2024年3月22日

サウナで「ハワイの風を届ける」熱波師として活躍中の中村太一さん

NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)グループには、日々の業務を精力的にこなしながら、さまざまな活動をしている人たちがいます。

今回は、コロナ禍をきっかけに、サウナの魅力にどっぷりハマって熱波師にまでなったビジネスソリューション本部 第三ビジネスソリューション部の中村太一さんにお話を伺いました。

まろやかな熱波で「サウナ=我慢」のイメージを覆す

「こんにちは、テッド中村です! ふざけた名前だと思いますよね? でも実はこれ本名なんです」――。中村太一さんの“熱波”はこんなふうに始まる。満開スマイルにハワイアンキルトのタオルがトレードマーク。仕事の傍ら、週末や平日の夜に、サウナ室でお客さんを楽しませるフリーランスの熱波師だ。

熱波師とは、サウナの温浴効果を高めるプログラムを担う人のこと。具体的には、熱したサウナストーンにアロマ水をかけて水蒸気を発生させ(ロウリュ)、その水蒸気をタオルであおいでサウナ室内のお客さんに満遍なく届け、発汗効果を高めるのが務めだ。

「熱波サービスを受けてみて、サウナは我慢するもの、苦しいものというイメージが変わった、サウナが好きになったという人は結構います。熱い空気を浴びせるのではなく、かき回して届けるので、上手にあおいでもらうと10分があっという間に過ぎていくんです」と中村さんは語る。

熱波師によって、あおぎ方はさまざま。中村さんが大事にしているのは、「めちゃめちゃ笑顔でいること」と「ハワイの風を届ける」というコンセプトだ。

ハワイアンキルト柄のタオルを、自分でミシンを使って縫い合わせた

「サウナ=我慢のイメージを変えたいので、まず自分が思い切り笑って『陽』の感じでいきます。加えて、僕はハワイ生まれなので、アロハシャツを着てハワイアンキルト風のタオルを操って、明るい音楽やアロマを使って南国気分を演出します。『テッド』は本名なんです。ミドルネームですね」(中村さん)


個性でお客さんにアピールして人気が出れば、集客効果に期待するサウナ施設から声が掛かる。テッド中村は活動2年目に入ったばかりだが、施設やイベントからの依頼が順調に増え、今では週1回ペースで熱波仕事に精を出す。

両手を自在に使って右も左もしっかりかき回す

お客さんのビビッドな反応が熱波師の喜び

熱波師は事前にサウナ室を換気してから、10分ほどのプログラムを行い、お客さんが外気浴をする際にも、水風呂の水面近くの冷気をあおぎ上げる(クールスイング)。プログラム自体は10分ほどでも、熱波師の仕事は20~30分で1セットだ。

「なかなかハードです。活動量計によれば、3回で2000kcalほど消費しているんですよ。終わったら、分かりやすくお腹がすいています(笑)」。気分が悪くならないように、熱波仕事の直前には食事は取らない。水分だけはしっかり補給して臨む。体調管理も仕事のうちだ。

「一度だけ、二日酔いの状態であおいだことがあるんです。なんとかやり切ったら、お客さんが『気持ち良かったです!』と声を掛けてくれて。完璧じゃないものにお礼を言ってもらったことで、すごく申し訳なかったという気持ちが湧きました。以降は体調管理を本当に大切にしています」

本業とは別に、真剣な気持ちでサービスを提供する中村さん。活動の楽しみは、お客さんの反応を受け取れることだという。

「自分のしたことで喜んでもらえる、それもその場で直接、反応が見られるって、他にはそうそうないことで、ちょっとこたえられないものがあります。僕自身、サウナが好きで文化にしたいと思っているぐらいなので、サウナの良さを増幅して届ける役割はやりがいがあります」

一般に、サウナには血行が良くなって肩こりや腰痛が改善したり、自律神経のバランスが整ったりと、身体的にポジティブな効果があるとされている。加えて、中村さんはメンタルにも好影響があると感じている。

「『再起動する』感じがいいんですよね。日々の生活の中でモヤモヤすることがあっても、サウナに入ると『まあいいや』と思えたり。汗と一緒にいろいろ流せた気がして、さっぱりすっきりするし、サウナを出る頃には前向きな気分になっています」

フリーの熱波師は呼んでもらえないとあおぐ機会がないので、中村さんはセルフブランディングを意識して、SNSに写真や動画を上げて活動実績や自分のスタイルをアピールしている

熱波師デビューはドコモアカデミーがきっかけ

今ではサウナを深く愛する中村さんだが、ハマったのは実は最近のことだ。

「コロナ禍のせいで友達と夜に出かけてお酒を飲むこともためらわれた頃、昼間に食事とサウナに行こうという話になって。鶯谷にある『萩の湯』が僕のサウナーとしての“産湯”になったんですが、それがもう気持ち良くて、出た後のビールがまたおいしくて! 僕はオタク気質なので、なぜこんなに気持ちが良いのか、なぜこんなにビールがおいしいのか知りたくなって、そこからサウナに通いつつ、勉強がてら、関連の資格をいくつか取りました」

サウナ・スパ 健康アドバイザー、サウナ・スパプロフェッショナル(以上、日本サウナ・スパ協会)、熱波師検定B(日本サウナ熱波アウフグース協会)と、短期間に相次いで取得した。

