1.コロナ前後で「オフィス」の在り方は大きく変わった
コロナ禍をきっかけに、働き方の多様化が急速に拡大しました。いまでは、多くの企業がテレワークや在宅勤務など、オフィスに出勤しない勤務形態の導入を行っています。こうした“出勤しない”スタイルが普及していくことは、従来の働き方の中心的な存在だった「オフィス」の考え方が変わっていくことを意味します。
場所を選ばない働き方が当たり前になれば、オフィスに広いワークスペースを用意する必要がなくなります。企業によっては、オフィスの縮小や自由に席を選べるフリーアドレス制度への移行を検討しているケースも少なくありません。いずれにせよ、オフィスの在り方は、大きく変わり始めているといえるでしょう。
とはいえ、以前のオフィスに出社するという働き方が悪かったというわけではありません。“出勤しない“という新しい勤務形態に移行することは、従来の”みんなが出勤する”勤務形態が持っていたメリットを失ってしまう危険性を孕んでいます。
特に大きな課題となるのが、社内コミュニケーションです。社員同士が遠隔地で業務を行うことで、コミュニケーションが取りづらくなってしまい、業務に支障をきたす恐れがあります。
2.ITの力でコミュニケーション問題を解決する
人事育成・マネジメント調査機関「HR総研」が、上場および未上場企業の人事責任者・担当者を対象に、社内コミュニケーションに関するアンケート(※)を行ったところ、9割以上の企業が「コミュニケーション不足は業務の障害になる」と回答しました。この割合は、企業規模が大きな企業も小さな企業も大差はなかったため、多くの企業が直面している問題といえるかもしれません。
(※) ProFuture株式会社/HR総研「社内コミュニケーションに関する調査」
この問題を回避するためには、ITの力が必要になります。ITを活用することで、たとえテレワークに移行したとしても、従来のオフィスのようなコミュニケーション環境が構築できます。
たとえばWeb会議です。テレワークではオフィスのように、同僚と面と向かって話すことはできませんが、Web会議であれば画面が共有できるため、自分や相手の表情や、参考資料を表示しながら対話できるため、メールや電話だけではうまく伝えられないことも説明できます。距離に関係なく、オフィスと同様のコミュニケーションが取れます。
ビジネスチャットも、テレワークに必須のITツールとなります。会話するようにメッセージのやり取りができ、メールのように時間もかかりません。スマホでの閲覧や返信もできるため、すぐにリアクションを送ることが可能です。ウェブ会議と併用すれば、音声でも映像でも文字でもコミュニケーションが取れることになります。
テレワークだからといって、コミュニケーションが取れないわけではありません。ITを活用すれば、たとえ自宅にいても、社内と同等のコミュニケーション環境は整えられるのです。
3.オフィスに設置したままの固定電話をテレワーク化する方法とは
しかし、テレワークでオフィス同様の環境を実現するためには、解決しなければいけない問題が1つ残っています。それが、オフィスに設置した「固定電話」です。
たとえテレワークに移行したとしても、そのことを知らないクライアントがオフィスに残された固定電話に連絡してしまうことも考えられます。企業によっては電話番のためだけに出社を命じているケースもあるようですが、残念ながらこれはかなり非効率的な対応といえます。
この問題は、業務用のスマホを「内線化」することで解決できます。従業員が仕事で使用するスマホに内線機能を加えれば、オフィスの固定電話に着信した電話も、スマホで応対できます。
さらに、社員間での内線のやりとりもスマホでできるようになります。たとえばクライアントから代表番号に連絡があった場合も、スマホで受話し、担当者へ転送することも可能になります。これにより、クライアントをはじめとする社外コミュニケーションも、社内コミュニケーションも、オフィスで勤務しているのと同様に処理できます。
すでにテレワークに移行し、チャットやWeb会議を活用していても、オフィスには固定電話を設置したままという企業もあるでしょう。固定電話をスマホ化し、電話環境もテレワークに対応してこそ、オフィスに出社しないという新しい勤務形態が完成するといえるかもしれません。