IT用語集

2025年問題とは

2025年以降、日本に超高齢化社会が訪れることで生じるさまざまな問題のこと。

2025年問題とは、国民の5人に1人が後期高齢者(75歳以上)の超高齢化社会を迎えることで雇用、医療、福祉といった日本経済や社会の広い領域に深刻な影響を及ぼす諸問題の総称です。

2025年問題の背景にあるのは、急速に進む少子高齢化です。第一次ベビーブーム(1947~1949年)に生まれた「団塊の世代」は日本に約800万人いるとされています。この世代が75歳以上になる2025年には、国民の約5人に1人が後期高齢者、約3人に1人が65歳以上の高齢者という超高齢化社会となり、さまざまな問題が顕在化すると予測されています。内閣府「令和5年版高齢社会白書」によると日本の総人口である1億2,495万人のうち65歳以上の人口は3,624万人(29.0%)、すでに2023年の時点で3,500万人を超えている深刻な状況です。一方、日本では少子化も進んでおり、労働力人口(満15歳以上の就業者と完全失業者の合計)の減少も深刻な課題となっています。

2025年問題が社会や日本経済に与える影響は年金や医療保険、介護保険、生活保護などの社会保障制度を維持するために国が支出する「社会保障費の負担増大」、医療や介護サービスの需要が高くなることで充分な人材の確保が追いつかなくなる「医療・介護体制維持の困難化」、多くの企業が人手不足に陥るなかで売り手市場化が進行していくことで生じる「労働力の不足」の3つが挙げられます。

とりわけ、企業にとってもっとも頭の痛い問題となるのは3つめの「労働力の不足」です。この問題を解決するには、まず、定年を迎えた高齢者や女性、障がい者、外国人など多様な人材の積極的雇用を推進すること、特に高齢者のシルバー人材の活用は政府主導で推進されているため、助成金や税制上の優遇措置を受けられる利点もあります。続いて、仕事をしながら家族などの介護に従事するビジネスケアラーを受け入れる体制作りです。リモートワーク、時短勤務といった柔軟な働き方ができる環境の整備が期待されます。そして、最後が労働環境の見直しや給与・待遇の改善、健康経営の実施やキャリアサポート制度の充実などによる既存の従業員の離職を予防することです。誰もが働きやすい、働きたくなる魅力的な企業文化が醸成できれば、採用競争でも優位に立てるというメリットもあります。

加えて、ITを利活用した業務の自動化、効率化を進めることで、少ない人数で業務を回せる環境へとシフトしていくことも、人材不足を解消するためには重要なポイントとなります。

IT関連で2025年にもう1つ大きな問題が待ち構えています。経済産業省が2018年に公開した「DXレポート」 で提唱した「2025年の崖」です。これは日本企業のDXが進まず老朽化したシステムを使い続けることで、2025年以降、日本において年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるというものです。この問題は大企業から中堅・中小企業まで幅広い影響が及ぶと予測されています。

高齢者人口及び割合の推移(1950年~2045年)

※「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」(総務省)を加工して作成

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