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2025年4月に育児介護休業法が改正
その内容と企業への影響をわかりやすく解説

2025年4月に育児介護休業法が改正その内容と企業への影響をわかりやすく解説

日本における少子高齢化に伴う労働力不足を解消するため、2025年4月より、改正された「育児介護休業法」が施行されます。これは育児や介護と仕事の両立を推進し、対象となる従業員の離職を減らすための法律です。改正の具体的な内容、企業への影響、効率的な取り組みの進め方などのポイントをひも解いていきます。

目次

育児介護休業法とは?なぜ改正される?

2024年5月に育児介護休業法等の改正法が国会で可決・成立しました。これにより、2025年4月1日より段階的な施行が予定されています。ちなみに、育児介護休業法は正式名称を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といい、育児や介護を行う人を支援して仕事と家庭の両立を目的にした法律です。

改正の背景には、2025年に国民の5人に1人が後期高齢者(75歳以上)の超高齢化社会を迎えたことで、日本経済や社会の広い領域に深刻な影響を及ぼすと考えられる「2025年問題」があります。今回の法改正には日本における少子高齢化に伴う労働力不足を解消するために、育児や介護といった多様なライフステージに対応した働き方を実現し、雇用を拡大する目的があります。今回の改正では「多様な働き方の選択」「男性の育児参加の促進」「仕事と介護の両立支援」に重きを置き、仕事と家庭を無理なく両立できる働きやすい職場づくりを目指しています。

現状の「育児・介護と仕事を両立している人口」および「それらを理由とした離職者数」を見てみましょう。

【育児】

  • 人口:約965万人中、85.2%が仕事と両立(5年前比+5.9ポイント)
  • 育児を理由にした離職者数:約15万人(うち女性が約14万人)

就業状態別育児をしている者の数及び育児をしている者に占める有業者の割合の推移
(2012年~2022年) ―全国

図:就業状態別育児をしている者の数及び育児をしている者に占める有業者の割合の推移 (2012年~2022年) ―全国

【介護】

  • 人口:629万人中、58.0%が仕事と両立(5年前比+2.8ポイント)
  • 介護を理由にした離職者数:約47万人

就業状態別介護をしている者の数及び介護をしている者に占める有業者の割合の推移
(2012年~2022年) ―全国

図:就業状態別介護をしている者の数及び介護をしている者に占める有業者の割合の推移 (2012年~2022年) ―全国
出典:「令和4年就業構造基本調査結果の要約」(総務省)を加工して作成

10年前の同調査と比較すると「育児・介護と仕事を両立している人口」の伸び率は緩やかなものです。「それらを理由とした離職者数」の多さも看過することはできません。今回の法改正で仕事と家庭の両立支援を強化することで、育児や介護をしながら働く労働者の伸び率をさらに上昇させ、退職者数を減らし雇用の継続を図る目的があります。さらに、育児や介護を理由に退職した労働者の再就職を促進させる効果にも期待されています。

育児介護休業法改正で押さえておきたいポイント

厚生労働省の「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」にもとづき、今回の法改正のポイントを解説していきます。 2025年4月1日から施行される改正は育児関連が5つ、介護関連が4つです。

まず、育児に関する法改正は以下の通りです。

【育児に関する法改正】

  1. 子の看護休暇の見直し
  2. 残業免除の対象拡大
  3. 時短勤務の代替措置にテレワーク導入を追加
  4. 育児のためのテレワーク導入
  5. 育児休業取得状況の公表義務拡大

1つずつ解説していきます。

① 子の看護休暇の見直し

【義務:就業規則等の見直し】

対象となる子供の範囲が「小学校3年生修了まで」に延長。休暇の取得事由に「感染症等に伴う学級閉鎖等」「入園(入学)式・卒園式」が追加されます。現行では除外されていた「勤続6カ月未満の労働者」も取得できるようになります。

改正内容 施行前 施行後
対象となる子の範囲の拡大 小学校就学の始期に達するまで 小学校3年生修了まで
取得事由の拡大
(③④を追加)
①病気・けが
②予防接種・健康診断
①病気・けが
②予防接種・健康診断
③感染症に伴う学級閉鎖等
④入園(入学)式、卒園式
労使協定による継続
雇用期間6か月未満
除外規定の廃止
〈除外できる労働者〉
①週の所定労働日数が2日以下
②継続雇用期間6か月未満
〈除外できる労働者〉
①週の所定労働日数が2日以下
※②を撤廃
名称変更 子の看護休暇 子の看護休暇
  • 取得可能日数は、現行日数(1年間に5日、子が2人以上の場合は10日)から変更ありません。

