2018年10月16日
GPUサーバー向け超高発熱対応データセンター環境の提供を開始
〜国内初の30kW/ラックに対応した高信頼空調システムと、充実したネットワーク環境を完備〜
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下NTT Com)は、充実したネットワーク環境を備えた「東京第8データセンター」(以下 本データセンター)において、国内で初めて最大発熱量30kW/ラックに対応しつつ冗長性を確保した空調システムを導入することで、これまで不可能だったGPUサーバーのラックへのフル搭載が可能な環境を実現します※1。NTT Comはこの環境の提供を、本データセンターの一部で2018年度第4四半期に開始し、需要に応じて順次拡大していく予定です。
1. 背景
近年、AIや自動運転、3DCGなど、膨大な計算処理を必要とする技術のニーズが急速に高まり、これらを扱うGPUサーバーなどの運用が可能なデータセンターの整備が急務になっています。しかしながら、一般的なデータセンターのラックは通常のサーバーの発熱量である4〜10kW/ラック程度を想定した設計となっており、例えば1台で3kW程度の高発熱型のGPUサーバーは、1ラック内のスペースに十分な空きがあっても実質2〜3台しか設置できませんでした。今回、あらたに超高発熱機器の冷却が可能な高信頼空調システム(以下 本空調システム)の導入により、GPUサーバーのラックへの高密度設置を可能にしました。
2. 特長
(1) 超高発熱のGPUサーバーに対応
NTT Comはラックの背面扉に屋外冷却設備で作られた冷水を循環させて冷却する方式(リアドア型)を採用し、最大30kW/ラックまでの発熱に対応した環境を提供します。これにより、GPUサーバーのラックへの収容効率が高まり、ラック利用数の節減が可能になることから、お客さまの運用コストが削減できるだけでなく、GPUサーバー機器間を低遅延で接続することで、より高性能なパフォーマンスを発揮させることが可能になります。
リアドア型空調機のイメージ
(2) 冗長性を確保した高信頼の空調設計
本空調システムは、UPS(無停電電源装置)や非常用発電装置を利用することで、24時間365日無停止で安定した能力を発揮します。
また、リアドア型の課題にも対処した、国内初の画期的な気流設計により空調能力の冗長性を確保し、信頼性を向上しました。リアドア型の冷却方式では、万一空調機が故障した場合、排熱がラック内にこもりサーバー機器に障害が生じることが懸念されます。本空調システムでは、複数の空調機を互いに向い合せて配置し、正常機から排出される冷気を故障機から排出される高熱と混合して温度を下げる空間を設けます。これにより、空調機が1台故障した場合でもシステム全体で十分な冷却を維持することができるような冗長性を確保します。
さらに、漏水によるリスクを抑えるため、冷却水の配管は防水加工を施した二重床下へ設置し、漏水センサーによる監視を行うなど、徹底して信頼性を高めた設計を行なっています。
(3) 優れたネットワーク環境
本データセンターは、「Nexcenter™」※2が定めるグローバルで統一化された厳格な設備・運用基準に準拠しており、電力・空調・通信設備の冗長化や充実したセキュリティ対策を行っています。
また、高品質・高信頼なNTT Comの各種ネットワークサービス※3を低コストでタイムリーに利用することができます。例えば、首都圏や近畿圏で提供中のNTT Comの主要データセンター間をつなぐ最大10Gbpsの大容量・高速・セキュアネットワークを備えており、高品質かつ業界最安レベルの価格で利用可能です。これらのネットワークでNTT Comの国内外のデータセンターを接続することで、データ処理の地域分散、外部ストレージやクラウドとの連携、バックアップサイトの構築などが容易に実現できる、シームレスなGPUインフラを構築することができます。
3. 提供開始時期
2018年度第4四半期(予定)
4. 今後の展開
お客さまのニーズに応じて、コールドプレート方式※4や液浸方式※5など、消費電力を大幅に削減し、より効率的な冷却を可能とする、さまざまな次世代空調方式の導入も検討していきます。
NTT Comは、データセンターサービスのみならず、国内最大規模の1,500を越えるGPUサーバーの運用実績を生かしたマネージドサービス、大規模GPUクラスタ利用に必要な、100Gbpsを超える超高速なクラスタ間ネットワークサービスやストレージサービスを包括的に提供していきます。
※1:最大30kWの発熱量範囲内で、ラックの機器搭載スペースを最大限使うことができます。
※2:「Nexcenter™」は、NTT Comのデータセンターサービスブランドです。世界20以上の国・地域で、高品質データセンターサービスを提供しています。
※3:コロケーションとマルチクラウドを自在に接続できるサービス「SD-Exchange」、グローバルネットワークサービス「Arcstar Universal One」、インターネットコネクティビティ「OCN/グローバルIPネットワーク」を利用いただけます。
※4:コールドプレート方式は、コンピューターのプロセッサーに熱伝導性の高い鋼板を貼り付けて放熱する方式。従来は空冷式が多く使われていましたが、より効率的に排熱するため、鋼板内に冷却水を通す方式も使われています。
※5:液浸方式は、サーバー全体を熱伝導性が高く絶縁性のある特殊な液体に浸すことで、サーバーを効率的に冷却する方式。サーバーの高密度実装が可能で、低消費電力化、省スペース化、静音化も期待できます。
本件に関するお問い合わせ先
2018-R093