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これからのセンター運営のカギは「AOC」と「在宅」へのシフト

これからのセンター運営のカギは「AOC」と「在宅」へのシフト

コロナ禍でコンタクトセンターを取り巻く環境は大きく変化しました。昨年、発行された「コールセンター白書2021」を読み解き、センター運営の課題、そして打開のカギを握る「AOC」と「在宅」へのシフトについて解説します。

目次

顧客の行動に応じて応対を変える「AOC」とは

長らくコンタクトセンター業界ではVOC(Voice of Customer)分析の重要性が叫ばれてきました。確かに顧客がセンターに電話をかける理由、コンタクトリーズンを把握するにはVOC分析は有効と言えるかもしれません。しかし、電話だけではなくオムニチャネルへと顧客接点が多様化した現代、VOCのみで顧客ニーズを把握するのは困難になっています。

ITを駆使すればさまざまな顧客データが収集できるようになったいま、技術サポートなのかクレームなのかといった顧客の問い合わせる目的、自宅なのか外出先なのかといったロケーションの違い、老若男女といった属性、購入前なのか購入後なのかといった時系列などを正確に把握、的確な分析を行うことも難しいことではありません。

そこでVOCに代わり注目を集めているのがAOC(Activity of Customer)、顧客の行動をしっかりトレースし、それに応じて臨機応変な解析を行い、さまざまな改善を重ねていく手法です。これからの問い合わせ対応は、間違いなく顧客行動をフェイズごとに整理してリアクションする応対が常識になるでしょう。

人材難は解消傾向も生産性の底上げが急務に

それでは、なぜAOCへのシフトが必要なのか、「コールセンター白書2021」からいくつかの調査結果を見てみましょう。まず慢性的な人材不足を抱えるコンタクトセンター業界ですが、コロナ禍において状況はやや緩和されているようです。「全拠点で充分な応募数を確保できている」という回答は40.2%であり、前年度調査の35.5%を上回る結果となっています。さらに全体の離職率も「10%以下」が50.5%となり、前年の32.3%よりも大幅に離職は減少傾向にあることがわかっています。この背景にあるのはコロナ禍における環境の変化です。大打撃を受けた業界から流出した人材が、「巣ごもり需要」でコール数が増え、時給が高騰傾向にあるコンタクトセンター業界に流入した結果と考えられます。

コールセンター運営上の課題(複数回答あり)

コールセンター運営上の課題

※出典:リックテレコム「コールセンター白書2021」より

人材不足が解消された一方、新たな人材が流入したことで「オペレータ1人当たりの生産性の向上」(56.4%)がトップとなり、続いて「品質向上」(49.7%)、「呼量の削減」(48.6%)、「スーパーバイザーの採用・育成」(40.8%)の順になっています。注目すべきは「呼量の削減」(45.4→48.6%)に加えて、「呼量に応じたオペレータの適正配置」(29.9%→38.5%)が昨年より伸びていることです。これはコロナ禍によって低下した接続品質に対する反省が反映されているものと考えられます。

これらを解決するためにIT投資の必要性を感じている企業は多く、さまざまなITツールの導入検討が進んでいます。

応対力の強化に向けたチャットボットの導入が加速

今後、導入予定のITソリューションで最も高い数値を出したのは「音声認識システム」(30.3%)ですが、2位以下に「チャット対応システム」(26.7%)、「チャットボット」(25.3%)、「ボイスボット(チャットボットの音声版)」(13.7%)と続きます。ここ数年、呼量の削減、オペレーターの適正配置に向けてチャットやチャットボットを導入する企業は右肩上がりで伸びています。とくに昨今は新型コロナウイルス感染症に関する相談窓口に採用する自治体など急増し、センターとの連動以外の用途で活用するケースが増えたことも急伸の一因になっていると考えられます。

今度導入予定のITソリューション(複数回答あり)

今度導入予定のITソリューション(複数回答あり)

※出典:リックテレコム「コールセンター白書2021」より

さらに調査結果を見ていくと、1位の「音声認識システム」と紐づくかたちで伸びているのが「テキストマイニング」(13.0%)です。音声認識システムを活用して顧客との電話での音声のやり取りをすべてテキスト化、オペレータスキルの底上げ、顧客応対力の強化などに向けたVOCの分析対象とする活用が拡大しています。これに伴い、大量のテキストデータを分析するためにテキストマイニングが不可欠のソリューションとなっており、さらに応対内容の要約にも活用できるため、導入の意向が高まっていると考えられます。もちろん、チャットやチャットボットについてもテキストベースのコミュニケーションツールであるため、同様にVOCの分析対象になるのは言うまでもありません。

もちろん、現段階でのコンタクトリーズンの把握・分類はVOC分析で間に合うかもしれません。しかし、ここで一歩踏み込んでAOC分析までを視野に入れた取り組みを推進することで、競合を出し抜く真のCX(カスタマーエクスペリエンス)が達成できるのではないでしょうか。

不可避となった「在宅」へのシフト、どこから始めるべき?

もう一つ、昨今のコンタクトセンター運営における課題として顕在化しているのが在宅ワークへの対応です。社会的には在宅ワークが普及する中、センター業界では未対応のケースが大多数です。同調査から「在宅制度を導入しない理由」として挙げられているのは「個人情報の保護ができない、難しいから」(71.2%)、「エスカレーション対応ができない、難しいから」(54.5%)、「オペレータのモニタリングができない、難しいから」(33.3%)など、セキュリティ上の顧客情報の扱い、勤務管理など、システムだけでは語れない領域の業務課題が障壁となっています。

在宅制度を導入しない理由

在宅に移行できなかった理由

※出典:リックテレコム「コールセンター白書2021」より

一方で「2021年7月時点の在宅運用について」の調査結果では、在宅運用を「している」とした回答は56%に上っています。もはや、できない理由を挙げるよりも、できるところからやらざるを得ない局面に差し掛かっていると言えるでしょう。すでに在宅へのシフトを開始しているセンターでは、一部のセンシティブなセキュリティを扱う業務を除外、後回しにして、可能な領域にスコープを絞って在宅ワークを推し進める傾向にあります。

たとえば、可能な領域から短納期、低コストにスモールスタートができるクラウドCTIで暫定的な基盤を構築して在宅ワークへシフトさせるのも一手です。さらに顧客情報などの取り扱いに不安があるなら、センター内の情報を遠隔から操作する仮装デスクトップを導入する、あるいはエスカレーションが懸念材料であればファイル共有ツールの実装、混雑時のあふれ呼の対応には音声ガイダンスでAIチャットボットに誘引する、さらに継続的な生産性、品質向上に取り組むのであれば音声認識システムでAOC分析につなぐなどの対策が有効となります。

コロナ禍によって対面接客が困難になったニューノーマル時代、新たな営業活動の軸として顧客接点のデジタル化を進めていく上でも、長年にわたり顧客とコミュニケーションを続けてきたコンタクトセンターに蓄積した経験はビジネスを成長させる貴重な糧になります。今後、企業におけるコンタクトセンターの役割はますます重要視され、コストセンターからプロフィットセンターへの変革は加速していくでしょう。テレワークを取り入れた柔軟な働き方の環境整備により顧客応対業務を最適化し、戦略的な顧客データの分析活用業務を充実させることがプロフィットセンターへの成長のカギなのかもしれません。

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