② 残業免除の対象拡大

【義務:就業規則等の見直し】

「小学校就学前の子を養育する労働者」が残業免除の対象になります。現行では「3歳に満たない子を養育する労働者」が対象となっていましたが、法改正により残業免除を受けられる対象者が拡大します。

改正内容 施行前 施行後
請求可能となる労働者の範囲の拡大 3歳未満の子を養育する労働者 小学校就学前の子を養育する労働者

③ 時短勤務の代替措置にテレワーク導入を追加

【選択する場合は就業規則等の見直し】

短時間勤務制度の利用が困難な具体的な業務があり、その業務に従事する労働者がいる場合にのみ、労使協定を締結し除外規定を設けた上で、代替措置としてテレワークが利用できるようになります。

改正内容 施行前 施行後
代替措置(※)のメニューを追加 〈代替措置〉
①育児休業に関する制度に準ずる措置
②始業時刻の変更等
〈代替措置〉
①育児休業に関する制度に準ずる措置
②始業時刻の変更等
③テレワーク
  • 短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる具体的な業務があり、その業務に従事する労働者がいる場合にのみ、労使協定を締結し除外規定を設けた上で、代替措置を講ずることとなります。

④ 育児のためのテレワーク導入

【努力義務:就業規則等の見直し】

育児のためのテレワーク導入が努力義務化。3歳に満たない子どもを育てる労働者がテレワークを選択できるよう、事業主には措置を講じる努力義務が求められます。

⑤ 育児休業取得状況の公表義務拡大

【義務】

男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」の公表義務が拡大されます。現行では公表義務の対象は従業員数1,000人超の企業でしたが、改正により従業員数300人超1,000人以下の企業も対象になります。総務省統計局「令和3年経済センサス‐活動調査」によると、今回の法改正で対象となる従業員数「300~999人」の企業は11,478社となっています。これらの企業は年1回、公表前事業年度の終了後おおむね3カ月以内に、インターネットなど、一般の方が閲覧できる方法で育休の取得率を公表する必要があります。

改正内容 施行前 施行後
公表義務の対象となる企業の拡大 従業員数1,000人超の企業 従業員数300人超の企業

介護に関する法改正は以下になります。

【介護に関する法改正】

  1. 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
  2. 介護離職防止のための雇用環境整備
  3. 介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
  4. 介護のためのテレワーク導入

こちらも順に解説していきます。

① 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

【労使協定を締結している場合は就業規則等の見直し】

介護休暇の取得要件が緩和されます。勤続6カ月未満の中途採用者や契約社員など、比較的勤続年数の短い従業員でも入社後すぐに介護休暇を取得できるようになります。

改正内容 施行前 施行後
労使協定による継続雇用期間
6か月未満除外規定の廃止
〈除外できる労働者〉
①週の所定労働日数が2日以下
②継続雇用期間6か月未満
〈除外できる労働者〉
①週の所定労働日数が2日以下
※②を撤廃

② 介護離職防止のための雇用環境整備

【義務】

以下いずれかの介護離職防止措置が事業主の義務となります。仕事と介護の両立支援制度を効果的に周知し、必要な制度を利用しやすい環境を整えることで、介護に起因する離職の防止につなげることが目的です。

  1. ①介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
  2. ②介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
  3. ③自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
  4. ④自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

③ 介護離職防止のための個別の周知・意向確認等

【義務】

介護に直面した旨の申し出があった労働者に対し、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項の周知および介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向の確認を個別に行う必要があります。

周知事項 ①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)
②介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)
③介護休業給付金に関すること
個別周知・意向確認の方法 ①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか

注:①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ

さらに労働者が介護に直面する前の早い段階で、介護休業や介護両立支援制度などの理解と関心を深めるため、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項についての情報を提供することが義務付けられます。

情報提供期間 ① 労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度(1年間)
② 労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間 のいずれか
情報提供事項 ① 介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)
② 介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)
③ 介護休業給付金に関すること
情報提供の方法 ①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか

