特集
社会のDXを支え、
カーボンニュートラルに貢献する
データセンターサービス
NTTコミュニケーションズは、安心・安全・高品質なデータセンターサービス「Nexcenter」の提供を通じて、企業のDX推進や社会のICTインフラを支えています。ますます高度化かつ複雑化するICT環境をスマートに運用・管理し続ける、デジタル時代に不可欠なインフラであるデータセンターサービスの“今とこれから”について特集します。
社会に不可欠な存在となったデータセンター
データセンターは、サーバーやネットワーク機器の設置・運用に特化した専用施設です。企業などのお客さまはデータセンターを利用することで、自前でサーバーを保有・運用するよりも安全にデータを保管・活用でき、強固なセキュリティを確保できるメリットがあります。NTTコミュニケーションズでは、2000年代よりデータセンタービジネスに参入し、国内70拠点超の施設を運営しています。
「Nexcenter」は、地震や水害などの自然災害リスクが少ない立地上に建設された免震や耐震・防火設備を備えた堅牢な建物において、冗長構成の電力・空調・通信設備によって、高い事業継続性を誇るコロケーションサービスです。入館などの各種申請、作業依頼、契約ラックの確認・問い合わせまでを専用ポータルから一元管理できるほか、お客さまのシステム基盤をICTマネジメントに精通したスタッフによる万全なセキュリティ体制のもとで運用しています。
また低遅延・大容量通信、複数のクラウドサービスとのシームレスな連携により、システム拡張が柔軟かつ迅速に行えることも特長となっています。さらには省エネ型設備の導入により、安定した電力を低コストで利用できることもメリットと言えます。
近年のデータ処理量・通信量の急激な増加に応じたデータセンター需要の拡大は、時代の要請であり、今や不可逆的な流れと言えます。AI・IoT・VR・5G・クラウドといった最新テクノロジーの活用はネットワークに膨大なデータを生み出しますが、データセンターにとっては電力使用量の大幅な増大とさらなる処理能力アップの必要性を意味します。データセンターにおける電力消費量は世界全体の1~2%を占めるとされ、今後の生成AIなどによる爆発的な成長を勘案すると、現行の技術ベースでは、2040年で15~20倍程度の増大(対2022年比)が見込まれています。データセンターにおける電力消費量が増大している一方で、世界ではカーボンニュートラルの目標が定まっており、データセンターにおける省エネは喫緊の課題となっています。
こうした中でNTTコミュニケーションズグループは「2030年度カーボンニュートラル(Scope1,2)」実現を目標に掲げ、ノウハウを結集した最新鋭のデータセンターの設計・構築や先進技術の導入によって省エネを推進し、環境負荷を低減させてきました。今後もさらなる技術革新、サービスの充実を通じて社会全体のカーボンニュートラルに貢献していきます。
データセンターが直面する社会課題とNTTコミュニケーションズのソリューション
より効率的な冷却設備の実装・開発の推進
データセンターの膨大な消費電力のうち約20 ~ 30%を占めるのが冷却用設備です。生成AI やGPU クラウドの台頭に呼応してシステムが高性能化し、データ処理量の急増に伴って非常に多くの電力を消費することで、超高発熱機器が集積するデータセンターでは、機器の冷却・排熱処理が課題となっています。
NTT コミュニケーションズは、従来の空冷方式のみならず、液冷方式を採用することにより、お客さま機器の高発熱化への対応を進めるほか、ラックに取り付けたセンサーとAI エンジンによる最適な空調のリアルタイム制御など、最先端技術を活用した設計により、消費電力の大幅な削減を実現しています。
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壁面吹き出し空調方式
壁面裏に設置した空調機から室内に直接冷気を送風。ラックから排熱される暖気と気流の完全分離により、空調効率を向上。
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Smart DASH
ラックに取り付けたセンサーとAIエンジンによる空調のリアルタイム制御により、電力の無駄を最小化し、空調消費電力を最大30%削減。
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太陽光発電パネル
データセンター建物の屋上や壁面に大型パネルを設置して自家発電を実施。発電した電力は館内の照明やオフィスの空調などに利用。
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間接蒸発冷却式空調
外気条件に応じて3つの最適な冷却モードを切替えて運転する超高効率空調システムにより、空調電気消費量を大幅に削減。