当初は、好奇心から取ったこれらの資格を活用して実際に熱波師の仕事をするようになったのは「ドコモアカデミー*」がきっかけだという。ドコモアカデミーは、新規事業などを生み出すイノベーターを育成する企業内大学で、中村さんは2022年入学の3期生だ。

「ドコモアカデミーでは最後に、自ら考えた新規事業案をプレゼンすることになっています。僕は大好きなサウナをテーマにしようと思い立ち、しかし、ただお客さんとして通っただけでは施設や業界の課題を聞き出すことはできないと思って、『熱波あおがせてください!』と売り込んでいきました」

*ドコモアカデミーは2023年から「docomo academy」と「docomo STARTUP」に分かれている

サウナを貸し切ってドコモアカデミーのメンバーに熱波を施した

猛烈な営業で仕事を獲得し、サウナ業界の当事者になって分かったのは、サウナ施設は往々にして人手不足で熱波サービスはやりたくても手が回らないこと、熱波サービスに対するモチベーションが高くない施設従業員も多いことだった。一方で、フリーの熱波師には、あおぎたくてもあおぐ場がなかなかない現実も明らかに。

「それで、フリー熱波師とサウナ施設のマッチングシステムを考案しました。モチベーションの高いフリーの熱波師があおげば、顧客満足度も上がるはずです。友人のエンジニアも巻き込んで、プロトタイプもつくりました」

熱波師として成長し、イベント企画や出張も経験

熱波師の仕事は中村さんにとって楽しく、ドコモアカデミーでのプレゼンが終わった後も今に至るまで続けているというわけだ。

「最近では、沖縄のサウナ施設オーナーに東京のイベントで熱波を送ったのがきっかけで、沖縄出張がかないました。『冬の沖縄にハワイの風を吹かせてくれ』と、報酬の他に交通費や宿泊費、食事代まで出していただいて。認められ求められたことがとてもうれしかったです」

サウナコレクション」(@saunacollection)というサウナに関するメディア事業やマーケティング事業を営む団体にも加入。同団体の主催イベントを中村さんが企画して、イベント当日には自らあおぐことがほとんど。

「フットサル場を借り切って、テントサウナをいくつも立てて、100人規模のイベントでした。仲間と一緒に一から企画したものが形になって、たくさんの人に喜んでもらえるのは最高ですね」

フットサル場を貸し切って行ったイベント。前列右から2番目が中村さん


サウナ×ラーメン『サ麺祭』ではラーメンYouTuberすするさんとコラボ。1番左が中村さん

熱波師としての報酬(単価)は、始めた当初の2~3倍になっている。

「報酬を上げるのって、最初に言い出すときは緊張します。これで切られてしまったらショックだなとやっぱり思いますし。でも、熱波師の価値を高めていきたい思いもあるので、営業資料を用意した上で『この金額で』と提示します。ここは、本業で培ったスキルが生きていますね(笑)」


活力や失敗を恐れない心が本業にも生きる

会社では、中村さんは入社7年目の営業パーソンだ。消費材メーカーを担当しており、ネットワークやセキュリティからクラウド、音声、AIまで幅広い商材を提案している。事業共創の場「OPEN HUB for Smart World」のカタリストとして新規の共創案件を創出する活動も。さらに、ドコモアカデミー4期のメンターも務めている。

職場からは「面白いヤツ」「好きにやったらいいよ」と受け入れられ、お客さまと接していても「熱波師には初めて会ったよ!」と驚かれて会話が弾むことがある。熱波師の活動は、本業にも好影響を与えていると中村さんは言う。

「一番は活力ですよね。周りの人からも『人生、楽しそうだね』とよく言われます。熱波師の仕事をして達成感が得られて、メンタルが好調の中で本業に取り組めるのはプラスだと思います。

カタリストとしては新規事業創出に向けた活動をしていますが、やる前から考えすぎるよりも、まずやってみればいいやというトライアンドエラーの姿勢で攻めていけるのは、熱波師デビュー当時の猛営業の経験が生きているのかもしれません。失敗を過度に恐れることがなくなりました」

今後の夢は、NTTドコモグループにサウナのサークルをつくること。組織や会社の垣根を越えて裸の付き合いができる場をつくり、自ら仲間に熱波を送るつもりだ。

「他の企業のサウナ部の方ともご縁があるので、サウナを通じてどんどん交流できる場を企画して、企業間の境界線をサウナ(熱波)で溶かしていきたいです。」

また、サウナコレクションは2024年10月ごろをめどに、同団体が運営するサウナ施設を完成させる予定だ。

「自分たちのサウナができると熱波師の大会に出場する資格が得られるので(※サウナ施設に100時間以上勤務した実績が必要)、施設のアピールも踏まえ大会に挑戦してみるのも面白いかなと思っています」

最後に、皆さんへメッセージをもらった。

「サウナって自律神経が鍛えられて、メンタルが安定するのでビジネスパーソンにもオススメです。ぜひ、『テッド中村』(@neppa_ted)の予定を見て熱波を受けに来てください。ハワイの風をお届けします!」

社員メッセンジャー

NTTコミュニケーションズビジネスソリューション本部 第三ビジネスソリューション部

中村 太一

第三ビジネスソリューション部として消費財メーカーアカウント営業を担当し、兼務で新規事業案件創出のカタリスト、企業内大学ドコモアカデミー4期メンターとして幅広く活動しています。「挑戦」と「行動」をテーマに突き進みます。

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