CASE of Re-connect X 03
空調消費電力を半減
新冷媒を用いた
世界初の冷却システム
データセンターの
消費電力削減が急務
社会全体のICT化の進展に伴いサーバーやネットワーク機器が数多く稼働するデータセンター(以下、DC)の消費電力が増加しています。DCの消費電力の約30%を占める空調使用電力については削減効果が大きいことから、削減に向けた取り組みの推進が期待されています。現在、DCの熱エネルギーマネジメントは、空調用冷媒として使用が認められた代替フロン(HFC)による対応として、すでに限界まで突き詰めたものとなっています。高圧ガスである代替フロンは有資格者による管理コストがかかり、政府もHFCの生産量そのものを削減していく方針を示すなど課題を抱えています。
ノンフロン冷媒による
画期的な冷却システムが誕生
NTTコミュニケーションズと日本電気(以下NEC)は、DC内の通信機械設備の空調向けに低圧ノンフロンの新冷媒を用いた世界初の冷却システムを開発しました。新冷媒はオゾン層破壊の影響がなく、難燃性かつ低毒性という特徴を持ち、高圧ガス法規制の対象外でもあります。2019年11月~2020年7月に弊社DCで行った共同実験では、従来の冷却システムと比して空調消費電力を半減できることを実証しました。従来システムが部屋全体を冷却するのに対し、新システムはラックごとの局所空調を採用。装置排気熱が一列にまとまるようラックを配置し、効率的に集めた熱を「相変化技術」を活用して屋外へ熱を逃がす、新しい発想にもとづく仕組みには、弊社が培ってきた熱マネジメントシステムのノウハウが結集されています。またシステム構築にあたっては、既存フロアやサーバルームへの後付けでの設置が容易な構造とし、汎用性も確保しました。
空調システムの新たな主軸として、
地球環境に貢献
新冷媒を用いた冷却システムは、2023年にNECでの製品化を目指しており、排出熱を活用した温水、発電、農業といった2次利用への展開も検討しています。将来的には病院や複合商業施設など大規模な冷却設備を必要とする施設にも提供予定です。従来空調機から本システムへ切り替えた場合、1,000台あたり年間55GWhの電力使用量、CO2に換算すると年間3万トンの削減効果が見込まれます。その普及には大幅な消費電力削減および地球環境負荷の低減への貢献が期待されます。
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インフラデザイン部
インフラ部門
主査
都筑 章雄本プロジェクトは約5年前からNECと共同で取り組んできたもので、地球温暖化の解決と持続可能なビジネスとしての両立を目指しています。この新たな空調システムによる環境負荷低減効果は、決して小さくはありません。弊社が推進する社会全体のDXをより一層加速させていく意味でも、熱ソリューションビジネスとして、カーボンニュートラルに貢献していきます。
※本記事の内容は2021年12月現在の事実に基づくものです。