注:①はオンライン面談も可能

望ましい

  • 情報提供に当たって、「介護休業制度」は介護の体制を構築するため一定期間休業する場合に対応するものなど、各種制度の趣旨・目的を踏まえて行うこと
  • 情報提供の際に、併せて介護保険制度について周知すること

④ 介護のためのテレワーク導入

【努力義務:就業規則等の見直し】

育児と同じく介護のためのテレワーク導入が努力義務化されます。要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう、事業主には措置を講じる努力義務が求められます。

以上が2025年4月1日より施行される法改正の内容です。さらに2025年10月1日にも「柔軟な働き方を実現するための措置等」「仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮」が施行されます。詳細は「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」に記載されていますので、合わせて確認しておくといいでしょう。

企業には法改正に向けた事前準備が必要に

2025年4月からの段階的な施行に向けて、企業にはさまざまな事前準備が必要になります。育児・介護の必要がある従業員は最大限に法律を利用するために改正内容を把握しておく必要があるでしょう。一方で、人事・総務の担当者は改正によって義務化される内容を正しく理解した上で、「育児・介護休業等に関する規則の規定例」などを参考にして社内規則を整理する必要があります。新たな制度やルールを従業員に周知する、育児や介護を行う従業員に対して適切に配慮できるように社内研修などを通じた啓発を行う、育児休業取得状況の公表準備を進めることも重要です。

具体的な取り組みを行うにあたり、他企業の好事例を参考にしてみてもいいでしょう。厚生労働省の「育児休業取得企業好事例集(令和5年度版)」は男性の育児休業の取得を推進する、主に中小企業の好事例を取りまとめた事例集です。男性育休の取得推進に向けた職場の雰囲気の醸成、育休取得者も同僚も満足する制度の整備、職場復帰しやすい環境づくりなど、男性の育児休業取得を推進するにあたっての興味深い情報を掲載しています。

また、「介護と仕事の両立支援事例10選」のサイトでは、介護と仕事の両立支援に取り組んでいる企業の事例を紹介しています。両立支援に関する情報提供、制度を利用しやすい風土づくり、社内調査にもとづいた取り組み、介護コミュニティーの形成、今後に備えた体制整備など、介護と仕事の両立を推進するための包括的な取り組みをまとめています。これらの育児と介護の事例の取り組みを参考にすれば、自社による取り組み方のイメージが見えてくるのではないでしょうか。

制度やルールの整備に加え、もう1つ企業が取り組んでおきたいことは従業員の時短労働、休業により業務が回らない課題の解決です。新たな人材の確保が困難な状況では、柔軟な働き方や業務の効率化を推進するITサービスの有効活用が重要になるでしょう。厚生労働省の両立支援等助成金をはじめ、その他にもDX推進助成金、テレワーク導入促進助成金などの活用も視野に、法改正に備えた取り組みを進めておく必要があります。

法改正に対応できる業務改革をサポート

ドコモビジネスでは、柔軟な働き方や業務効率化を実現する豊富なサービスをラインナップしています。柔軟な働き方を実現する際には、オフィスと同様の生産性が確保できるテレワーク環境の整備が重要です。テレワークに必要なPC、通信回線、セキュリティ対策をワンパッケージで提供する「テレワーク・スタートパック」、の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

さらに少人数でも業務を回すための自動化、効率化の取り組みも欠かせません。PC上の定型業務をソフトウェア型ロボットで自動化できる「WinActor®」を導入することで、少人数でもスムーズに業務が回る環境が整備できます。

法改正の対応により、オフィスに限らずさまざまな場所で仕事ができるワークスタイルの定着に向けて、労務管理の整備や見直しも必要になってきます。これまでバラバラに管理されていた従業員の勤怠・給与などの情報を集約することで、管理業務効率を大幅に改善する「dx勤怠・労務管理」などを導入してみるのも一手かもしれません。

育児介護休業法改正の対応には、さまざまな取り組みが必要になります。企業の人事・総務担当者は、それなりの時間や稼働を割いて取り組みを進めていくことになるでしょう。こうした担当者の負担を軽減するためにも柔軟な働き方、業務の効率化は急務です。ぜひ、課題を解決する豊富なサービスをご用意しているドコモビジネスにお気軽にご相談ください。

※本記事は2025年1月現在の情報をもとに作成されています。最新・正確な情報は各省庁や自治体のWebサイトをご確認ください。

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