株式会社メニコン
時代のスピードに追従するカスタマーセンターを目指し
PBXのクラウド化によるスケーラブルなシステムを実現
課題
顧客接点の拡充に向けて新たなチャネル開拓に意欲
稼働の軽減、将来的な拡張を視野にPBXのクラウド化へ
日本初の角膜コンタクトレンズ開発企業であるメニコンは、ビジョンケア、ヘルスケア、ライフケア事業への挑戦を進め、サステナビリティ経営による社会課題解決に取り組んでいる。Vision2030のスローガン“新しい「みる」を世界に”のもと、エンドユーザーのライフステージやニーズに合わせた「みる」を提供し続けることで、世界中の人々から必要とされる企業を目指している。メニコンのカスタマーセンターでは、つねにエンドユーザー、取引先に対して満足度の高いサービス提供を重視してきた。従来の電話・メールのみならず多様なチャネルを開拓、拡大していく「顧客接点の拡充」が目下のメインテーマとなっている。
「かねてより、私たちはお客さまに寄り添う“エンドユーザーファースト”の理念を掲げています。お客さまはもとより、さまざまな取引先との接点となるカスタマーセンターでも、10年ほど前から“エンドユーザーファースト”を指針として、信頼される窓口であり続けるための取り組みを進めてきました。その一環として顧客接点の拡充に向け、既存カスタマーセンターのシステムを抜本的に見直したいと考えていました」と語るのは、カスタマーコミュニケーション部 部長の三浦和行氏(以下、三浦氏)である。
既存のカスタマーセンターではオンプレミスのPBXを利用しており、メンテナンス作業などの運用管理に大きな時間と稼働を要していた。さらに運用管理の属人化が進み、担当者が異動する際の引き継ぎでは現場が混乱することもしばしばだった。「まず、誰もが作業にあたれるよう運用管理をアウトソースしたい思いがありました。加えて、新たに活用を始めていたSalesforceとのシームレスな連携を皮切りに、将来的なチャットボット、ボイスボット、AIによる応対、在宅対応といった変革にも柔軟かつスピーディに応えるためにオンプレミスからの脱却、PBXのクラウド化が必要だと考えていました」(三浦氏)
すでに既存PBXサービスのEoLは決まっており、切り替え待ったなしの局面を迎えていた。
対策
フルクラウドで拡張性にすぐれた「CXone」の導入を決断
的確なプロジェクトマネジメントでスムーズな実装を実現
既存PBXサービスのEoLが決まった際、同じサービスのクラウド版が存在していなかったことから、メニコンでは過去に取引のない新たなベンダーのサービス導入に向けて比較検討を開始した。「ところが、完全クラウドのサービスを提供しているベンダーは限られており、多くは半分オンプレミスのようなシステムだったのです。そんな矢先、もともとシステム導入でお世話になった方からCXoneをご紹介いただき、こちらの要件を満たす完全クラウドかつ拡張性を備えていたため導入を決めました」(三浦氏)
CXoneはNICE社が開発するオムニチャネル対応クラウド型コンタクトセンターサービスだ。クラウド型コンタクトセンターサービス(CCaaS)とクラウド型音声通話サービス(VaaS)の機能をオールインワンで提供。オムニチャネル対応に加え、AIを活用した各種分析やワークフォースマネジメント機能を持ち、さまざまなアプローチでコンタクトセンターにおけるCX(顧客体験)を向上できることが大きな強みとなっている。
「私たちの提供する定額制会員システム“メルスプラン”はもちろん、弊社独自の閉域ネットワーク、基幹システム連携といったシステム構成を理解していることがパートナーの条件でした。実はCXone を提供するNICEには従来のシステムを導入したメンバーが在籍しており、ここが決め手となりました。その上で技術支援を丸紅情報システムズ、プロジェクトマネジメントをNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)にお願いする座組になりました。長年のお付き合いで弊社の音声環境に深い理解があるNTT Comがチームに加わったことで、業者登録、社内的な手続きが要らなくなるメリットもあったのです」(三浦氏)
こうして、3社合同チームでメニコンのクラウドPBXプロジェクトが始動。ほぼ半年でCXoneをベースにしたクラウドPBXの新システムが完成し、段階的にカスタマーセンターに実装されていった。「週1回ペースで定例会議を開き、NTT Comから進捗確認とともに課題に対する改善提案などをしていただいたおかげで大きな問題もなく実装は完了しました。CXoneがすぐれたサービスであったことに加え、丸紅情報システムズの技術力、NTT Comのプロジェクトマネジメント力を高く評価しています」(三浦氏)
効果
すばやく追加サービスを実装できる新システムが完成
AIボイスボットをはじめ新たなチャネル展開を加速
CXoneをベースにしたクラウドPBXシステムの実装が完了してから、すでに1年以上が経過している。当初は新システムにオペレーターが慣れるまで少し時間を要したものの、現在は安定してカスタマーセンター業務は回っている。さらに運用管理のアウトソースにより作業の負担も大幅に軽減された。「CXoneは標準機能として複数データセンターによる冗長化を搭載しているため、災害や故障時のBCP体制が実現できていることは大きなメリットです。電話回線からインターネット回線へ移行したことでコスト削減の効果も生まれています。PBXのクラウド化にあたり不安があった通話品質も合格点でした」(三浦氏)
さらにCXoneには充実したレポート機能を搭載しているため、さまざまなデータを集計することで今後のカスタマーセンター運営を進化させるデータ分析が行えることも三浦氏は高く評価している。しかし、やはり最大のメリットは拡張性の高さにあるという。「今後、生じてくる問題や課題を解決するために、すばやく追加サービスを実装できることがいちばんの効果だと思っています。手間をかけることなく新たな施策に向けた機能拡張が次々に打てるシステムに仕上がったことには大変満足しています。トラブルが起きた際にもスピーディに対応、解決していただけるため運用面にも安心感があります」(三浦氏)
メニコンのサービスを利用するエンドユーザーは非常に年齢の幅が広く、今後はユーザーの年齢や特性に合わせた応対がCX向上のカギを握ると三浦氏は考えている。「たとえば、デジタル親和性の高い若年齢層のお客さまは電話での応対を必要とせず、チャットボットやFAQへ誘導すれば自己解決するケースが少なくありません。一方で中高年齢層のお客さまは電話による音声での応対を求められることが多く、オペレーターによる有人対応が必須になります。将来的にはAIボイスボットを導入し、お客さまの相談内容を理解し、その内容をデジタル化して手続きに流すような仕組みも導入したいと考えています。こうした私たちのニーズを満たすサービスや技術をNTT Comには先回りしてご提案いただきたいですね」