NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)ソリューションサービス部はヤンマーマルシェとの共創を2023年8月2日に開始しました。本取り組みでは、J-クレジットの創出支援アプリを農家に提供し、「簡単に、効率的に、信頼性の高いクレジット」の創出をサポート。さらに、創出したクレジットと作物の販売まで一貫して支援を行います。
ニュースリリース
ヤンマーとNTT Com、水稲栽培でのメタンガス削減とJ-クレジット創出における新たな取り組みを開始(2023年8月2日)
中干し延長によるメタンガス削減に先行着手
世界中で気候変動が課題となる中、日本においても2050年カーボンニュートラルの実現をめざし、CO2など温室効果ガスの排出量削減が求められています。また、温室効果がCO2の約25倍と言われるメタンガスについては、稲作で排出される割合が全体の約42%を占めるなど、農業における温室効果ガスの削減が課題となっています。
2023年4月に水稲栽培における中干し(田んぼの水を抜いて土を乾かす作業)の延長によるカーボンクレジット創出の方法論が策定されました。まさに2023年度が「中干し方法論の元年」とされています。この方法論にヤンマーマルシェとNTT Comが共同で先行着手し、環境負荷軽減と生産者の収益向上を両立する新たな農業モデルの構築をめざすことになりました。
簡単に効率的に信頼性高くカーボンクレジットを創出
カーボンクレジット創出のニーズが高まるのに伴って、グリーンウォッシュ(環境やサステナビリティに取り組んでいるように見せかけて、本来の目的にそぐわない利益を上げようとすること)の問題が顕在化しています。
例えば、ある国では虚偽のクレジット申請などが横行しており、クレジットの信頼性の確保が重要視されています。また、カーボンクレジットを創出する際の手続きが煩雑で、農家にとっての負担が大きいことも本取り組みの普及の課題です。
そこで、NTT ComはIoTセンサー「MIHARAS」を活用して、水田の地温、水位、水温、湿度、気温などのデータを取得。さらに、Webアプリケーション「Green Natural Credit」と連携させてカーボンクレジットの申請までを一気通貫で完結させる支援の実現に向け、取り組みを進めています。この支援ができれば、簡単に、さらに効率的に、信頼性の高いカーボンクレジットの創出ができます。
また、中干し期間を延長すると土壌条件などによって米の収穫量が減少する懸念もあることから、MIHARASが収集したデータを基に、ヤンマーマルシェが収穫量の確保に向けた営農支援も行っています。
環境価値と経済性を両立させたサステナブルのモデルを構築
第一次産業は資材の高騰化や就労人口の減少など、さまざまな課題に直面しています。さらに、地球温暖化による気候変動も、農業に大きな影響を与えています。
今回の取り組みにおいて、クレジット創出により期待できるのが、農家の収入増です。創出されたクレジットは市場への流通を行い、販売収益を農家に還元します。また、NTT Comでは、環境保全(カーボンニュートラル)の取り組みによる農作物のブランド価値向上も視野に入れています。今回の取り組みで収穫した米を、NTTドコモが運営するdショッピングで販売することも検討しています。