2021年8月19日
クラウド上で秘密計算が利用可能なサービス「析秘(せきひ)」の提供を開始
~大規模なシステム構築や複雑なコマンド入力を必要とせずWebブラウザ上で利用可能~
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下 NTT Com)は、大規模なシステム構築や複雑なコマンド入力を必要とせずWebブラウザ上で秘密計算が利用できるクラウドサービス「析秘」(以下 本サービス)を、2021年8月19日より提供開始します。秘密計算とは、データを秘匿化したまま分析を行い結果のみを出力する技術です。本サービスにより医療を始めとするさまざまな分野で企業などが保有する個人情報などの機微なデータの利活用を支援します。
1.背景
データの利活用が企業などにおける競争力強化に重要であることが広く認識される中、個人情報や機密データが安心・安全に相互利用できないことが課題となっています。その解決策として注目されている技術が秘密計算です。NTT Comではこれまで、デジタル技術の活用により医療分野のスマート化を実現するSmart Healthcareの領域を中心に秘密計算の実証実験や共同研究を行ってきましたが、大規模なシステム構築や複雑なコマンド入力が不要な本サービスの提供により、誰でも簡単かつ安全に秘密計算が活用できる環境を実現します。
2.特長
本サービスは、クラウド上で秘密計算が活用できるサービスです。データを秘匿化したまま回帰分析※1やデータ集計など多様な統計分析を行うことができます。主な特長は以下の通りです。
(1)大規模なシステム構築が不要
本サービスは、クラウドサービスとして提供されるため、これまで秘密計算に必要とされてきたオンプレミスでの大規模なシステム構築や専用ソフトウェアのインストールが不要です。秘密計算を活用するまでのリードタイムを短縮することが可能であり、初期投資を抑制することができます。
(2)複雑なコマンド入力が不要
本サービスは、利用にあたり複雑なコマンド入力が不要です。汎用的なWebブラウザを使い、Web UI※2を介して直感的に秘密計算用のシステムを利用できるため、技術的な導入のハードルを下げることが可能です。
<本サービスのイメージ図>
3.提供開始日
2021年8月19日
4.お申し込み方法
NTT Com営業担当までお問い合わせください。
5.ご利用料金
利用するレコード数、付与するID数に応じ3つの料金プランを用意しています。
プラン名、利用可能なレコード数 | 付与ID数 | 初期費用(税込) | 月額費用(税込) |
---|---|---|---|
100万レコードプラン | 10ID | 500,000円 (550,000円) |
400,000円 (440,000円) |
1000万レコードプラン | 20ID | 1,000,000円 (1,100,000円) |
850,000円 (935,000円) |
1億レコードプラン | 40ID | 2,000,000円 (2,200,000円) |
3,400,000円 (3,740,000円) |
6.賛同者の声
千葉大学病院 次世代医療構想センター長 吉村健佑様
秘密計算は、今まで扱いが難しかったデータの利活用を推進する、有力な手段の一つと考えられます。サービス化により利用が広がることで事例が蓄積し、さらに内容が充実する事を期待しております。
7.今後の展開
お客さまのさらなる満足度向上のため統計分析に用いる関数の追加など機能拡充を進めます。これにより企業などにおける機微なデータの利活用をこれまで以上に広く支援し、2025年度までに数百の企業への提供を目指します。
NTT Comは、事業ビジョン「Re-connect X™」にもとづき、生活者・ビジネス・社会を、安心・安全かつ柔軟に「新たな価値でつなぎなおす」ICTサービス・ソリューションを提供し、ニューノーマルの世界におけるサステナブルな未来の実現に貢献していきます。
※1:回帰分析とは、結果となる数値と要因となる数値の関係を調べて、それぞれの関係を明らかにする統計手法です。
※2:Web UI(User Interface)とは、視覚的な理解のしやすさや操作性が重視された画面表示など、お客さまとシステムの接点です。
関連リンク
- 和歌山県とNTT Com、安心安全なデータ利活用についての連携協定を締結(2019年9月)
- 千葉大学病院とNTT Com、「秘密計算ディープラーニング」などの技術を活用した臨床データ分析の共同研究を開始(2021年2月)
本件に関するお問い合わせ先
(参考)秘密計算とは
データを秘匿化したまま分析を行い結果のみを出力できる技術です。計算対象の平文データを、単独では意味のない複数の断片データに変換し秘密計算サーバーに分散して保存、各サーバーが互いに通信・協調し、断片データを復元せずに統計処理などの計算を行います。利用者は元の入力データを参照することは不可能であり、分析結果のみを取得することができます。また、計算中も秘匿化されたままなので、システム管理者による計算途中経過の参照は不可能となります。
複数の研究機関が保有するゲノムデータを集約し、ヒトの遺伝子変異と疾病との関連性を分析するなど、異なる企業などが保有する機微な情報を安全に統合・分析する用途に活用可能な技術です。
関連リンク
2021-R073