偽の警告画面で連絡を強要する
「サポート詐欺」にご注意
「サポート詐欺」という言葉をご存知でしょうか。これは、インターネットの閲覧中、偽のセキュリティ警告を表示し、金銭を騙し取ろうとする詐欺のことです。
このサポート詐欺では、ユーザーがパソコンでインターネットを閲覧中、何らかのリンクをクリックしたタイミングで、突然「このパソコンはウイルスに感染しています」「サポートへの問い合わせはXXX-XXXX-XXXX」「トロイの木馬スパイウェアレポート」「このPCへのアクセスはセキュリティ上の理由でブロックされています」といったような警告画面を表示します。
しかし、これらの警告画面に記載されている内容は、すべて「嘘」です。偽セキュリティ警告画面が表示された時点では、端末がウイルスに感染されたわけではありません。
とはいえ、いたずらにユーザーの不安を煽るような警告内容であり、かつ警告画面の表示は簡単には消せない仕組みになっているケースも多いため、PCの操作に不慣れな人は、警告画面に書いてある番号に電話を掛けてしまうことも十分に起こり得ます。
この番号に電話を掛けた場合、相手側からサポート料やウイルスの除去費用を要求されたり、遠隔操作ソフトをダウンロード・インストールするよう強要される恐れがあります。費用の要求は、コンビニエンスストアで購入できる電子マネーで支払うことを求められることが多いようです。
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が2023年12月に公開したデータによると、同法人の情報セキュリティ安心相談窓口に寄せられたサポート詐欺の相談件数は、2022年は2365件だったのに対し、2023年は11月の時点で3793件と、約1.6倍に増加しています。しかも2023年10月は、1カ月で519件の相談があり、月間では過去最高の数値だったといいます。
「閉じる」ボタンが押せない時は、
焦らず「ESC」ボタンを長押し
このようにサポート詐欺が増加している事態を受け、IPAでは2023年12月に、サポート詐欺の「偽セキュリティ警告画面の閉じ方体験サイト」を公開しています。
同サイトではまず、偽セキュリティ警告画面でよく見られる特徴が紹介されています。それによると、サポート詐欺では利用者を焦らせるための偽のメッセージ以外にも、「閉じる」ボタン(×ボタン)が表示されないよう細工されている、「050」「010」で始まる電話番号にかけさせようとする、チャットでやり取りができる場合があるなどの傾向があるといいます。
このうち「閉じる」ボタンが表示されない場合、「本当にウイルスに感染してしまったのか!?」「本当にPCがロックされてしまったのか!?」と焦ってしまうかもしれませんが、これはただ単に、ブラウザが全画面表示されており、閉じるボタンが押しづらい表示になっているだけです。キーボードの「ESCキー」を2~3秒長押しすると、全画面表示が解除され、閉じるボタンが表示できます。あとは、マウスで閉じるボタンを押せば、偽セキュリティ警告画面は簡単に閉じられます。
上記の操作で閉じるボタンが表示されない場合は、「Ctrlキー」と「Altキー」と「Delキー」を同時に押し、画面右下の電源アイコンをクリックし、再起動をすることで閉じられます。もし、偽セキュリティ警告画面に表示された電話番号に電話してしまい、遠隔操作された場合も、上記の操作をすることで、遠隔操作が切断できます。
“偽の”偽セキュリティ警告画面で、
詐欺の手口を知ろう
IPAではさらに、偽セキュリティ警告画面を再現し、閉じ方を学ぶ専用のページも公開しています。
IPAのホームページから「体験サイトを起動」ボタンをクリックすると、体験画面がスタートします。すると、偽セキュリティ警告画面が全画面表示で立ち上がり、ユーザーを騙そうとするポップアップが複数表示されます。
もちろん、これらはすべてIPAが作った“偽の”偽セキュリティ警告画面のため、焦る必要はありません。各ポップアップには「電話をかけさせようとするメッセージを表示します」「根拠のないメッセージでユーザを焦らせます」といったような、偽セキュリティ警告画面の手口が指摘されています。
この体験サイトは全画面表示されるため、閉じるボタンは画面上に表示されません。しかし、先に触れたように「ESCキー」を長押しすれば、閉じるボタンが表示され、それを押すことで体験が終了できます。何も操作しない場合も、2分間で自動終了します。
相手の手口を知り、対処法も分かれば、もはや詐欺は怖くありません。できることなら遭遇したくはありませんが、もし遭遇したとしても、体験サイトでの経験が「これは詐欺だ」ということを気付く助けになることでしょう。