもあるでしょう。
ここでは、購入できる場所、間違えた場合の対処法など、購入時に気を付けるべきポイントについて解説します。
購入できる場所の把握
収入印紙が購入できる場所の主なものは次のとおりです。
・郵便局
・法務局
・役所
・金券ショップ
商店などで販売していることもあります。なお、コンビニで扱っているものは200円の収入印紙のみの場合がほとんどです。それ以外の収入印紙を求める場合は、郵便局や法務局などがいいでしょう。
コンビニを通して必要な額面の収入印紙を取り寄せることも可能です。時間に余裕がある場合は、取り寄せを検討してもよいでしょう。
経費にできる
収入印紙は会計上、経費として処理できます。一般的な科目は「租税公課」となります。買い置きしてしばらく使用しない場合は「貯蔵品」となります。
また、原則として消費税は非課税です。しかし、金券ショップで買った場合は、消費税が課税されます。会計処理をする時は気を付けましょう。
間違った場合は交換可能
誤って収入印紙を購入して、困ることもあるでしょう。未使用の収入印紙は、郵便局で交換できます。その際、1枚につき5円の交換手数料がかかります。
契約書や領収書などの課税文書に誤って、過大な収入印紙を貼った場合は、税務署で還付を行っています。収入印紙を貼り付けた文書を税務署に持っていき、相談してみましょう。
一度契約書を作成し契約が成立した後解除・取り消しとなった場合は還付の対象になりません。
まとめ
印紙税を支払うために発行される証票を収入印紙といいます。課税文書に該当する契約書や5万円以上の領収書に貼り付けます。記載された金額により、収入印紙の額は異なるため注意しましょう。
郵便局やコンビニをはじめ、様々なところで購入できます。
会計処理をする時の勘定科目は一般的に「租税公課」となります。なお、デジタル文書で契約する場合や領収書を発行する場合は収入印紙の貼り付けは不要です。
収入印紙の貼り付けの手間やコストを削減したい場合、デジタル文書化を検討してみてはいかがでしょうか。
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