2012年ダイアログ

私たちは、さまざまなステークホルダーとの対話の機会を設け、コミュニケーションを深めるべくダイアログを実施しています。
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ダイアログ

社会のニーズに即し進化する、私たちならではの貢献

社会のニーズに即し進化する、私たちならではの貢献

私たちは現在、経営指針「ビジョン2015」(注1)に即し、グローバルなICTプレーヤーとして社会の発展に貢献する事業を推進しています。
今回は、私たちならではの「社会に貢献しつつ、自らも成長する」CSRの現状と今後につき、CSR委員長が考えるビジョンを外部有識者とともに議論しました。

1、現場のポテンシャルを感じた2012年

井爪
CSR委員長に就任して一年目の2012年を終え、御社グループのCSR活動につき、どのようなことを感じられましたか?
まずは手探りの一年目でしたが、自分としてはふたつの視点を持つに至りました。
第一は、持続可能な社会づくりに企業が果たす役割への期待が高まるなか、社会に貢献する製品・サービスについて検討し提供しているといったことを、もっと積極的に発信するべきではないか?という視点です。第二は、事業活動において責任ある行動を徹底していることについても、ESG(環境・社会・ガバナンス)などの非財務情報もふまえ一層の説明責任を果たしたいという視点です。2012年はいずれにおいても最善を尽くしましたが、CSR委員長として両者の重要性を日々実感しています。また、私たちの事業活動の現場を見渡すと、まだ発信できることも多数あると感じています。
井爪
ご指摘のふたつの視点は非常に大切であり、また相互につながった課題といえます。
前者の視点は「攻めのCSR」、後者の視点は「守りのCSR」とも呼ばれ、現在、多くの企業がこれら攻守両面を意識したきめ細かいCSR情報発信を模索しています。この動きは、企業が事業活動の中でCSRと位置づけて取り組んでいる内容、言い換えると「事業を通じたCSRの実像」とも言うべき事柄をさまざまな視点で明確にして欲しいという社会からの期待の高まりを背景としています。ご存じのとおり、CSRの情報発信には、CSR重視経営のベクトルや企業の思いを伝える「コミュニケーション」と、企業活動の結果を詳細に開示する「ディスクローズ」のふたつの側面があり、それぞれ攻守のバランス良い取り組みが期待されます。私も御社グループの現場にはさらに発信できる事柄が多くあると感じます。
おっしゃる通り、「事業を通じたCSRの実像」を明確に示すことこそ大切だと考えています。その意味では、「社会の改善に貢献する事業を積極的に展開し、その結果として事業の成長と社会への寄与を多面的に両立する」というCSV(共有価値の創造)(注2)の考えが世界的に広がりつつあることに注目しています。
井爪
CSVの視点は、もちろんCSR活動のすべてにあてはまる訳ではありませんが、「攻めのCSR」と呼ばれていた考え方を補い高めるものとして存在感を増しています。この視点も加味すると、御社の本業での取り組みは、社内・社外の幅広いステークホルダーの皆さまに、御社グループならではの取り組みとして多面的に理解いただけると思います。

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2、ビジネスのソーシャルな側面で、多様に個性が発揮されつつある

森
今ご指摘いただきました点、私たちは、かねてよりグループの強みが発揮できる「私たちならではのCSR」を重視していますが、社外の目線に立った時、その特徴は、どのようなものと見えますか?
井爪
前回、現場の皆さんとのダイアログにも参加しましたが、ふたつのことを感じています。第一に、通信キャリア事業は「事業を通じ社会に貢献する」側面が強い事業である、という点です。世界はボーダレス化・高度情報化し、ICT無しで日常生活もビジネスも成り立たないといっても過言でない時代に至っています。また、持続可能な社会の発展に向け、ICTは重要で、日々、社会の期待が高まっています。
先進国においては、より安心・安全で環境負荷の低い社会の実現、途上国においては、地域格差の是正に貢献する情報通信インフラの整備など、私たちは常に社会を支えることを業としています。今やICTは空気のごとく身の回りに浸透し、皆さまに実感いただく機会は少ないかもしれませんが、だからこそ、私たちは社会に重要な使命を負っていると、社員全員が実感しています。
井爪
そうですね。それこそが私の思う第二の特徴、現場の皆さんに浸透している、ソーシャルなビジネスを多彩に実践する気風です。昨年の海野前CSR委員長と斎藤槙さんとの対談でも、企業全体でソーシャルなビジネスを推進するという空気が示されましたが、私もこれは御社グループの現在の素晴らしい特徴だと思います。
法令順守や公正な取引などはもちろんですが、「社会にさらに貢献できること」を常に考え業務にあたることは、行動規範(OBP)(注3)にも通じる私たちの姿勢です。この精神が、グローバルな現場で発揮されています。各地のキャリアと共同し、世界の情報通信の大動脈である国際ケーブル網を構築する、ビジネスを変革するサービス群を開発する、そして最先端の環境性能を持つ設備を徹底する。日々、実に多岐にわたる成果が生まれています。
井爪
これらは御社グループの事業を通じたCSRの「個性」といえます。引き続き、社会に向けて積極的に情報発信して欲しいと考えます。