次世代データセンター「Green Nexcenter™」を推進
日本国内ではITバブルと言われた2000年代に建設されたデータセンターの老朽化と陳腐化が顕在化しています。生成AIやGPUクラウドなど、従来に増して消費電力・発熱量が増大するデータセンターの利用形態が加速し、より熱いものを省電力で冷却する設備が必要となる中で、旧来設備のデータセンターでは対応が難しくなっています。そこでNTTコミュニケーションズは、既存データセンターに液冷方式の最新省エネ技術を導入するなど、既存資産をできる限り活かしながらリノベーションするプロジェクトを推進。併せて、新規データセンターにおいても高出力・高発熱サーバーの需要拡大に対応する次世代データセンター「Green Nexcenter™」を展開していきます。
「Green Nexcenter™」とは、「再生可能エネルギーを活用したゼロカーボン」と「液冷方式による高発熱サーバーに対応した超省エネコロケーションサービス」を組み合わせた国内初の最新鋭のデータセンターサービスです。設計段階から高発熱対応を前提とし、生成AIやGPUなどの高発熱サーバーに対応するとともに、従来の空冷よりも効率的な液冷を用いることでpPUE※11.15の優れた電力使用効率を実現します。また、データセンターの電力は再生可能エネルギーを利用することで脱炭素にも貢献します。その第一弾として2024年度内にオープン予定なのが、既存データセンターの一部エリアのリノベーションにより首都圏ニーズに早期に対応する横浜第1データセンターです。また関西圏においても、既存データセンターのリノベーションによるGreen Nexcenter™化を検討しています。災害の多い日本では、データセンターに適した立地は限られており、旧来の立地や建物を活かせる点でもメリットが大きく、こうした再生型のデータセンターの需要は今後も継続すると考えられます。さらに2025年度内に液冷方式対応を標準装備した京阪奈データセンター(仮)を新規オープンします。将来的には、揺らぎの少ない超高速かつ超低消費電力を実現する最先端の光伝送技術IOWN®を搭載したデータセンターを展開する計画です。
※1 パーシャルPUE(Power Usage Effectiveness)。モジュールや部屋単位など特定部分での電力効率の効率性を示す
※2 Coolant Distribution Unit
グリーンデータセンターを通じたカーボンニュートラルへの貢献
NTTコミュニケーションズは、グリーンデータセンターをはじめとするGXソリューションの提供を通じて環境価値を生み出し、お客さまひいては社会のカーボンニュートラル達成に貢献していきます。
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プラットフォームサービス本部
クラウド&ネットワークサービス部
第二サービス部門 部門長
松林 修 -
先進のデータセンターサービスで社会変容に応える
生成AIの出現は、これからの人々の働き方、ビジネス、IT基盤のあり方そのものにも変革をもたらす現代の黒船と言っても過言ではありません。今後、生成AIやGPUクラウドなど電力を大量に使用するデータセンターの利用形態が急速に加速し、高発熱サーバーが一般化する可能性が高まっています。加えて、昨今の地政学リスクなどの影響による電気代の高騰、地球温暖化による激甚災害の増加、企業のESG投資意欲向上などの社会背景のもとで省エネ化や脱炭素社会の実現に向けた機運が高まり、その対応はこれまで以上に必須事項となっていくでしょう。例えば今後オンプレミス※の形態は、省エネ化と高発熱サーバーへの対応が同時に必要となり、コスト面での負担が大きくなると考えられます。NTTコミュニケーションズはこれまでデータセンターサービス「Nexcenter」の提供を通じて、ICTインフラを支える役割を果たしてきましたが、データセンターのあり方も社会変容を踏まえて大きく変わるタイミング、過渡期を迎えていると言えます。私たちは2024年度以降、これらの課題解決に向けて高発熱対応の超省電力かつ再生可能エネルギーを活用した次世代型データセンター「Green Nexcenter™」を順次市場に投入していく予定です。企業をはじめとするお客さまにとってはNTTコミュニケーションズのデータセンターをご利用いただくことが、脱炭素化に向けたESG経営の促進をサポートする「環境価値」を生み出すことに直結するものと捉えています。データセンターサービス事業は、NTTグループ全体で2040年度カーボンニュートラルを目指すうえでも大きな核となる事業であり、社会全体の発展とサステナビリティを支える重要な基盤提供を力強く推進していきます。
※ サーバーなどの情報システムの自社運用