コンピュータ上では、収集した膨大なデータを元に、限りなく現実に近い物理的なシミュレーションが可能となり、自社製品の製造工程やサービスの在り方をより改善するうえで有効な手段となります。
例えば製造ラインの一部を変更する場合など、事前にデジタルツイン上でテスト運営することで、開発期間やコストの削減が見込めます。
また、IoTを活用してリアルタイムの情報も取り込んでいくことで、商品の故障予知に役立てることもできます。例えば同じ製造工程を経て出荷された2つの製品があった場合、出荷後の稼働状況をIoT技術により集約・分析すると、使われ方の違いを把握することができます。これらのデータを蓄積すれば、故障する可能性を事前に察知し、故障する前に使用を停止させるようアラートを上げることも可能になります。
現在では、デジタルツインから派生したデジタルツインコンピューティングも注目を集めています。
デジタルツインコンピューティングとはNTTが提唱するIOWN構想の技術分野の一つです。
デジタルツインコンピューティングは、まず現実世界にある「モノ」や「ヒト」をサイバー空間上に高精度で再現することから始まります。このサイバー空間上に再現した存在を「デジタルの双子」、デジタルツインと呼びます。実はデジタルツイン自体は自動車の自動運転分野、ロボット制御分野、医療分野など、既に産業分野別にそれぞれ応用が進んでいます。デジタルツインコンピューティングは、これらをさらに発展させ、産業分野を超えて多様なデジタルツインを利用できるような共通手段を創出することを目指しています。
NTTグループでは、デジタルツインコンピューティングを含む、近未来のスマートな世界を支えるコミュニケーション基盤「IOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)」の2030年頃の実現をめざし、研究開発を進めています。