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3、「未来に、世界に、私たちならではの価値を共有する」挑戦が加速する2013年

井爪
井爪
2013年に向け、事業を通じた社会への貢献として、特に重視したいと考えるものを、挙げてください。
1つめは、データセンターのグリーン化のさらなる推進です。現在のICT社会において、データセンターが担う役割は重要で、それ故に社会全体での環境負荷低減に対するインパクトも大きいといえます。私たちは、世界でも有数のデータセンター群を保有しています。このデータセンター群の環境性能を引き続き向上することで、環境問題に価値を提供しつつ、私たちの事業の強みを伸ばしていこうと思います。今年オープンしたシンガポールの「セラングーンデータセンター」(注4)はその環境性能で数多くの評価を頂戴しましたが、今後も世界のベンチマークとなるようなグリーンデータセンターの取り組みを続けていきます。
2つめは、クラウド技術を活用した新しいICTサービスの開発・普及です。クラウドはネットワーク社会を大きく変えつつあります。このICTの新しい力を日常生活やビジネスに活かすサービスを作り上げることは、より便利で効率的な社会の実現と私たちの成長とを両立する、win-winな取り組みといえます。私たちはこれをグローバルクラウドビジョン(注5)として、グローバルに展開していきます。
3つめは、アジア地域への積極展開です。現在の事業ビジョン「ビジョン2015」が重視する市場であるアジア地域には情報通信インフラに対するニーズが高く、またすでに実施しているインドネシアでのBOP層への教育支援プロジェクト(注6)などのように、私たちの事業が貢献できるフィールドが数多く存在すると感じます。
井爪
ご指摘の3点は、社会の課題を起点に製品・サービスを考える、という色彩が強く、社会と企業とのwin-winを重視するCSVに通じるものですね。これらを推進するにあたっては、社会の視点をわかりやすく加味し、製品・サービスづくりに活かす仕組みを構築してはいかがでしょう。例えばキーワードとして「安心安全(Safer)」「環境負荷低減(Greener)」「誰でも、どこでも(More Accessible)」 などを定め、それぞれに即し「社会に貢献する製品サービスづくり」という切り口を設けてラインアップを検証していくなど、内外の幅広いステークホルダーが共感しやすい枠組があると取り組み促進の一助となるのではと思います。
興味深い視点ですね。これらの挑戦は、私たちのみの力では成し得ません。お客さまやビジネスパートナー、幅広い社会の皆さまの理解とご支持を頂戴するには、「わかりやすい切り口」が必要だと私も考えています。世界に向け、または未来に向け、私たちならではの価値を実現し、社会の皆さまと共有してゆくことは、「ビジョン2015」の基盤である共有価値の考えそのものです。これからも工夫を続けていきたいと思います。
井爪
この点こそが、今年のCSRレポートの第三者意見で言及された「つなぐ・ひろげる」から「つなぐ・ひろげる・共有する」へのステップアップにもつながるのではないでしょうか。素晴らしい成果を期待しています。

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注1:ビジョン2015
2011年5月に制定された、NTTコミュニケーションズグループの2015年に向けた経営戦略。
詳細URL https://www.ntt.com/about-us/we-are-innovative/vision.html

注2:CSV (Creating Shared Value)
マイケル・ポーター教授らが提唱する経営理論。社会の課題解決に貢献する事業をステークホルダーと共に展開し、企業は社会と価値を共有する仕組みを作るべきという理論。

注3:OBP(Our Business Principle)
NTTコミュニケーションズグループの社員一人ひとりが理解・共有すべき理念を明文化したもの。

注4:セラングーンデータセンター
2012年4月、シンガポールにオープンしたデータセンター。環境配慮技術を随所に配し、内外でさまざまな評価を得ている。

注5:グローバルクラウドビジョン
クラウド技術を活用し、国際通信事業者ならではのグローバルシームレスなサービス群を世界に先駆けて開発・提供するというビジョン。

注6:インドネシアでのBOP層への教育支援プロジェクト
日本の教育事業者と連携したICTによる教育環境の構築

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