経理業務を電子化すべき理由やその課題とは
公開日:2023/6/23
経理電子化が求められる理由として、2022年1月に改正された電子帳簿保存法への対応があります。紙をメインとした経費業務が限界を迎えており、変化を求められているといえるでしょう。
では、 経理業務を電子化したすべき理由とその際の課題にはどのようなものがあるのでしょうか。
本記事では、 経理業務を電子化すべき理由とその課題について詳しくみていきましょう。
経理とは何か
経理とは、簡潔に言えば企業内のお金の流れを管理する部署や部門のことです。例えば、次のような業務は全て経理の仕事内容だといえます。
・日々の帳簿付けと経費精算処理
・月間の給与支払いの計算
・年間の決算書の作成
企業規模が小さければ、勤怠管理や在庫チェックなども行う総務の役割も担うケースがあるものの、企業の数字を扱うため間違えられない業務だといえます。また、次のような場合は手間と時間が多くかかっており、早急な対応が必要な状況だと判断できるでしょう。
・作業内容の全てを人力でチェック業務している
・経費精算の修正を担当者まで直接手渡しにいく
・データと連動するシステムが存在しておらず決算では全てをゼロから計算する必要がある
経理部について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
経理部とはどんな部署?仕事内容や問題点と解決方法を解説
仕事サイクル
経理業務のサイクルは日や月間などの単位ごとに異なります。例えば、次のようなサイクルを組み合わせている点は知っておきましょう。
・日々の経費精算の帳簿付け
・買掛金と売上金の計算
・現金の出し入れがあった場合は現金出納帳の記入と帳簿付け
・取引先の入金確認
・月末の給与支払いに伴う計算
・毎月10日までに計算して所得税を税務署に支払う
上記の業務は一部ですが、日々 しっかりとした計算を行っていなければ決算書を作ることが難しくなってしまいます。そのため、経理は常に適切な処理による数字の算出・記入、チェック・データや領収証の保存が求められる職種だといえるでしょう。
事業規模、業界ごとの違い
会社の種類は大きく分けて中小企業と大企業に分けられます。事業規模が大きいほど経理業務の負担は大きくなると想定できることから、スムーズで効率的な処理のために、経費精算・会計システムやツールの使用が推進されている状況です。
業界ごとの違いに焦点を当ててみると、経理担当者が小売・製造業の棚卸作業、製造コスト計算まで行うケースもあります。
経理の業務内容について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
経理電子化とは
経理電子化とは、請求書や経費精算書など紙を使った業務が中心の経理業務を電子データによってペーパーレスにすることを意味します。そのため、データをやり取りできる仕組みや 業務フロー を変更する必要があるため、できる範囲から取り組んでいくことが求められています。
また、電子帳簿保存法では、ペーパーレス前提の保存方法であるため、これまでの保存方法ではそもそも要件を満たせないことも想定されるでしょう。
経理電子化が必要な理由
ここからは、経理電子化が必要となる最大の理由である電子帳簿保存法について詳しくみていきましょう。全ての企業が対応する必要があり、 場合によっては使用するシステムや ツールなどを対応できるものに変更しなければなりません。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法は、国税関係帳簿書類を電子データで保存することを認めるという法律です。1998年に施行され、IT技術の発展や企業のIT化に合わせて何度か改正されています。
2022年1月からは、ペーパーレス化促進を目的とした改正が施行されています。これまでとの大きな違いは、電子データで作成したものと電子データで受け取ったものはそのまま電子データで保存する必要がある点です。
対象となる書類と保存方法
対象となる書類は国税関係帳簿書類で、具体的には以下のような書類が当てはまります。また、書類の内容によって対象となる保存方法に差があります。
・国税関係帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳など)……取引の記録。電子帳簿保存
