株式会社アガルート
顧問弁護士を持たない中小企業が手軽に使える
AI活用型のオンライン法律顧問サービスを開設
株式会社アガルート
代表取締役
岩崎 北斗氏
「身近に専門家が少ない地方の事業者にも、リモートで安全に面談できるサービスの提供を計画しています」
株式会社アガルート
取締役
行政書士
阿部 剛氏
「NTTコミュニケーションズの多様な技術を使って、我々の強みを生かした新サービスが提供できると考えています」
アガルート法律会計事務所
弁護士(東京弁護士会所属)
岩瀬 武氏
「いまさら弁護士に聞けない初歩的な質問でも、AIリーガルコモンになら気軽に質問できるところも魅力です」
課題
法律相談の需要増を見据え
リーガルテックの領域に注力
株式会社アガルート(以下、アガルート)は、オンライン予備校の運営で弁護士、司法書士、社会保険労務士、行政書士などの有資格者を数多く輩出してきた。同社では予備校事業に加え、出版事業、法律会計事務所の運営を手掛けている。同社取締役で行政書士の阿部剛氏は、現在新たな事業軸を生み出すために、法律とITを掛け合わせたリーガルテックの領域に注力していると語る。
「たとえば働き方改革関連法などの法律が厳正化されたことで、社員の雇用について守るべきことが増えています。大企業のみならず、中小規模の企業でも法律と向き合う機会が多くなっているのは事実です。そこで費用面などの理由で顧問弁護士を持てない事業者を対象に、リーガルテックの視点からAI技術を活用したオンラインの法律相談窓口を立ち上げたいと考えたのです」
顧問弁護士を持たない事業者の多くは、法律関係についてもインターネット検索で調べがちだ。そのような検索がはらむリスクを阿部氏は指摘する。
「ネット検索では誰が、いつ出した情報かが明らかではなく、誤った情報も多く見受けられます。そこで、弁護士監修のもとで正しい情報を網羅した、誰もが安心して利用できるプラットフォームをつくろうと考えたのです」
こうして同社ではAI 技術を活用した法律顧問サービスの開発に着手。しかし、作業は難航する。同社代表取締役の岩崎北斗氏は、理由はAIエンジンにあったと指摘する。
「法律の相談は敷居が高く感じられるので、平易な言葉で問い合わせができて、迅速かつ正確にレスポンスができる直感的なUIが必要でした。しかし、当初想定していたチャットボットでは、これらの要件を満たすレスポンスも検索精度も得ることができず、ユーザーが手軽に利用できる操作性には程遠い状況でした」
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対策
最新AIエンジンの活用と
弁護士の知見を生かした基盤づくり
従来のAIエンジンの限界を感じていた岩崎氏は、ある決断をする。きっかけはNTTコミュニケーションズから紹介されたAIチャットボット「COTOHA Chat & FAQ®」(以下、COTOHA Chat & FAQ)のデモを見たことだった。COTOHA Chat & FAQは、キーワードマッチ方式でなく、質問の「意味」を解釈するセマンティック検索エンジンで回答を探し出す。そのため、質問に対してより最適な回答を見つけやすいのが特長だ。
「レスポンスの速さ、回答精度、UIの使いやすさと、求めていた仕様だったため、従来のAIからのリプレイスを決めました」
中小企業からの法律相談は、人事労務関連、税法、会社法、商法など広範囲に渡るデータベース構築が必要となり、一度構築すれば終わりではなく、法改正などにも対応しアップデートを続けなければならない。
「将来的には、数万件を超える膨大なデータベースの運用がストレスなく行えることもポイントでした。COTOHA Chat & FAQは、データベースの拡張やメンテナンスが容易であったことも決め手になりました」
COTOHA Chat & FAQの利用では、法律に関するFAQデータベースの構築が重要になる。岩崎氏は、そこに自社の教育事業のノウハウが生きたと語る。「私たちは法律の知識がない人に、法律をわかりやすく説明することに慣れています。ネットの相談掲示板に寄せられた法律相談のレベルを参考にしながら、知識がない一般の方でも、法律の基礎から理解できるFAQをコンセプトに作成を進めました」
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効果
潜在ニーズを掘り起こす新市場開拓と
多士業、多言語対応の“ワンストップサービス化”
9月にベータ版でリリースされた「AIリーガルコモン」では、COTOHA Chat & FAQで提供されているUIの一つである「検索ボックス」を利用して最適なFAQコンテンツを表示する。サービスの提供開始時点で人事・労務系で約1000件のFAQが準備され、FAQの範囲を超えた質問に対しては、弁護士によるメールや電話での対応や、面談による個別相談ができるようカスタマイズ。相談の深さに合わせて、最後までフォローできるサービスになっている。
AIリーガルコモンの身近な活用法として岩瀬氏は「たとえば、議事録や社員名簿などを作る際には法律で決められた書式があります。AIリーガルコモンに問い合わせをして、ひと手間かけて書式を法律に合致させるだけで、何かトラブルが起きた際に格段に対応がしやすくなるのでおすすめです」と説明する。
図 「AIリーガルコモン」利用イメージ
月額基本料4,000円(税別)から利用できるリーズナブルな料金設定も特長の一つ。一般的に弁護士の顧問料が月額数万円であること考えると、導入のハードルは低いと言える。経済的負担などの理由で顧問弁護士が不在だった事業者に広くアプローチできると阿部氏は見込んでいる。
「この機会に法律のことまで手が回らない、本業に集中したい中小企業やスタートアップ企業の方々に使っていただきたいと考えています」(阿部氏)
今回のサービス創出は、同社にとってリーガルテックの第一歩に過ぎない。今後は弁護士の対応領域を拡大することに加え、司法書士、社会保険労務士、行政書士といった他士業の業務範囲までサービスを拡大していく計画だ。さらに海外へ事業を展開する企業に向けた多言語対応も視野に入れていると岩崎氏は語る。
「1つの窓口であらゆる法律に関する相談が多言語でできるワンストップサービス化を目指しています。幅広い法律に関する知見、そして多くの有資格者のコネクションを持つ強みを生かし、挑戦を続けていきます。データベースさえ作ってしまえば、同じプラットフォームで多士業、多言語への展開ができるCOTOHA Chat & FAQのアドバンテージが、今後もキーになると考えています。システム構築から運用面、営業面まで対応してくれるNTT Comのサポートには今後も期待しています」
アガルートが挑む日本発のリーガルテックを、今後もNTT Comは全力で支援していく。
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株式会社アガルート
事業概要
国家試験、検定試験等のオンライン予備校「アガルートアカデミー」を運営。事業の軸となる「法律」「教育」に新たなテクノロジーを掛け合わせることで、数多くのイノベーションを下支えする社会的なインフラとなることを目指している。
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(掲載内容は2019年9月現在のものです)
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