2015年6月5日
WebRTCプラットフォーム「SkyWay」
国内初のiOS/Androidアプリ用WebRTC機能開発キットを無償公開
NTTコミュニケーションズ(略称:NTT Com)は、WebRTC*1技術を簡単に活用できる無償プラットフォーム「SkyWay*2」を用いたiOSおよびAndroidアプリ用の開発キット「SkyWay iOS/Android SDK*3」を、2015年6月5日から提供開始します。WebRTCのプラットフォームにおける、スマートフォン向けのSDKの提供は国内で初めてです。
1.背景
「SkyWay」は2013年12月に国内初のWebRTCプラットフォームとして公開を開始しました。これまでパソコン向けWebブラウザなどのJavaScriptが動作する環境で利用可能な開発環境を提供し、開発登録数は1,800*4を超え、様々なシーンで活用されています。
このように多くの方々にご利用いただく中で、iOS/Androidのネイティブアプリ*5開発においても「SkyWay」を利用したいというご要望が寄せられていました。現時点では、iOSのSafariとChrome、およびAndroidの一部バージョンのブラウザではWebRTCをサポートしておらず、iOS/Android環境においてWebRTCの機能を利用することが難しいためです。
2.「SkyWay iOS/Android SDK」の特長
従来、iOS/Android向けのネイティブアプリにWebRTCの機能を実装するためには、シグナリング用のサーバー構築に加え、開発者自身がWebRTCライブラリを構築する必要がありました。本SDKはSkyWayとして提供しているWebRTCのライブラリやシグナリングサーバーをスマートフォン向けアプリの開発においても利用できるようにするもので、スマートフォンアプリへのWebRTCの実装を飛躍的に簡易にすることができます。
3.提供方法
SkyWayのWebサイト(http://nttcom.github.io/skyway/)よりダウンロード可能です。
4.SkyWayの活用事例
現在SkyWayを活用した様々なサービスの提供が始まっています。対応ブラウザにおいて、専用のアプリケーションやプラグインをインストールすることなく、ビデオ通話やデータ通信などの機能が利用できる点や、P2Pでリアルタイムな通信ができる点など、WebRTCならではのメリットを生かしたサービスが登場しています。
(1) 日本科学未来館:エデュケーショナルロボット「Romo*6」を組み合わせた新しい親子コミュニケーションへの活用
日本科学未来館の「”おやっ?”こひろば」において、「Romo」と「SkyWay」を活用して、「Romo」を遠隔から親が操作し、ロボットを通じて子供と対話するといった、新しいコミュニケーションを体験できるイベントを実施しました。
本件は、今回一般公開した「SkyWay iOS SDK」を利用した初のユーザートライアルです。
(参考) 報道発表資料
WebRTCプラットフォーム「SkyWay」と体験型のエデュケーショナルロボット「Romo」を組み合わせた親子向けトライアルイベントを日本科学未来館で開催
(2) 株式会社妻鳥通信工業: コンタクトセンタ向けサービスやビデオ会議サービスの開発にSkyWayを活用
Webページをクリックするだけで企業のオペレータと通話できるサービス「Webが窓口」や、ビデオ会議サービス「SkyRTC」を開発、提供しています。ブラウザ間でビデオ通話や画面共有を行うために「SkyWay」が活用されています。
(3) アスラテック株式会社:ロボットOS「V-Sido」の遠隔操作
人型ロボットの動作や姿勢制御を容易にするOSである「V-Sido」を遠隔操作するプラットフォーム「Web Controller for V-Sido CONNECT」にて、遠隔からリアルタイムに操作指示をするために、「SkyWay」が利用されています。今後も、より幅広い分野でのテレプレゼンス活用が期待されます。
(4)株式会社アカデミー:オンライン家庭教師の利用者向けの学習相談にSkyWayを活用
オンライン家庭教師サービス「amy」の利用者が、ブラウザからオンラインで学習相談ができるサービス「amyROOM(β版)」にて、学習者と教師をビデオ通話でつなげるために「SkyWay」が活用されています。
5.今後の展望
本SDKの公開により、iOS/Androidアプリ開発者はWebRTCを容易に利用できるようになり、P2Pの映像・音声コミュニケーション機能やデータ通信を手軽にアプリに組み込めるようになります。これにより、SkyWayの応用範囲が飛躍的に広がります。
NTT Comは、これからもアプリ開発者と連携しながら、社会を変革するようなイノベーティブなサービスの創出を目指していきます。
関連リンク
■活用事例について
- 日本科学未来館
- 「Romo」
- 妻鳥通信工業
- 「SkyRTC」
- 「Webが窓口」
- アスラテック
- 「Web Controller for V-Sido CONNECT」
- アカデミー
- 「amyRoom(β版)」
※ 各社の社名、製品名、サービス名およびサイト名は各社の商標または登録商標です。
*1:Web Real-Time Communicationsの略。パソコンやスマートフォンのブラウザやネイティブアプリで、サーバーを介さないPeer to Peerのリアルタイム通信(音声・データ)を実現するオープン技術。広義のHTML5の一つとして、W3CとIETFで標準化が進められている。
*2:NTT Comが無償提供する、WebRTC技術を活用するために開発したプラットフォーム。ソフトウェア開発支援サービスGitHub上でライブラリ・ソースコードを公開するなど、積極的にオープンソースプロジェクトに参加している。
*3: Software Development Kitの略。開発者がより効率よく簡単にプログラミングを行えるよう、必要なツールをまとめたパッケージのこと。
*4:2015年6月1日現在のAPIキーの発行数
*5: スマートフォンなどOSの機能を直接利用できるネイティブコードで記述されたアプリケーション。
*6: Romo(ロモ)はiPhoneアプリから様々な感情や動きを制御でき、プログラミング学習やオンラインビデオ通話機能など、様々な機能が利用可能な体感型のエデュケーショナル(知育)ロボット。