・国税関係書類の決算関係書類(貸借対照表、損益計算書、棚卸表など)……決算のために作った書類。電子帳簿保存
・国税関係書類の取引関係書類で自ら発行したもの(領収書や請求書、発注書の控えなど)……電子帳簿保存
・国税関係書類の取引関係書類で相手から受け取ったもの(領収書、請求書、発注書)……スキャナ保存
・電子取引(電子決済、メールデータなど)……紙ではなく電子で完結する取引。電子取引データ保存
・手書きで作成した書類は従来通り紙での保存になり、電子帳簿保存法は適用されません。
保存方法は次の3つです。
電子帳簿保存 | パソコンで作ったデータをハードディスクやDVD、クラウドサービスのサーバなどに保存する |
スキャナ保存 | スキャンしたり、スマホで撮影して電子データに変換して保存する。訂正や削除は履歴が残るシステムを使ったり、タイムスタンプを付与するなど、改ざんなどの不正がないように細かな要件がある |
電子取引データ保存 | メールやクラウドサービスを使って受け取ったものは、そのまま電子データで保存する。改ざんができないクラウドサービスであればタイムスタンプは不要 |
電子帳簿保存法について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
経理電子化のメリット
ここからは経理電子化のメリットについてみていきましょう。ほとんどの業務がデータを取り扱うことで、自動的に進行していくため、 経理業務のフローが大きく変わる企業も多いといえます。
DX戦略について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
業務効率化が進む
経理電子化によって次のように紙の書類を扱う手間や時間によるデメリットがほぼなくなるため、業務効率化が進みます。
・データを印刷する手間がなくなる
・印刷した書類を送付する手間がなくなる
・紙の書類をファイリングするなど、管理の手間がなくなる
・データの検索がしやすい
・紛失によるトラブルが少ない
あらゆる手続きに関してメールでデータを送付したり、ファイル共有サービスを使って転送したりするため、業務効率化につながるといえるでしょう。郵送にかかる時間が不要になり、タイムラグを気にする必要もなくなります。
また、紙の書類のファイリングに多くの時間を使っていた企業にとっては、大幅な業務削減になるでしょう。取引相手が多くなればなるほど書類も多くなるため、大企業ほど経理電子化のメリットを感じられるといえます。
電子データは保存する場合、保存した日時や取引先、ファイル名など条件が決められているため、今後より探しやすくなるでしょう。
書類紛失によるトラブルが少ない点でも経理電子化はメリットです。例えば、経費精算時に添付が必要な領収書を紛失してしまうトラブルは頻繁に発生します。しかし、領収書を受け取りスマホで撮影しスキャナ保存状態のデータに変換すれば紛失のリスクは低減します。
テレワークに対応しやすい
電子化していない経理業務は、機密情報を扱った書類を印刷し、判子を押す業務がありました。テレワークだけで業務を完結させられず、オフィスに出勤していたケースも想定されるでしょう。
判子に関しても電子印で対応できるものが増加しつつあり、必ずしもオフィスに出勤する必要がなくなりつつあります。例えば、どうしても出勤する必要がある場合も基本的にテレワークを行いつつ、月に1回でも出勤すれば処理できるといった体制を整えることも不可能ではありません。
コスト削減
紙を扱わなくなるために、以下のようなコストが削減できます。
・紙代・インク代・封筒代
・郵送費
・ファイル代・キャビネット代・保管場所代
・人件費
・時間
紙の印刷と郵送に関わる費用が不要になります。1つ1つはそれほど大きくありませんが、扱う数が多い場合は無視できません。また、目に見えやすいのは管理に関わる費用です。特に保管場所代がかからなくなる点が大きいと感じる企業は多いでしょう。
人件費に関しても、取引相手が多いほど郵送とファイリング作業の人件費が高騰しがちでした。しかし、電子化が進めば、データによる確認・送付だけで業務が進むため、時間的コストの削減にもつながります。
経理担当者の負担が減る
経理電子化をすることで経理担当者の負担が大幅に軽くなる点はメリットです。経理業務は企業全体のお金の流れを管理するだけでなく、間違いが許されない業務でもあります。そのため、紙で提出された請求書はわざわざ本人に差し戻す必要もありました。
