井関農機株式会社
迫る就農人口激減時代に備えて、
農機のロボット化進行中!
数cmの精度で運用可能
井関農機株式会社
夢ある農業ソリューション推進部
部長
三輪田克志氏
井関農機株式会社
夢ある農業ソリューション推進部
岩本一臣氏
日本の基幹的農業従事者(仕事として主に農業に携わっている人)の平均年齢は、2021年時点で67.9歳です。郊外をドライブしている時に、田畑を見ていれば感じることでもありますが、日本で農業に携わっている人は、高齢者の方が中心になっています。
「では、10年後、20年後、日本の農業はどうなると思いますか? 2021年時点の就農人口は123万人ですが、20年後にはなんと1/4になってしまうのです」と話してくださったのは、井関農機株式会社の三輪田部長。
「食料安全保障の観点からも、これ以上国内の生産力を下げるわけにはいきませんから、1/4の人数で今と同じ生産高を得る必要があります。農業の法人化などの対策が講じられるとは思いますが、抜本的な生産効率の向上が必要になることは言うまでもありません」
茨城県つくばみらい市にある井関農機「夢ある農業総合研究所」の実証圃場では、スマート農業など先端営農技術の実証・研究が行われています。
井関農機株式会社夢ある農業ソリューション推進部部長の三輪田克志部長(左)と、夢ある農業ソリューション推進部の岩本一臣氏。
課題
20年後に1/4になる就農人口
省力化は喫緊の課題
就農人口の減少が進む中、生産効率を向上させる取り組みは必要不可欠です。大型機械などの導入が効果的ですが、日本の農地はアメリカやブラジルなどのように大規模農業ではなく、小さく区分けされた狭い農地が一般的であるため、大型機械化には不向きでした。
小さく区分けされた狭い農地で、できる限り生産効率を高める…… 「そこで必要になってくるのが、従来型農機のロボット化です。しかし、狭い区画であぜ道を壊したりしないように巧みに動くには、精密な制御ができなければなりません」と、井関農機の岩本氏は語ります。
例えば、ロボットでまっすぐ精密にうね立てをすることで、手動と比べ単位面積あたりのうねを10%増やすことができれば、収穫量を10%増加が見込めます。しかし、一般的なスマホのGPSでは誤差10mほど。これではとても使い物になりません。
ロボットトラクタは、乗って操作することも、降りて設定したルートを無人で耕させることもできます。
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対策
ドコモビジネスの高精度位置
情報サービスで農機を自動運転
そこで役に立つのが、ドコモビジネスの『docomo IoT 高精度 GNSS位置情報サービス』です。
これは衛星のGPS情報に加えて、全国に設置された基準点からの位置情報を活用し、誤差を数cm程度にまで小さくする技術。1基の基準点のカバーするサービスエリアは半径20km範囲ですが、すでに全国ほぼすべての地域をカバーしています。複数の基準点がある地域では最寄りの基準点からの情報をもとに配信します。
「今までのは数十mも位置の誤差があったのですが、この技術は数cm。『これでようやく使えるようになる!』と思いました」と語る岩本氏。
井関農機のトラクタにはdocomo IoT 高精度 GNSS 位置情報サービスを使って自動運転を可能としたモデルが用意されています。位置情報サービスだけでなく、四方にはセンサーが設置され、人や障害物が近づいた時に自動停止する機能も設けられており、農林水産省の定めるガイドラインにもとづいた運用が可能です。
「今後、農業の省力化は必須。農機の高精度GNSSサービスを使ったロボット化は、これからの日本の農業を支えると考えています」と、岩本氏は語ります。
専用のタブレットで、作業を制御・モニタリング。右は専用リモコンとアンテナ。
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効果
精密な動作で日本の
狭い田畑でも運用可能
わずか数cmの誤差で運用することができる、GNSSを使った井関農機株式会社のロボットトラクタ・ロボット田植機では、日本の細かく区分けされた田畑でも正確に動作し、作業を行うことができます。
単位面積当たりの収穫量を増やすことが大切な農業においては、農機を正確に運行させることが大切です。 「目印の少ない広い田畑では、農機をまっすぐ正確に運転すること自体が難しいのですが、ロボットトラクタを使えば、初心者でもエキスパート並みの正確さで運用できます。耕した跡はベテランの方と同じですので、ぜひ使っていただきたいですね。」と、岩本氏は笑顔で語ります。
農林水産省の設定したガイドラインに準拠しているため、自身が操作するトラクタに加えて、別のもう1台を運用することができるので、2 台で同時作業を行うことによって、作業の省力化・生産性の向上を実現します。
屋根の上の中央がGNSSアンテナ。左右に運行状況を知らせる信号灯、前後左右に衝突防止のセンサーが備わっています。
GNSSを使った自動運転は、ロボットトラクタ(左)とロボット田植機「さなえ」で利用できます。
docomo IoT高精度GNSS位置情報サービス
docomo IoT高精度GNSS位置情 報サービスは、農機具やドローンなどの正確な制御のために作られたサービスです。10mほどの誤差が見込まれるGPSに対し、基準点を用いたNetwork RTK 方式で数cm精度の位置情報を取得可能。基準点のカバーするエリアは半径20kmで、全国ほぼすべてをカバーしています。
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井関農機株式会社
事業概要
1926年の創立。農業機械の総合専業メーカーとして稲作・畑作・野菜作などにおいて機械化一貫体系を確立。農業機械の総合専業メーカーとしてわが国農業の近代化にも貢献している。
(PDF形式/3.16 MB)
(掲載内容は2023年9月現在のものです)
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