東武タウンソラマチ
大きな揺れを事前に感知し、被害の軽減につなげ、
東京スカイツリータウンのお客さま・従業員の安全を守る
緊急地震速報配信サービス
課題
地震発生時、東京ソラマチにある45台ものエレベーターにおいて閉じ込めを防止
対策
震度5弱以上で全館一斉放送とエレベータの緊急停止
効果
適切な初動対応によってお客様を迅速かつ安全に誘導することで地震の実被害を軽減することに期待
東武タウンソラマチ様
施設管理本部
横倉 暢人 氏 (当時)
課題
2012年5月22日の開業以来、「新・下町流」をコンセプトに、人、街、商いを育 てることで新しいムーブメントを発信し続ける東京ソラマチ®。 地下3階から地上31階まであり、メインシンボルとなる東京スカイツリー®を中心に、イーストヤード、タワーヤード、ウエストヤードと、東西に400mほど広がる横長の館内は300以上の店舗でにぎわう。
そんな大型商業施設と、東京スカイツリー®の管理運営業務を東武鉄道と東武タワースカイツリーの2社から 受託しているのが、東武タウンソラマチ株式会社である。その中で、東京ソラマチ®のお客さまと従業員の「安全・安心」を第一 の理念に掲げ、防災・減災対策を担うのが、施設管理本部だ。
東京ソラマチ®は大規模であり、管理・運営に携わる人々も多い。そのため、防災マニュアルをもとに、地震だけでなく、火災や水害、テロなど、想定されるあらゆる災害に対応した訓練を定期的に実施している。また管理・運営に携わる関係者を集めた防災ワーキングを2週間に1回の頻度で開催。避難訓練のフィードバックだけでなく、勤務中に気づいたこと、お客さまからのご意見など、防災に関する情報を集約し、より実態に即した防災マニュアルにするべく、ブラッシュアップを繰り返している。
このように、間断なく防災・減災対策に取り組む一方、東京ソラマチ®には大型商業施設としてどうしても避けられない課題があった。施設内には、お客さまと従業員用を合わせて45台ものエレベーターがある。さらに、地下3階から地上31階までと、運行時間も長い。施設管理本部の横倉暢人氏(当時)は「地震発生時に人が閉じ込められる事態を回避する方法は竣工前から検討されていました」と語る。従来の自動管制システムでは、実際に揺れた後でエレベーターが緊急停止してしまう。それではエレベーターの閉じ込めを防ぐことはできない。 「45台のエレベーターすべてに救出の人員を送るのは現実的ではありません。ならば、揺れが来る前に対応するしかありませんでした」(横倉氏・当時)
対策
どうすれば地震が来る前にエレベーターの閉じ込めを回避できるのか。議論が続く中、浮上してきたのがNTTコミュニケーションズの「緊急地震速報配信サービス」だった。「緊急地震速報というサービス自体は珍しいものではありません。しかし、それを大型商業施設に導入するとなった場合、どのようなシステムがもっとも適しているのか? 各社のサービスを検討する前に、まずは東京スカイツリータウン®全体のICTシステムを構築したNTTコミュニケーションズに相談しました」(横倉氏・当時)
NTTコミュニケーションズならば、施設全体のICTシステムを熟知し、日常保守もすべて任せている。緊急地震速報配信サービスの導入はすぐに決定した。しかし、実際にサービスを稼働させる場合、NTTコミュニケーションズ1社だけで行えるものではない。このサービスは、エレベーター会社やゼネコン、館内放送設備業者など、数多くの関係者との緊密な連携があって、初めてその効果を発揮するからだ。その点でも、NTTコミュニケーションズは適任だった。
「館内インフラを設置した各社と開発工事の時から関わっていたので、連携もスムーズに進めていただけました」(横倉氏・当時)既設の設備を活かした最適な施工により、コストを抑えることにも成功した。
効果
専用受信端末が震度5弱以上の緊急地震速報を受信すると、全エレベーターが最寄りの緊急停止フロアに停まる。その後、ドアが開き、エレベーター内の照明が消える。エレベーター内を暗くすることで、外の方が明るい状態になり、お客さまが自発的にエレベーターから出ていくよう働きかけているのだ。
また、全館一斉に緊急地震速報である旨のアナウンスを放送する。この放送は、外国人のお客さまに配慮して英語でも実施。「緊急地震速報に伴う放送というのは、まだ揺れていない状態でのアナウンスになるので混乱を招きやすい。特に、外国人のお客さまは日本人に比べて地震の体験が少ないので、いっそうの配慮が必要になります」(横倉氏・当時)
幸いにも、緊急地震速報配信サービスが稼働したことはない(2015年2月時点)。だが、もし稼働する事態になった場合、このサービスによって地震の実被害が軽減するのではないかと横倉氏は期待する。「このサービスについては、施設管理者だけでなく、テナント従業員にも周知を徹底しています。サービスの存在を知っていれば、実際に稼働しても慌てることなく適切な初動対応が取れる。例えば、緊急停止したエレベーターから出てきたお客さまを落下物がない場所へ案内したり、店舗の狭い場所にいるお客さまを広い場所へ連れ出したりと、迅速かつ安全に誘導することで、地震の実被害の軽減につながることを期待しています」(横倉氏・当時)