多様な働き方は、従業員だけではなく企業にもメリットをもたらす
これまでの日本における企業の業務スタイルといえば、従業員が朝からオフィスに出勤し、夜に退勤、というのが当たり前でした。しかし、政府が推進する働き方改革によって、在宅勤務をはじめとするテレワークや時短勤務など、従業員に合わせたさまざまな働き方が選択できる社会に徐々に変わりつつあります。
こうした従業員に合わせた多様な働き方は、従業員自身にメリットがあるのはもちろん、企業にとってもさまざまなメリットをもたらします。
たとえば、「業務の効率化」や「生産性の向上」と言った観点では、従来は人の手で行っていた業務を、テクノロジーを導入し自動化すれば、従業員がわざわざ現場に出社する必要が無くなります。その業務に費やしていた時間を異なる業務に充てることができるため、より創造性の高い業務に力を入れられるようになり、新たな製品やサービスを生むことも可能でしょう。
また、多様な働き方は、「金銭面での無駄」を省くことにもつながります。企業活動を行うと、さまざまな経費が発生します。例えば毎日の通勤や営業活動では交通費や旅費が発生します。オフィス内でも、光熱費や文具・紙などの消耗品費も必要になります。しかし、多様な働き方を進め、オフィス以外の場所でも働けるようになれば、交通費も不要になり、光熱費や消耗品費のカットも見込めます。
さらに、このような働き方を安定的に運用できれば、「求職者へのPR」にもつながります。特に若い世代は日常的にSNSやインターネットの情報に触れているため、柔軟な働き方ができる企業としてうまくPRできれば、優秀な人材の確保も可能になるでしょう。
このように、それぞれの従業員のライフスタイルに合った働き方が実現することで、「従業員の満足度の向上」も期待できます。通勤による疲労が少なくなり、休息や趣味の時間を十分に確保できるため、心身ともに健康な状態で仕事に打ち込みやすくなるでしょう。“会社から大切にされている”という信頼にも繋がり、従業員の定着にもつながるはずです。
多様な働き方を可能にするポイント①:コミュニケーションを確立しよう
多様な働き方によって、先に挙げたようなさまざまなメリットが期待できますが、かといって闇雲に制度を変更したり、デジタル化を進めればいいわけではありません。働く場所によって業務効率が下がらないよう、業務効率を維持し、向上させていくための環境作りや支援体制が必要不可欠となります。
業務の効率化や生産性向上を維持するために押さえるべきポイントはどこなのか、3つに分けて紹介します。
一つ目のポイントは「コミュニケーション手段の確立」です。場所や時間にとらわれない働き方には、ITを活用したコミュニケーションツールの導入は必須です。例えば、社内ミーティングに代わるものとして、ウェブ会議システムやビジネスチャットが必要になるでしょう。
さらに、かつてビジネスにおけるメインコミニュケーション手段であった固定電話に代わるツールも求められます。ビジネスシーンでは、メールアドレスを共有していない人物から電話がかかってくることはよくあります。しかし、社外で仕事をしている際、オフィスの電話に連絡が入っても、その電話を取ることはできません。出社している同僚が取り次ぐにしても手間がかかるうえ、電話受付のためだけに常に従業員がオフィスに出社するというのも、多様な働き方に反しています。
たとえばドコモビジネスでは、スマートフォンや携帯電話を内線化できる通信サービス「オフィスリンク」を提供しています。オフィスの固定電話の代替として、自宅や外出先でも同様の電話環境が利用できます。エリア内であれば、代表電話にかかってきた電話をスマホに直接転送できるため、取次の連絡も不要です。さらに、従業員同士であれば通話料金がかからないため、気軽に内線のようなコミュケーションが行えます。
多様な働き方を可能にするポイント②:セキュリティにも気を配ろう
二つ目のポイントは「セキュリティ対策の構築」です。リモートデスクトップや仮想デスクトップ、VPNの導入など、一定のセキュリティを担保した業務環境を整備することが大切になります。
ここからは、先に挙げたセキュアな通信サービスの種類を紹介します。
リモートデスクトップ(RDS)
リモートデスクトップ(RDS)は、オフィスなど遠隔地にあるパソコンの画面を、手元のパソコンに映し出して遠隔操作するツールです。たとえば自宅で仕事をする場合、テレワーク用のパソコンに、オフィスのパソコンで使用しているアプリケーションをインストールする必要はありません。オフィスのパソコンを自宅でも簡単に使用するためのツールとなります。
仮想デスクトップ(VDI)
仮想デスクトップはVDI(Virtual Desktop Infrastructure)ともいわれ、クラウド上にデスクトップを構築し、ネットワークを通じてクライアント端末から利用できるようにしたサービスです。自宅や外出先からでも、パソコンやタブレットを用いて、クラウドに構築されたデスクトップに安全にアクセスすることができます。
VPN
VPN(Virtual Private Network)は、インターネット回線を利用して、専用回線を使っているかのように、仮想上のネットワークを構築する仕組みです。認証されたユーザーしか使用できないため、情報漏洩やマルウェア感染のリスクが低いという特徴があります。
ここまで挙げたようなツールを活用すれば、リモート環境での業務を行なうことが容易になりますが、もしノートPCやスマートフォン、タブレットといった端末を用いる場合、リモート環境で端末を紛失したり、盗難されてしまうという危険も存在します。
こうした端末の紛失や盗難に対しては、リモートでロックやデータ削除が行えるMDM(Mobile Device Management)が有効です。また、デバイスの私的利用による情報漏洩の防止策として、フィルタリングサービスの導入を検討しても良いでしょう。
多様な働き方を可能にするポイント③:トラブル時のためのサポート体制を!
三つ目のポイントは「サポート体制の整備」です。
先に挙げたようなRDS、VDI、VPNといったツールを活用して仕事を行なう場合、ネットワークでトラブルが起き、業務がストップしてしまうことも起きがちです。
こうしたトラブルに迅速かつ適切に対処するためには、ITトラブルに関する社内の問い合わせ窓口を開設しておくことが求められます。とはいえ、中小企業ではシステム担当者が不在の場合があり、対応が遅れてしまうケースも考えられます。
このような場合は外部に委託するのも一つの手です。
たとえば、ドコモビジネスでは、ITの困りごとをサポートする「まるごとビジネスサポート」というサービスを提供しています。パソコンやスマホの端末操作から、アプリの使用方法など、さまざまなITトラブルに対しサポートを行います。サポートの方法は、電話の問い合わせに加え、パソコン画面を遠隔操作しながらの対応、機器の故障やデータ復旧などの訪問にも対応します。
小さなトラブルを放置すると、やがては情報漏洩などの大きなトラブルに発展する可能性もあります。今回紹介したさまざまなツールを導入・運用するためには、当然ながら一定のコストがかかります。しかし、多様な働き方を実現し、業務を安全かつ円滑に進めるためには、これらのツールに投資し、適宜環境を見直していくことが大切です。そのことが結果的に、業務の効率化や人材確保につながることでしょう。