しかし、経理電子化によってミスや書類の紛失が減るため、担当者が業務を進めやすくなります。仮に差し戻しとなった場合でも ツールやシステム上で行えることから経理業務担当者の負担を軽減することが可能です。
また、マニュアルを動画で用意するなどの工夫でより分かりやすく解説すれば、書類作成時に記入漏れも防ぐことが可能となります。
経理電子化の課題
ここからは、経理電子化を進めるにあたって課題となる項目についてみていきましょう。特にデータの保存形式は電子帳簿保存法に合わせる必要があるため、よく確認した上で手続きを行う必要があります。
データ保存の形式を電子帳簿保存法に合わせる
売上や仕入れ台帳などの国税関係帳簿は、全て電子帳簿保存法の保存形式を満たす必要があります。例えば、スキャナ保存の場合は「解像度が200dpi以上、赤・緑・青の階調が256階調以上」で保存しなければなりません。タイムスタンプの付与においても不要なものと必要なものがあるため、よく確認しましょう。
ワークフローの見直しが必要
経理電子化を進めた場合ワークフローの見直しも必要となります。 例えば、提出した書類のチェックにおいてもフローが決まっていた場合、その業務が丸ごとなくなる可能性も否定できません。
事前に研修や説明会などで、何がどのように変化するのかを解説しておくと現場の混乱を最小限にできるでしょう。
紙での経理業務をゼロにはできない
経理電子化になっても、完全なペーパーレスが実現するわけではありません。紙で管理しなくてはならない経理業務は残るため、紙の業務と電子業務が混在することになります。
特に経理業務は取引先とのやりとりが多く、取引先が経理電子化できないのであればメリットが少ないと考える企業も多いです。しかし、電子帳簿保存法に対応しなければならないことから準備は進めておくべきだといえるでしょう。
セキュリティ対策
全ての書類を紙で管理している場合は、倉庫やキャビネットの鍵の管理を徹底し、盗難に注意を払うことで情報漏洩を防ぐことができました。しかし、電子化した場合は、セキュリティ対策の不備や人的ミスで情報漏洩が起きるリスクがあります。
経理に関するデータには機密情報も多いので、第三者からの攻撃も考えられます。経理電子化ツールを選ぶ際には、使い勝手などの機能だけでなくセキュリティ対策も重視して選定することが大切です。
smartGo®Stapleなら経理電子化が可能
経理にはさまざまな業務がありますが、電子化をするなら従業員の混乱が少ないようにスモールスタートがおすすめです。中でも、請求・精算業務の電子化は業務効率化に繋がり、従業員が経理電子化のメリットを実感できます。
smartGo® Stapleは交通費精算と立替精算を電子化するサービスです。
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・立替精算……必要な社員に法人用プリペイドカードを配布するため、従業員が立て替える必要なし。経費申請は領収書を写真に撮ってアプリで送信するだけで完了
スマートフォン向けに設計された使いやすいユーザーインターフェースであるため、すぐに利用可能です。
まとめ
経理電子化とは、請求書や領収書などの経理業務を紙の書類から電子データを使ってペーパーレスにすることです。2022年1月に施行される電子帳簿保存法では、電子データで作成したものや受け取ったものに関しては電子データのまま保存することが義務付けられます。今までのように紙に印刷して保存しておくことができなくなったので、経理電子化が必要になりました。
経理電子化は業務効率化やテレワークに対応しやすいというメリットがあるものの、導入コストやセキュリティ対策という課題もあり、簡単に進めることはできません。
NTTコミュニケーションズが提供するSmartGo® Stapleは、交通費精算と立替精算を電子化するサービスです。使い方も簡単で、精算業務が効率化でき、経費の立替がなくなることで従業員の負担が軽くなります。経理電子化を成功させたい企業はSmartGo® Stapleを利用したスモールスタートを検討してみましょう。
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